じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

帚木蓬生「閉鎖病棟」

2019-11-13 17:28:41 | Weblog
☆ 帚木蓬生さんの「閉鎖病棟」(新潮文庫)を読んだ。

☆ 心に病を抱える人が入院、治療を受ける「閉鎖病棟」が主な舞台。

☆ 最初の堕胎シーン、次に続く放火殺人シーン、断片的であるとさえ思えるこれらの場面がやがてメインストーリーにつながっていく。前半は少々退屈なので、そこを乗り越えれば、物語に入っていける。

☆ 閉鎖病棟には様々な人が暮らしている。30年も入院しているチュウさん。死刑を執行されたのに絶命せず、「死者」として刑務所から放逐され、結局この病院に辿りつた秀丸さん。言葉の不自由な昭八さん。母親を刺し、治療を受けつつも、病院を抜け出しやがて白骨体で発見されたクロちゃん。覚せい剤中毒で元暴力団員、乱暴でみんなから敬遠されている重宗。父親から性暴力を受け心のバランスを崩した中学生の島崎さん。

☆ 物語は不幸な殺人事件へと進んでいく。

☆ 心に病をもち、社会的な偏見に直面しながらも、人として生きている人々の姿が印象的だった。
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