たんなるエスノグラファーの日記

エスノグラフィーをつうじて、ふたたび、人間探究の森へと分け入るために

イノシシと山の神

2012年11月22日 19時50分58秒 | フィールドワーク

狩猟解禁明け(11月15日)の先週末、四国のとある山で、イノシシ猟と解体を視察させてもらった。そこは、その県の県庁所在地からそれほど遠くないのだが、換金作物の栽培農家が、山の南向きの傾斜面に沿って広がっている景観がひじょうに印象的な集落であった。雨のなか、一時間ほどかけて、標高1000メートル近い地に、「けもの道」を読んで仕掛けられた、20箇所ほどの罠猟の仕掛けを見学させてもらった。仕掛けられた鉄製の「檻」のなかには、メスのイノシシが掛っていた(写真)。

そのイノシシは、野生剥き出しで暴れて、檻に近づく私たちを脅かした。森や山のなかで出くわしたならば、私は、きっとこの剥き出しの野生にやられてしまうにちがいないと感じて、身震いした。檻の上の隙間から金属製の縄が指し込まれ、イノシシの前足が吊あげられ、その瞬間、心臓が突き刺され、真紅の血がぴしゃぴしゃと辺りに垂れ落ちた。一人の男性は、畑で悪さをするイノシシを殺して「山の神」に返す、そのことで、ふたたび、イノシシが獲れるのだという意味のことを呟いた。イノシシは集落にあるシシ小屋に運び込まれ、4人の男性が、解体作業を行った(写真)。最初、耳と鼻としっぽが切り取られ、無造作に、シシ小屋の外に置かれた。それらは、獲れた方角に置いて、山の神に捧げられるのだという。畜生にも魂はある、だから、そうするのだと、一人の男性が呟いた。イノシシには80度のお湯が掛けられ、むしりやすくしておいてから、毛がこそげ取られ、真っ白な丸裸のイノシシが現れた。臓物、四足は捨てられ、頭は耳やしっぽと同じように山の神に捧げられ、そして、捨てられた。約2時間かけて、夕闇せまる頃、ようやく解体作業が終了した。昼間の雨のなかの山行もあってか、そのころには、私の身体は、しんしんと冷えていた。










 



 


桜美林文化人類学学生研究会(OSSCA)主催 第4回講演会の案内

2012年11月15日 11時28分03秒 | 大学

桜美林文化人類学学生研究会(OSSCA)主催 第四回講演会
桜美林大学リベラルアーツ学群文化人類学専攻後援

つながりのはじまり

震災後をともに生きる

講演者
梅屋潔
神戸大学大学院国際文化学研究科准教授

震災後の気仙沼をあるく
 民俗芸能を通してみるコミュニティの原像

金田諦応
通大寺住職

悲しみを支えて
傾聴移動喫茶「カフェ・デ・モンク」の活動


2012年 12/15(土) 14:00‐17:00 (13:30 開場)

桜美林大学町田キャンパス老実館402教室
(JR横浜線淵野辺駅北口・スクールバス乗車8分)
アクセス:http://www.obirin.ac.jp/access/index.html

問い合わせ先:桜美林文化人類学学生研究会(OSSCA)
ossca_obirin@yahoo.co.jp (代表: LA学群3年 木村悟朗)