本書は、先月の岩波新書の新刊。
考古学というから、木簡の話なのかなと思ってゲットしたが、木簡の話から、始まって、20世紀にまで話は、及ぶ。
本書を読んで感じるのは、特に、平仮名の奥深さだ。
昔の話、例えば、源氏物語など、今に伝えられるが、平安時代に書かれた時の姿は、わからない。さまざまな、写本から、推測するしかないのだが、それを伝えている平仮名の使い方か
ら変わっているので、話は、そう簡単ではない。
そこに写し間違いがあったり、勝手に時代に合わせた表記に変えたりしているものだから、推測を加えないと、なかなかオリジナルにたどり着けない。
昔の書物に、さらに昔の書の平仮名をオタマジャクシと称しているものがあるという。
今から読むのは難しいが、はるか昔にもすでに判読が難しくなっていたことがわかる。
その原因の一つに、行の概念や字を揃える概念がなかったことが挙げられる。今の授業では、まず、字をどこで切るかの勉強から始めるという。
道理で、博物館などで、書を見ても、美しいとは思うけど、判読できないわけだ。
16世紀に西欧人が入って来たときの書が、当時の日本語の読み方や、当時の本の書き誤りの発見に役立っているという。
この手の本は、初めてだったので、驚きの連続の、スリリングな本だった。
今の平仮名の使い方が定着したのは、ついこの前であったことも初めて知った。
そういえば、昔、習字を習っていた時に、"ゐ"や"ゑ"などの文字を初めて見たっけ。