i氏の海外生活体験記

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大間原発の闇

2012-09-30 23:17:52 | 大間原発の中間貯蔵化
大間原発を中間貯蔵に変更して再生エネルギーで活性化させる提案を書いていたため、大間原発記事を確認していました。そして分かってきたこと、それは「大間原発が原発の一番の闇」だったことです。

もう政府は「この大間原発は手に負えない」と悟ったのですね。ストップしたいけど政府側からは出来ない。アメリカから叱られる。規制委に止めてもらおうと・・・。だから許認可済のものは法的に事業者の責任だ、として政治家は誰もジャッジしない・・・。

予想ですが、大間原発への規制委の技術的指導項目は非常に厳しいものとなりましょう。

私も大間原発に5つの課題を挙げてきました。シロウトの意見ではありますが。
①津波検証が甘い。3m防潮堤では不足。
②耐震の安全性の確認。特に送電鉄塔。本体のみならず配線、配管も重要。
③津軽海峡にある「未知の断層」の専門家の再評価。
④温排水90t/sの漁場影響再評価。添付図ご覧ください。H22函館市原子力シンポの図です。温度差9℃の温水、大事な冬期半年の影響、1.3km拡散予測分布の仮定、放射能の混入などが不明です。
⑤避難道路が冬期通行止め。事故の場合の対応道路も。

これに「たね蒔きジャーナル」の小出氏のトーク記事と過去の規制委議事録を見て更に3つ加えます。
⑥Mox燃料の処理工場が無い。使用済み核はプールに100年くらい保管して線量を下げてから処分。
現在の使用済み核の処分どころではないMox燃料の処理は困難。
⑦Moxは世界初なのに実験炉で確認していない。1/3燃料から運転するのは実質実験炉を兼ねている。
 異常が発生すれば手遅れの可能性も。(そもそも事業者は原発すら初めて建設する会社)
⑧ABWRは経済性追求の改良型であり、安全性を軽視。
つまり、大間原発は「初づくしMoxの事故リスク」「アメリカのご機嫌リスク」「住民の居住不適格リスク」と三重苦なのです。

また、原発全体の廃炉についてもこんな話があります。
そもそも世界で実用原発の解体はまだ一つも完了していません。原発一つで60万m3の放射能汚染ゴミが発生します。放射線量の高い部材は現地に永久放置しておくしかありません。ガレキさえ処分できない日本はあと54基も廃炉できるのか。コストをいくら掛けても廃炉に出来ないかも、です。大間原発は放射能の無い今しか撤退する機会はありません。進捗率38%とかHPにありますが山本議員が視察で実は60%まで作業終わっていることをコメントしています。しかも工事費5,000億ではもう済まないでしょう。世界的にも8,000億から1兆円に高騰していると言われています。事業者ももう引き返せない金額なのかも知れません。ここは原発用地ごと国が買い上げるのが一番良いのではないでしょうか。


ところで、革新的エネルギー政策は、アメリカに指摘され、急遽矛盾したものになってしまいました。「不断の見直し」という文章挿入は外務政務官の意見だったようです。

また、TVでの前原氏の説明によるとアメリカが懸念を示したのは次の3点です。
①プルトニュームがたまる(再処理使用しないと他国からも核の大量保有を指摘される)
②中東の原油価格の高騰(日本が輸入増になると価格がつり上がる)
③アメリカ原発企業への影響(GEやWHのアメリカ原発メーカーが困る)

アメリカの原子力規制委は先日、新規の原発を処分場の問題が解決するまでストップさせました。
アメリカの原発メーカーは自国では身動き取れないので、日本と組んで発展途上国に出るしかありません。その日本に原発ゼロを決められるのは非常にマズイのです。

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原発輸出の今、リトアニア

2012-09-30 11:24:58 | 大間原発の中間貯蔵化
9/29産経新聞が伝えておりました。

-リトアニア 原発推進に沸く街 日立製は「神からの贈り物」-

 東京電力福島第1原発事故が各国のエネルギー政策を揺るがす中、日本で培われた技術を信頼し、原発計画を推進している国がある。ソ連から独立を果たしたバルト三国のリトアニア。東日本大震災からわずか4カ月後の2011年7月、日立製作所に発電所建設の優先交渉権を与えた。チェルノブイリ原発事故、ソ連崩壊、そして欧州連合(EU)加盟と、歴史に翻弄されてきた建設予定地の住民は、日立製作所の原発を「希望」「神からの贈り物」とさえ評している。(リトアニア北東部ビサギナス 佐々木正明、写真も)

 首都ビリニュスの北東約150キロ、ベラルーシとラトビアの国境沿いに位置するビサギナス。この街で原発計画が進んでいる理由は、リトアニアの電力事情やソ連時代の歴史と深く関わっている。

 森と湖に囲まれた地に、人工都市ビサギナスが造られたのは1975年だった。ソ連政府は、この地域一帯の電力供給をまかなうために、イグナリナ原発を建設することを決定。ソ連崩壊で隣国ベラルーシとラトビアは独立し、カリーニングラード州はロシアの飛び地となってしまうが、当時は一つの国家の中にあり、原発は民族を統合する象徴プロジェクトでもあった。

 ソ連全域から原子力関連の専門家や作業員が集められた。人口は3万人を超え、うち約8千人が原発に通う労働者。残りの住民もその家族や飲食店関係者、行政職員らで、ビサギナスはソ連でも有数の“原発城下町”となった。今でも街では、リトアニア語よりもロシア語の方が通じる。

 83年に1号機が稼働。電力はソ連式の送電網で供給され、2号機、3号機の工事が進んだ。ところが、86年にチェルノブイリで原発事故が起こる。イグナリナ原発はチェルノブイリと同型の原子炉を有していた。

 モスクワ近郊生まれで、他の原発で働いた後、82年に街にやってきたビクトルさん(63)は当時をこう振り返る。

 「私は4号機の作業員として呼ばれた。チェルノブイリの影響で4号機は計画自体が廃止。3号機は半分造られていたが、これも途中で取りやめになった」

 しかし2号機はそのまま建設が続行され、87年に完成。イグナリナ原発は2つのチェルノブイリ型原子炉が稼働したまま、91年のソ連崩壊を迎えた。

 リトアニアは独立後もソ連からこの原発を受け継ぎ、ビサギナスにはソ連出身の専門家が残った。同原発は国の電力供給の7割超をまかない、近隣諸国に余剰電力を輸出さえしていた。

 ビサギナスのシュトラウパイテ市長=写真=は「リトアニアは他の国々よりも原発の知識が豊富な原発国家なのです」と語るが、それもこのイグナリナ原発の経験があったが故だ。

 ところが、リトアニアは国の発展に貢献してきた同原発を放棄する決断を下す。

 ソ連に占領された屈辱の歴史を繰り返さないためにも、リトアニアはEUに接近。2003年の国民投票で、91%の圧倒的多数の賛成により加盟を選んだものの、EUはチェルノブイリ型原発を保有しないことを加盟の条件にしていた。結局、リトアニアは加盟と引き換えに、イグナリナ原発の閉鎖を受け入れたのだ。

 多数の国民がEU加盟を喜んだが、ビサギナスだけは別だった。04年に1号機、09年に2号機が稼働を停止すると、大半の作業員が失業者となった。「最後の夜、住民は涙を流し嘆き悲しんだ」(市長)という。

 ビサギナス出身のインガさん(23)は、街がその日を境に急変したのを覚えている。

 「やけ酒に浸る作業員で街はあふれた。閉鎖以来、ビサギナスは『死んだ街』になってしまった」

 ほとんどの若者が学校を卒業すると、働き口を求めて街を去っていく。インガさんも今、ドイツのコーヒー店で働いている。人口は最盛期の約3分の1を失い、2万3千人を割り込んだ。こうして活力をすっかり失った街に、突如現れたのが「日本」だった。

 原発閉鎖に伴い電力不足に陥ったリトアニアは、ロシア産の天然ガスによる火力発電に頼らざるを得なくなった。

 結局、電力需要の6割以上をロシアに依存することになり、電気料金は6倍に跳ね上がったという。ソ連による支配を繰り返さないための選択肢が、ロシアによる新たな“支配”を招く皮肉な結果に陥ったのである。

 こうした事態を改善すべく、リトアニアは09年、イグナリナ原発の隣に原発を新設することを決めた。そしてさまざまな企業との交渉を経て、日立製作所が提案した最新鋭の改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)を受け入れることを内定した。

 この選択は福島第1原発事故後も揺るがなかった。リトアニア政府は、たとえばクビリウス首相に代表されるように、日本側に「福島の事故で日本の原発技術の安全性が否定されたわけではない」と言い続けた。

 総事業費は68億ユーロ(約6800億円)と同国最大規模のプロジェクトになる。関係者は「原発はリトアニアのエネルギー安全保障にとって重要なものだが、ロシアからの独立を完全に果たすための歴史的案件でもある」と強調する。

 しかし、この計画には暗雲が垂れ込めている。国民の多くが原発建設の費用対効果への疑問や事故への不安から、原発反対に傾いていることが世論調査で判明。来月14日、国会議員選挙とともに国民投票を行い、原発新設の是非が問われることになったのだ。

 クビリウス首相は「国民投票に拘束力はなく、すべての決定は政府や国会が行う」とするが、もし大多数が反対という結果に終われば、原発推進の動きは停滞すると見込まれている。

 ビサギナス住民の多くは、原発建設は「街をよみがえらせるための唯一の希望」などと語る。シュトラウパイテ市長は「この計画は、リトアニアにとって『神からの贈り物』なのです」とさえ表現する。

 ビサギナスの街のシンボルは鶴。市役所前にも、空を羽ばたく鶴のモニュメントがある。市長は「日本では千羽鶴を折って願い事をするそうですね。われわれもこの鶴に希望を託します」と話している。

 ◇リトアニア 人口330万人。ロシア系は5%でバルト三国の中で最もロシア系が少ない。面積は東北地方と同規模の約6万5千平方キロ。1990年にソ連からの独立を宣言。2004年に北大西洋条約機構(NATO)と欧州連合(EU)に加盟。

-引用終わり-

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