CLASS3103 三十三組

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【読書】サカナとヤクザ 暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う

2019-11-18 21:02:43 | 読書感想文とか読み物レビウー
サカナとヤクザ 暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う  著:鈴木 智彦

漁業と暴力団の関係をレポートしたノンフィクションでした
非常に読み応えがあって面白かった
千葉県の漁村が、いや、そもそも、漁村はなぜ気が荒いのかが
よくよくわかったような気がするのであります

すべての漁業者がそうではないと当然わかっているつもりなのだけども、
この本を読んでいると、すべての漁業者が
何かしらヤクザとつながりがあったり、そういう素地があったりするのではと
日本漁業固有の何かが見え隠れして面白いのでありました
特に、密漁だけではなくて、闇流通という部分もあったりして、
そういう消費の根幹部分に、闇とせざるを得ない
制度と実情に乖離が見られる部分があることが
大方の原因であろうかなと素人ながらに思える内容でありました

よく、北海道のヤクザは漁業がシノギなんて聞いていたけども、
それはまったくその通りというか、ヤクザという副業で
本業が漁師なんじゃないかというくらい、
組織だって、しかも厳しく律してやっているという感じが
なんとも面白く読めたのであります
結局、ヤクザ屋さんは利益を上げないといけないから
締め付けも厳しく、必然的に一番儲けとなるよう動くから
とても優秀な営利企業に見えなくもない
そんな努力を積み重ねている実態も見えたりして、
働くヤクザという謎の単語が面白かったのであります
もっとも、暴力や、顔が様々に役立つ場所でもあるので
このあたりは、手放しで賞賛というわけでは
当然ないのだけども、食卓に繋がる
こんな手近なところが、割と危険なんだなと思わされるのでありました

北海道に関しては、北方領土の話も含めて、
漁業者が、ロシアのスパイをやっていたりとか、
暴力団とか超えて、もっとやばいものが絡んでいたりするのも
大変興味深くて面白かった
KGBが日本にごりごり情報収集を求めていた頃というのは
随分怖いものだったんだな、改めて、北海道という土地は
寸出のところで、ロシア化から免れた土地なんだと
改めて思い知らされるのでありました
これも、冷戦の亡霊たちとともに、滅んだという結論なんだがどうなのかしらね

あとは、鰻ビジネスが台湾、香港を経由して
これまた相当に恐ろしいことになているというのもあったり、
漁業と一口にいっても、魚種というか、様々な扱い物によって
事情や、場所、闇の度合いが違っているのがわかって
大変面白い読み物でありました
これを読むと、安易に安い寿司を食べられなくなる、
とまでは思わないものの、
そうか、このサカナは謎の流通ルートからやってきてんだろうなと
蟹、ウニ、鰻なんかをしみじみ味わいつつ
思うような知恵をつけた
そんな読書となったのであります


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