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伊勢物語の世界(國學院大學古典講座)

紀伊国屋書店の3Fで、國學院大學の古典講座が開かれた。私はこの第一番目の「伊勢物語の世界」に参加した。講師は北海道短期大学部副学長の播磨光寿さん。
伊勢物語は高校の教科書にも採用されている非常にポピュラーな古典である。今日の講座で知ったことのいくつかを記しておく。

作者は不明である。平安の歌人在原業平がモデルで、登場する「男」はいわば恋愛至上主義者。昔の言葉で「好きもの」である。
第一段で、成人式を終えたばかりの初心(うぶ)な男が京からはなれた奈良に狩りに出かけ、そこでさびれたいなかではとっても違和感を感じるような美しい姉妹を垣間見る。そして恋の歌を贈るが、返歌はない(つまりふられた)。しかし第二段では、平安期の初期、まだ住む人も少ない京の地で、顔よりも心がよい人だったが、独身ではなかったらしい。彼女と「まめ男」(恋にまじめ男)は一夜を過ごした。彼は歌をつくった。この歌は「後朝(きぬぎぬ)の歌」だという。

よく知られているように、伊勢物語は恋に生き女を求めて生きた「男」の歌物語であるが、この物語の最後は、病気になりいわば死にのぞんで詠んだ歌が載せられている(第一二五段)。
「つひに行く道とはかねて聞きしかど 昨日今日(きのふけふ)とは思はざりしを」
この前の第一二四段でも「思っていることすべてを語ることはやめとこう」というような意味のことを述懐している。
講師の播磨さんは、人生最後の段階で「恋愛を卒業した」主人公の気持ちが示されているのでは、と締めくくった。しかし死ぬときまで「好きもの」でいることのできた主人公の人生に感嘆でもある。

約50人の受講生はほとんどが過去の恋を思い出し、そしてまだ何かのロマンを求めているようなプラチナ世代(渡辺淳一さんの「シルバー世代」に代わる言葉)。もちろん女性が多かったのはいうまでもない。
書店で「伊勢物語」に関する本を数冊買った。結局読み終えることはないだろうと思いながら。

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