前回に引き続き京都ネタですが、今回の上洛の大きな楽しみの1つが町屋ゲストハウスの初体験でした。京都の路地奥などにある古い町屋建築を借り上げて宿泊施設に改装したものですが、近年京町屋ゲストハウスは静かなブームとなってきています。部屋はたいていの場合ドミトリー、つまり相部屋になっていて、シャワーやトイレももちろん共同です。
相部屋形式というと、日本では山小屋などを除いてほとんど馴染みがありませんが、海外ではそう珍しいものでもないようです。なので、京町屋ゲストハウスは安くジャパンテイストを味わえる宿として、日本人よりも海外からの旅行客にもてはやされているようです。
私が泊まった時も、偶然なのかどうかは分かりませんが、おそらく宿泊客のなかで日本人は私だけでした。おかげで館内は公用語が英語になっていましたが、外国人とはいってもほとんどがアジア系でした。中国・香港・台湾はもちろんのこと、東南アジアからの旅行客もいました。東南アジアといっても華僑系だったので、その気になれば館内公用語を中国語に塗り替えることもできたのでしょうが、談話室でしゃべっている間はずっと英語を使っていました。
世間では日中摩擦だ何だと問題になっていますが、こうしてしゃべっていると旅行客とお金持ちには愛国だの反日だのはどうでもよいことなのだろうな~と感じます。買い物が目的の金持ちは高級ホテルに泊まるでしょうが、少なくともこんな安い木賃宿に泊まりに来るような旅行者は、「日本」を識ろうと来ているわけですから。
日付が変わるころにはマレーシア人とサシで飲みながら話していたのですが、彼は下手な日本人よりも京都の観光スポットをよく押さえていて、ひとまず中学の修学旅行のときの私よりはずっと調べ上げていました。こちらも、一日の長がありますからいろいろとアドバイスするのですが、おかげで下手な日本人よりよほど教え甲斐がありました。
彼についてもう1つ面白かったのは、やはり日本といえばマンガなんだな~と感じさせられたことです。ある程度酒が回ったころ、「ところで、君はこのマンガを知っているか?」といくつかe-bookのマンガを見せられたのですが、3分の1くらいは知らないんですよ。私も、オタクには遠く及ばないけど、平均よりはかなり知っている方だと自負しているのですが、そんな私が知らないようなコアなマンガを「これはイイ、これもイイ」と紹介されて、私の方が日本文化を教わっている気分でした(笑)。
で、話を町屋に戻すと、要は一般木造家屋をちょっと改築しただけの木賃宿ですから、設備に関してはお世辞にも整っているとはいえません。ですが、私にいわせればそれは当然だし、それこそが町屋の醍醐味のひとつだと思うのですよ。今回じゃらんで申し込みましたが、口コミをみると軋みがうるさいとか水回りがどうとか、果ては隣の人のいびきがうるさいとか(どうしろと…)、言いたい放題の王様みたいなことが書いてあるのですが、そんな人はそもそもドミトリーなんかに泊まろうなんてするもんじゃないと思うんですよね。
その点、私は貧乏人のハシクレですから、いつまでたってもお湯にならないシャワーとか、隣室の寝返りまで聞こえる壁とか、どこからともなく聞こえてくる奇声とか、その程度なら慣れっこです(笑)。みなさんも、もし相部屋に共同バストイレくらいなら気にならいということであれば、ぜひ京都の町屋ゲストハウスを試してみてはいかがでしょうか。何より日本は雑魚寝宿まで安全です。私は外国人率の高い相部屋宿ということで、所持品管理については結構身構えて行ったのですが、いざ泊まってみると雰囲気からして外国のドミトリーに比べて格段に安全なので拍子抜けしてしまいました。
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