ハーバード白熱教室-3(哲学は身近の問題から始まる)

「ハーバード白熱教室講義録」の上巻から読みだしたが、やはりハーバード大学での実際の講義に直接参加する形で「哲学」をおさらいしようと考え、オークションからサンデル教授のDVD-BOXを購入した。新品よりも2,000円以上安く買えた。

講義録を見ながらの視聴ではあるから実際に教室にいる感じである。あらためて哲学を学ぶ意味のようなことを理解しかかっている感想である。
サンデル教授は「正義」を命の問題から始める。「殺人に正義はあるか」。この中身というより、この講義の方法である「対話」が非常に面白い。教授が、基本のテーマを具体的な例をあげて説明する。最初の例では、5人の命を奪わないですむために1人を殺していいのか、という例を説明する。これについて、数百人の学生から意見を求め、その発言をさらに整理し、別の発言を促す。このような方法が、ギリシャの哲人ソクラテスの「対話法」だったのか、と想像できた。

第1回の終わりに哲学の意義を教授は語る。哲学を進めるためにはある種のリスクがある、というのである。「哲学という学問は、私たちがすでに知っていることに直面させて…私たちを動揺させる学問」だ。だからソクラテスの時代、彼の友人は「哲学なんてやめて現実を見ろ。ビジネススクールに行け」というような批判をしていたと解説する。

私もかつて高校で長年倫理社会を担当してきた。この教科の6割以上は思想史の分野であった。もし当時、サンデル教授の講義に触れていたならもっと楽しく面白い授業ができたかも知れない、などと思ったりしている。

さきの「すでに知っていることに直面させる」ということは身近な問題をあらためて考え直してみようということだ。命に値段をつけることができるのか、富は誰のものか、などを学生たちと「対話」しながら功利主義(ベンサムやミル)、さらにカント哲学などを深めていこうとする。言い古されてきたが「知的好奇心」を高めることになる自習独学と思っている。DVDは東大での講義を含めて全部で7枚ある。ようやく1枚(2回分)を視聴しただけだが…。

 

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