たんなるエスノグラファーの日記
エスノグラフィーをつうじて、ふたたび、人間探究の森へと分け入るために
 



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来たるべき人類学構想会議では、12月8日(土)に、小田マサノリさんを迎えて、お話をうかがいます。人類学者向けに、とお願いしています。

ひとはいかにしてアクティヴィスト・アンソロポロジストになるか

小田マサノリ

 
日時: 2012年12月8日(土)14:00~17:30
場所: 桜美林大学四谷キャンパスY311教室
http://www.obirin.ac.jp/access/yotsuya/index.html

・参加費:無料
・参加申し込み先:okuno@obirin.ac.jp
 
「人類学者のなかには、アナーキズムあるいはアナーキスト的な政治に加担した者たちがいた。そして、その何人かは同時に、特定の学問体系の創始者であった」(デヴィッド・グレーバー)
 
自 身アナーキスト人類学者であるグレーバーが指摘するように、マルセル・モース、レヴィ=ストロース、フランツ・ボアズ、ジェルメーヌ・ティヨンなど、社 会・政治活動にコミットした人類学者は少なくない。また欧米には「アクティヴィスト・アンソロポロジスト」を名乗る人類学者たちも多い。人類学の学説史の なかであまり語られることのない「アクティヴィスト人類学」とその可能性について、ニューヨーク州立大学が編集した「アクティヴィスト・アンソロポロジス ト・ツール」などを参照しながら、アーティスト・アクティヴィスト・アンポロポロジストとして過ごしてきた近年の活動について述べる。

 [資料]
 ・文化人類学開放講座編「オルタナティヴ人類学」
 ・ニューヨーク州立大学編「アクティヴィスト・アンソロポロジスト・ツール」
 ・小田マサノリ「太鼓を叩いて練り歩け、シャーマンの弟子、アクティヴィスト人類学者になる」「FIELD+(フィールドプラス)」第6号 東京外国語大学出版会
 
 [プロフィール]
 イルコモンズ/小田マサノリ 1966年福岡生まれ、現代美術家、文化人類学者、メディア・アクティヴィスト、一橋大学大学院社会学研究課博士課程単位取得退学、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所特任研究員、中央大学兼任講師、
 
 [最近の活動] アトミックサイト、怒りのドラムデモ、首都圏反原発連合
 
 [最 近の著述] 「〈帝国〉のアートと新しい反資本主義の表現者たち」(「VOL」第3号)「実存主義的ステンシル主義者の報復とファンタジー」(「ユリイカ」2011年 8月号)「M9とレヴェル7のもとでの、芸術の発生学」(「芸術人類学研究所会報」第6号)「アーティヴィストよ一歩前に、アーティストは後からついてこ い」」(美術手帖 2012年2月号)
 
 [ブログ] http://illcomm.exblog.jp/

世話人:池田光穂(大阪大学コミュニケーションデザイン・センター)、奥野克巳(桜美林大学リベラルアーツ学群)、内藤寛(春風社)

問い合わせ先:okuno@obirin.ac.jp



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この数日で、ようやく秋の気配を感じるようになったのであるが、昨日は、ちょっと外に出るだけで蚊に刺された、10月というのに。必要から、2ヶ月前のサラワク調査の写真を整理していたら、いろいろと思いだしてきた。英人類学者、ロ ドニー・ニーダムの60年前の論文を手がかりとしながら、IさんやSさんと「プナン」を訪ね歩いたが、知ることができたことは、プナンの驚くべき多様性で あった。幹線道路沿いにイスラム化したプナンもいれば、そのなかには、プナンという名称を嫌って、別の民族名を選び取った人たちもいる。ミリオネアーに なって、幹線道路沿いの黄色い御殿に住んでいるプナンもいるし、その意味で、プナンは、「森の民プナン」という表象のなかに、まったく収まるものではな い。ムスリム化したプナンの末裔の男は、リアルプナンに会いたければ連れて行ってやると言った。聞いて見ると、それは、わたしが調査しているところのプ ナンのことだった。そうであるならば、イスラム化したプナンたちは、プナンではないのか?プナンとは、当地では、今もかわらず「森の民」の代名詞でもあ る。さて、これまで見たことがないような圧倒的な緑の魔境のような森を見ながら、車で、東プナン人の村を訪ねた。そこには、褌を身にまとったプナンがいた (写真)。たしか、プナンの調査を始める前、今から10年ほど前にその村を尋ねたときにも、その褌プナンはわたしの前に現れたのではなかったか。ことによ ると、彼は、遠来の客が訪ねてきたと聞いて、普段着から褌に着替えたのかもしれない。写真を撮って、僅かのリンギットをあげた。リアルプナンのイメージ を逆手にとって、食いつなぐ足しにする術を心得た、戦略的本質主義のプナンなのかもしれない。


 

 



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