CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】李世民

2017-11-25 19:04:18 | 読書感想文とか読み物レビウー
李世民  作:塚本 靑史

唐の二代皇帝の生涯を描いた小説でした
勉強がてらというところなんだけども、
濫読しすぎで、ちゃんと前後関係というか、色々な人間関係を
消化できていないことだけ
大変よくわかったと、自分の能力の低下を
つくづく嘆く次第なのでありますが
物語は面白く読めたのでありました

大人しい小説といってしまっていいのか、
史実を丁寧に描いていたと信じたいのでありますけども
とっぴな物語ではなく、優秀な男であった李世民が、
その父、ほかの兄弟などを踏み台にするようにして
唐の皇帝へとのし上がっていくわけでありますけども、
なかなかどうして、優秀な人間から見て、非優秀であることが許せないと
それに近いものも感じてしまったんだが
まぁ、世の中そういうものだし
そういう人間がこそ、皇帝になるべきでなったんだよなと
きわめて当たり前の感想を抱いてしまったのでありました

隋がどうして滅びたか、
そして、その輝かしい実績を作った煬帝を自分と重ねて
ある種のコンプレックスを抱えながら覇道を進むというのが
なかなかにステキでありまして、
儒教観念なのかしらないが、李世民が口うるさい側近を
ずっと厚遇していたというのがいい話だと感じられて、
人間臭く、時折短絡な行動をしながらも
周りに支えられて、常識の範囲で進んでいくというのが
唐の礎を築いた男だけあるなと納得させられたのでありました

跡取りに恵まれなかったり、
宮廷の政治がそこかしこに出てきたり
讒言誣告は当たり前の状態が、いかにも中華官僚組織といえるようで
面白くもあり、気持ち悪くもありといったところであります

李世民の妻が物凄く優秀な人物だったようで
その描き方も見事であり、ちょっと現代的すぎるというか
フェミニズム的な匂いもあるんだけども
それはそれとして、面白かったと感じたのであります
でも、その薫陶を受けたはずの武照が、
やがて息子と反乱ではないが、乗っ取りをたくらむというのは
なかなか考えさせられるところでありました

唐という時代が彼女を作った
その前、下準備といえばいいのか、
大国が建つ姿が見えて、面白い小説であったと
思うのであります
覚えておくのは、耳痛いことをいう忠臣を大切にできるかどうかだと思うところ


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