自主映画「チチを撮りに」でひろしま映像展グランプリなど七つ賞を獲り話題になった
中野量太監督の商業映画デビュー作です。
持ち前の明るさと強さで娘を育てている主人公の双葉は、突然の余命宣告を受けてし
まいますが、そんな残酷な現実を受け入れ、4つの「絶対にやっておくべきこと」を実行
して行きます。
そんな全てを包みこむ優しさと強さを持つ双葉役を宮沢りえ、娘役を杉咲花が演じるほ
か、夫役のオダギリジョー、松坂桃李、篠原ゆき子、駿河太郎らが脇を固めています。
宮沢りえの「紙の月」以来となる映画主演作ですが、この作品の見どころの一つは彼女
と杉咲花の強烈な演技です。オダギリジョーも中々いいです。
本来は悲劇なのですが、逆に笑いを誘う場面なども多く、中野監督は商業作品の初監
督とは思えない力量を見せてくれます。キメの細かい演出のもと、俳優の使い方が上
手いとも言えます。
辛口を添えますと、前半は特に上手いと思いますが、後半は無駄な挿話やシーンが一
寸ばかり気になりましたし、いくら綺麗でも主人公の死に顔は不要と思いましたが、皆さ
んはどう思われるでしょうか。
新人が本を書いてこれだけの作品を撮る、これに強い競争心を燃やす若手監督の出現
を心待ちします。