「新しい公共」宣言

鳩山首相が熱をいれたひとつに「新しい公共」の取り組みがあった。鳩山さんは所信表明演説(2009.10.26)で次のように述べた。
 友愛、絆を言って「私が目指したいのは、人と人が支え合い、役に立ち合う『新しい公共』の概念です。『新しい公共』とは、人を支えるという役割を、『官』と言われる人たちだけが担うのではなく、教育や子育て、街づくり、防犯や防災、医療や福祉などに地域でかかわっておられる方々一人ひとりにも参加していただき、それを社会全体として応援しようという新しい価値観です」と。
 そしてこれを進めるために、「政治ができることは、市民の皆さんやNPOが活発な活動を始めたときに、それを邪魔するような余分な規制、役所の仕事と予算を増やすためだけの規制を取り払うことだけかもしれません。しかし、そうやって市民やNPOの活動を側面から支援していくことこそが、二十一世紀の政治の役割だと私は考えています」。

 これに対して、行政の責任を放棄し民間に丸投げしようとしている、といった類の批判もあったが、これからの社会でこういう「公共」のステップアップは必要であり社会の方向であると、私などは思う。
 こういう理念を具体化するために、「『新しい公共』円卓会議」がつくられ、何度かの会議を経て、6月4日に「『新しい公共』宣言」を出した。この会議はこれで終わったのではないだろう。しかし、どうも鳩山さんの高らかな理念の宣言と比べてレベルが高くない。結局はNPOなどの取り組みを促進するために税制の優遇とか寄付を積極的に進められるように措置しようということになっているのではないだろうか。

菅首相は、さきの所信表明演説でこの点についてなんと言っているか、といえば、
「私は一昨年から、『反・貧困ネットワーク』事務局長の湯浅誠さんと一緒に、派遣村などの現場で貧困・困窮状態にある方々を支援してきました」。それを踏まえて
「鳩山前総理が、最も力を入れられた『新しい公共』の取組も、こうした活動の可能性を支援するものです。公共的な活動を行う機能は、従来の行政機関、公務員だけが担う訳ではありません。地域の住民が、教育や子育て、まちづくり、防犯・防災、医療・福祉、消費者保護などに共助の精神で参加する活動を応援します」と。

トーンダウンしているように感じるがどうだろう。


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 日韓併合10... クジラを食う... »