Cafe de Kerm ~毒味ブログ~

物言いにも、珈琲にも、もれなく毒が混入している可能性が無いこともないです。

電池に見る未来

2005-08-07 13:48:26 | Science
 昨日はうっかり・・・というか朝の2時過ぎに帰ってきたので、更新をしませんでした。あそこまで遅くなると分かってたら、昼のうちに更新しておくんでした。

 まあ、過ぎたことを悔やんでもしょうがありませんからね。ここは開き直って、本日の記事と行きましょう。

 NEC、4個の電池でPCの停電時駆動に成功

 この記事のタイトルを見たときに私が思ったことは、

「ええ、単三電池4本とかでPCが!?ノートか?」

などと、無茶な昇圧回路などを思い浮かべたのですが、その予想はさすがに間違っていました。と言いますか、そりゃそうだろう・・・

使用したのはポリラジカルと呼ばれるプラスチック材料を用いた有機ラジカル電池で、同社が2001年に提案したもの。他の電池に比べ、反応速度が10倍以上高速なため、大きな電流での使用が可能。

 今回の実証実験では、Pentium 4を搭載した同社製デスクトップPC(平均消費電力96W)に、35W出力の有機ラジカル電池を4個内蔵。AC電源の供給停止を自動検知し、電池の電力だけでPCを駆動させ、作業中のデータをHDDに保存させることに成功した。同システムでの最大駆動時間は約60秒。電池寿命はリチウムイオン電池と同等以上としている。


 何でもポリラジカルと呼ばれる特殊な化学高分子材料を用いた電池らしいです。写真を見てみるとすげえちっちゃいんですけど、これで35wかあ・・・
 こちらのプレスリリースを見ると、電池反応に伴って骨格となる化学構造が変化しないため、充放電を繰り返しても容量低下が少なく、長寿命の電池が可能で、約1,000回繰り返し充電しても殆ど容量は低下しないとあります。
 繰り返し使ったときの容量低下は二次電池のネックとなる部分でしたが、現在容量低下が少ないとされているリチウムイオン蓄電池でも500回程度と言いますから、かなり画期的な長寿命を製品と言えるでしょう。
 充電にかかる時間も6分で90%充電という一桁速い速度と言うことで、様々な面で従来の電池をしのいでいます。

 じゃあ、何で今までこの電池が出てこなかったのか・・・と言いますと、単純に材料とか、技術の進歩と言うところが大きいです。
 カーボンナノホーンというカーボンナノチューブの一種を触媒保持に使っているようですが、これらの物質は1990年代に入ってから発見された、歴史的にごく浅い材料です。こういったナノレベルの材料を扱う所まで技術が進歩してきたのはごく最近ですし、それらの特性やら利用方法を研究するのにもかなりの時間が割かれてきました。そして、ようやく実験にこぎ着けたと言うところでしょうか。

 この電池が果たして単三電池の代わりになるのかというと、燃料電池と同じくらい分かりませんけれど、こういう技術革新という夢のある話はいいですね。やっぱり未来に希望が持てる話はなんだかホッとします。