じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

浅田次郎「柘榴坂の仇討」

2019-11-02 20:50:57 | Weblog
☆ 浅田次郎さんの「五郎治殿御始末」(新潮文庫)から「柘榴坂の仇討」を読んだ。これは名作だ。

☆ 映画も良かったが、原作は更に素晴らしかった。講談調とでも言おうか文章のリズムがいい。ムダがなく、情景がありありと浮かんでくる。色が美しい。綿雪の白、椿の赤。街灯などなかった時代、日が暮れると真っ暗であろうが、雪明りに照らされて、椿の赤が実に映える。

☆ 桜田門外ノ変、井伊直弼の駕籠を警護していた侍とその駕籠を襲った侍。どちらも死にきれず、止まった時間の中で辛苦をなめて生き延びてきた。時代は明治となり、もはや仇討はご法度。それでも男は何かを求めて仇敵を探す。

☆ そして、二人の侍が出会ってしまった。討つために、そして討たれるために。時代の氷結に閉じ込められ、生きることも死ぬこともできない男たち。果たして彼らは自ら背負った宿命を乗り越えることができるのか。

☆ もっと書きたいこともあるが、余韻を味わってここまでにしておこう。
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有栖川有栖「ブラジル蝶の謎」

2019-11-02 18:02:45 | Weblog
☆ 有栖川有栖さんの「ブラジル蝶の謎」(講談社文庫)から表題作を読んだ。

☆ 強引な商売の結果、中堅金融会社を築いた社長が死んだ。彼が残した財産や今後の会社の運営について、側近たちが話し合っている時、死んだ男の弟という人物が現れる。彼は浮世に嫌気がさし、長い間、孤島で暮らしていた。

☆ 欲にまみれた世界で生きる側近たちと仙人のような生活をしていた弟が折り合うはずもない。そしてこの弟が殺される。天井には亡き社長の希少な蝶のコレクションが貼られていた。この奇妙な殺人現場が意味するものは何か。

☆ この事件に、火村・有栖コンビが挑む。
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