中国には政府公認の教会と、未公認の「家の教会」の2種類の教会しかなく、欧米や日本では当たり前になっている教派や教団といったものが存在しません。カトリック系の教会もありますが、ローマ教皇による叙任権の管轄外にあって教皇庁側からは認められていないのです。
河南省だけでおよそ3千万人のクリスチャンがいると言われていますが、少なくともその10人に1人が、前述した「家の教会」のリーダーに教えられた人か、間接的に教えに触れた人と考えられ、単純計算しても彼は300万人のリーダーなのです。
実は20代や10代の若者でも、数千人の信徒リーダーであることは普通です。中国では信徒数を数えることにあまり意味はありません。千人規模で驚かれる日本の教会とはまったく次元が異なる世界です。一言で言うと、中国の教会は「初代教会そのものの姿」なのだと思います。
■ 彼らには恐れがなく、迫害には神の助けがある
「家の教会」のリーダーが開いている神学校の学生たちのレベルは驚くほど高く、日本や欧米では諸々の神学論争に発展しているような難しいことを、18歳の女の子がサラリと明確に答えるのを見て、私はとても驚きました。
講義中でも「アーメン!!」の応答の連続で、非常にアクティブで元気いっぱいです。「地下教会」と聞くと、ひっそりと隠れて小声で話し合っているイ メージを持つかもしれませんが、彼らが小声で賛美をしているのを聞いたことがありません。確かに彼らには「恐れ」がないのです。「愛」の対局が「恐れ」で あることを思い起こさせられます。
若者たちは、わずか9カ月間で4つの獄中書簡をすべて暗記してしまいます。でなければ卒業できないのです。このことは、私たち日本人クリスチャンに は信じられないことですが、事実です。彼らは明日にも投獄されるかもしれないことを想定し、聖書がなくても伝道することができるよう訓練を受けているので す。
激しい迫害に対しては、このような神の力と助けがある。迫害とリバイバルは裏と表。中国の地下教会の姿は、正に初代教会の姿ではないかと思います。中国に限らず、おそらくインドや北朝鮮などの迫害下にある教会は、同じような状況にあるのでしょう。
私が日本での活動において、「聖書の原点に戻れ!」と主張しているのは、このようなリバイバルの現実を見ているからです。日本のリバイバルは、特定の教派や教団からではなく、人間的な壁を越えた、「家の教会」などの現場から起こると私は思っています。
それまで20人程度だった教会に突然、「どうしたらクリスチャンになれるのですか?」という人たちが数百人も来るようになる。それがリバイバルで す。今までリバイバルが起きた国ではすべてそうなっています。では、本当にそうなった場合、そういった状況に対応できる教会が、いったい日本にどれくらい あるでしょうか?
リバイバルと謳う教会はあっても、実際にリバイバルの準備をしている教会は、私の知る限りほとんど日本には存在していないのではという印象です。で すから今のうちから、「家の教会」においても、地域教会においても、聖書を人々に正しく伝えることができる人材を一人でも多く育てていく必要があると私は 示されています。
私は中国の地下教会のリーダーたちを日本に呼んで、日本の教会でメッセージをしてもらったり、温泉に連れて行ってもてなしてあげたいと心から思います。ですが、それはこの世においては残念ながら不可能です。
中国の貧しい農民がパスポートを手にすることはほとんどありません。パスポートを持てる中国人は、全体からするとかなり裕福な人たちです。なにより 中国政府はクリスチャンを反政府主義者としてみなしていて、パスポートを発行しません。彼らは中国国内から出ることができないのです。(続く)---5/30/2014 Christian Today---
※ 日米中3カ国の「家の教会」を巡るミッションを続けている「Good News Station」の創設者で巡回伝道師の田中啓介牧師による中国宣教レポートをお届けしています。 http://www.christiantoday.co.jp/articles/13395/20140530/china-mission-report-2.htm
■ Good News Station
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