CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】黄昏のために

2024-10-07 21:05:11 | 読書感想文とか読み物レビウー
黄昏のために  作:北方謙三

久しぶりの北方御大の小説であります
短編集?短編連作?わからないまま読んだのだが
ある画家の話しで、その画家が描こうとしているもの、
その抽象を文章で表現しているといっていいのか、
もっと単純に、ただかっこいい、やっぱりハードボイルドなそれだったということか
自分ではよくわからないままに、でも、かっこいい雰囲気に酔いながら読んだのでありました
酒と女が出てきて、それをどうするか、
そこに男の選択が、言い訳のような言いざまとともに描かれる
やっぱりこれが、ハードボイルドというやつなんだろう

命のないものを描くことで、逆に命を描くことになるのでは
そんな、ありそうな題材で絵を描いているという描写で、
ある時は無生物を描き、ある時は動物の骨を描きとしつつ
何をもって生きたものを描いているといえるかと
そんな哲学めいたことも考えつつ
それと同時に、そういうものを商売として金にかえようというブローカーがいて、
でも、それを求めてもいるし、嫌ってもいるという状態にたゆたい
行きずりの女と関係をもったり、持たなかったりして
ただ漫然と生きて、時折絵を描いている、そういう情景が続く

結局、それも途中でしかないというのか、
そのあと、唐突に何かに出会ったようにして描くというシーンが二度ほどあって、
狂気とも異なる、集中、想起、没頭といったものがあって、
とてもよい絵が生まれたと、その描写だけで満足できそうな楽しさというのか、
読んでいて、満たされるといった感情を抱けるものだった

結局、何を書いていて、何が書かれていたか
そのあたりはさっぱり理解できなかったけど、
いい雰囲気をずっと読んでいる間感じられる、浸ることができる
そういう小説だと思った
多分、読み手の俺がハードボイルドをちゃんと読んでないから
入口が見当たらないという感想なのかもしれない


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