風が強く吹いている

風が強く吹いている 三浦 しをん 新潮社 このアイテムの詳細を見る

たった10人で予選会から箱根駅伝を目指し、見事出場。シード権まで取ってしまう。

ストーリーは、主人公の一人「ハイジ」こと清瀬が4年間密かに抱き続けていた
箱根駅伝への夢を、「走（かける）」という新入生との偶然の出会いから現実の
ものとするために、同じぼろアパートに住む住人を巻き込んでいくところから
始まる。
純粋に走ることを追い求めるハイジと走の姿に、しぶしぶ参加することになった
住人達も影響を受けていく。

最初はちょっと走っただけで息をあげてしまう者も、最後は２０ｋｍを1時間ちょっと
で走ることが出来るまでにたった1年足らずでなってしまうところは設定に無理がある
と思うが、それ以上に走ることを通して描かれる人間関係や思いがとても爽やかで
心に響いてくる。

予選会や本番の箱根駅伝の描写も、本番さながらに描かれていて、結果の予想は
出来てもついつい気持ちが入って応援してしまいます。

このマラソンブームで走り始めたけどモチベーションが湧かない方、寒い地方では
これからの季節外に出るのも嫌だぁと思っているけど目の前にフルマラソンの大会が迫っている方、最近ストレスが溜まっていて発散したい方・・・・・

純粋に走ることの意味を教えてくれて、読み始めた初っ端から
うるうるさせられっぱなしの貴重な一冊です。