たんなるエスノグラファーの日記

エスノグラフィーをつうじて、ふたたび、人間探究の森へと分け入るために

畜霊碑

2010年05月20日 08時48分42秒 | 人間と動物

3年生専攻演習の上溝フィールドワークの二日目。晴れて暑かった一日目とはうって変わってあいにくの雨。そのために、5月にしてはかなりの肌寒さ。上溝の市場開設記念碑を見に行った。市場が開設されたのは、明治3年、いまから140年ほど前のことである。そのころから上溝は、周辺の市場として、賑わい始めた。たくさんの人が、このあたりに住んでいた。上溝を歩くと、飛び地的に、墓場があるのが目につく。寺の敷地には、墓がひしめきあっている。あちこちに、大小さまざまな社があり、神々の場がある。上溝には、死者(の霊)や神が座す別の次元への入口が、そこここに見出せる。その意味において、そこには、かつて人間が暮らしていた確かな証があると感じられる。マンション群に覆われた現代の空間においては見出すことができないような、異次元との交信のための場が、いたるところにあると言い換えてもいいかもしれない。そのことによって、落ち着きや、安らぎのようなものが感じられる。

さらに、そのあたりは、太平洋戦争後に、養蚕業から畜産業へと産業の転換が計られた土地であり、人びとの
暮らしを支えてくれる生き物に対する供養塔の類を、たくさん目にすることができる。歩いているときに、JAの敷地内の道路脇にある大きな「畜霊碑」を見かけた。許可をもらって写真を撮り、裏面に刻まれた文字を写しとった。表には、「神奈川県知事 津田文吾書」とあった。死霊や神だけでなく、獣の霊へと思いをつなぐ場所、それらの異次元の存在と交信できる場が、そのあたりにはあちこちにある。

相模原は畜産団地として全国に名を知られその生産数は五十億円を突破し本市農家の基盤となっている。とくに関係者一同先人の労苦を偲ぶとともに犠牲となった家畜の霊を慰めるため碑を建て今後の畜産の隆盛を祈念

相模原市酪農家一同
      養豚家一同
      養鶏家一同
      食鶏家一同
上溝肥育牛組合
相模原市農業協同組合
株式会社北相高崎ハム
昭和四十五年九月彼岸建立
相模原畜霊碑建設委員会 委員長 小泉保雄

相模原市内のその他の家畜の霊に対する碑は以下。
http://blog.goo.ne.jp/katsumiokuno/e/9f43676ce35b71f196bec87c062d838a


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2 コメント

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通院終了 (たんなるエスノグラファー)
2010-05-20 22:22:15
今日病院に行ってきた。寄生虫(アメリカ鉤虫)はいなくなっていた。なんだか少しだけさびしいような気もするものの、3月半ばの熱帯感染症発症以来2ヶ月にわたって続けてきた治療がようやく終わったのでほっとしている。この間通院の帰り道などで、都内の書店と古本屋を歩きまわって、いま数えてみたら、74冊の文庫本と12冊の単行本(すべて文学、そのうちのほとんどが海外文学の邦語訳)を買い漁ったことが判明した。しばらく買うのはやめて読まなければ。
32524112 (111232*05)
2010-05-20 22:39:09
1112334493.152331054501219444.01413245244625053244.753241*745191014132325385.

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