塵埃日記

つれづれなるままに、日々のよしなしごとなど。

北海道の隠れた銘菓「きびだんご」:関東大震災の復興を願ってつくられた伝統菓子

2018年09月17日 | 旅行
 
最大震度7を記録した北海道胆振東部地震。無数の土砂崩れに襲われた厚真町の衝撃的な情景が目から離れません。電力は一応の回復をみたそうですが、インフラや被災した方々の生活の再建はまだまだ難しそうです。

今回の話題は、明るく書きたい内容だったので載せようか悩んだのですが、北海道について宣伝することは復興にも寄与するだろうと思い、アップすることにしました。

表題の「きびだんご」とは、夕張郡栗山町の谷田製菓で製造しているお菓子です。栗山町は札幌市の東、厚真町の北にあります。きびだんごといえば、誰もが桃太郎が持っている丸いお団子を想起するでしょう。桃太郎のきびだんごについては、キビ(黍)の粉を原料としているから、あるいは岡山県の吉備地方が発祥だからといわれています。ですが、北海道の「きびだんご」は、この一般的なイメージの桃太郎だんごからはかけ離れています。ただパッケージには、桃太郎がしっかりプリントされていて「日本一」と銘打ってあります。



中身はというと、いくつかタイプがあるようなのですが、私の好みのものはこのようにキャンディのような包みになっています。



この時点で「だんご」と呼ぶのはちょっと違和感ですが、包みを開けてみるとさらにびっくり、



オブラートに包まれた茶色の不定形な物体が現れます。これをオブラートごとむっしゃむっしゃと食べるわけです。これが、不思議な甘さとむっちり食感でとても美味しいのです。水あめにちょっと醤油(原材料にはありませんでしたが)をまぜたような、控えめな甘さで飽きが来ません。ちょっとハードなゆべしとでも言った感じでしょうか。

製造元の谷田製菓さんは大正2年の創業で、きびだんごは同12年に関東大震災の復興の願いや北海道開拓団の精神をこめて生み出されたそうです。なぜ「きびだんご」という名前になったのかは気になるところですが、公式HPによれば当初は「起備団合」と呼んでいたそうです。

私がこのお菓子を知ったのは、先掲の7月の奥尻島滞在でのこと。もくもくとウニ剥きの仕事をしていると、ときどき手休めのもぐもぐタイムがあります。そこで初めて口にして、こりゃ美味いと島の商店でお土産に何袋か購入しました。あとで空港や函館の街中のお土産屋さんなどを覗いてもありませんでした。どうもあくまで地元のお菓子らしく、おそらくスーパーなど土地のお店でないと置いていないのでしょう。

買ってきた分はすぐになくなり、もっと欲しくなったのですが、製造元の谷田製菓さんでは公式な通販はしていないようでamazon経由で再度購入しました。個人的には、こんなに美味しいお菓子なのだからもっともっと広まって良いと思うのですが、北の人々の謙虚さゆえか地元のソウルフードにとどめられているようです。

北海道へ行かれる際は観光客向けのお土産屋だけでなく、ぜひ地元のお店ものぞいてみて、丸くない不思議なきびだんごを手に取ってみて下さい。

  



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