Good News Report

Good News Station の活動模様をお伝えしています。

中国宣教レポート(2) 迫害や収監さえも“福音を伝える好機”と考える人々

2014年05月29日 | Christian Today

 中国には政府公認の教会と、未公認の「家の教会」の2種類の教会しかなく、欧米や日本では当たり前になっている教派や教団といったものが存在しません。カトリック系の教会もありますが、ローマ教皇による叙任権の管轄外にあって教皇庁側からは認められていないのです。


 河南省だけでおよそ3千万人のクリスチャンがいると言われていますが、少なくともその10人に1人が、前述した「家の教会」のリーダーに教えられた人か、間接的に教えに触れた人と考えられ、単純計算しても彼は300万人のリーダーなのです。


 実は20代や10代の若者でも、数千人の信徒リーダーであることは普通です。中国では信徒数を数えることにあまり意味はありません。千人規模で驚かれる日本の教会とはまったく次元が異なる世界です。一言で言うと、中国の教会は「初代教会そのものの姿」なのだと思います。





(都市部で華々しい開発が進む一方、郊外や地方では変わらない街並みが。こうした路地裏に多くの「家の教会」が生まれている)


 中国の「家の教会」、つまり「地下教会」の彼らは、公安にいつ摘発されるかわからないなかで礼拝を続けています。単に人との交流や食事などが目的で 来ている人は一人もいませんでした。また、私は彼らから中国政府に対する悪口や恐れに関する話を一言も聞いたことがありません。


 家の教会のリーダーたちは歯ブラシとタオルを常時携帯し、いつ収監されてもいいように備えています。年端のいかない神学生たちも、監獄は“最高の神 学校”であるという意識を持っています。彼らは迫害や逮捕を正面から受け止めているだけでなく、それさえも“福音を伝える絶好の機会”と考えているので す。


 ちなみに、中国のインフラや農村の住環境は、日本人の想像を絶するものです。高速道路沿いの宿でさえ、シャワーのお湯は出ない、ゴミだらけ、ノミも泥棒もいて当然。留置所や刑務所の食事やトイレの状況などは推して知るべしの世界です。


 彼らも、教会も、宣教師訓練所もみな、貧しいです。日本ではメッセージをした者が謝儀を受け取るのが普通ですが、中国では私たちが彼らに献金を置い ていきます。彼らは私たちに野菜や果物をたくさん持たせようとしてくれますが、それが謝儀の代わりです。中国ではそれが普通のことなのです。





(さびれた路地の奥に地下教会や神学校が開かれている)


■ 彼らには恐れがなく、迫害には神の助けがある


 「家の教会」のリーダーが開いている神学校の学生たちのレベルは驚くほど高く、日本や欧米では諸々の神学論争に発展しているような難しいことを、18歳の女の子がサラリと明確に答えるのを見て、私はとても驚きました。


 講義中でも「アーメン!!」の応答の連続で、非常にアクティブで元気いっぱいです。「地下教会」と聞くと、ひっそりと隠れて小声で話し合っているイ メージを持つかもしれませんが、彼らが小声で賛美をしているのを聞いたことがありません。確かに彼らには「恐れ」がないのです。「愛」の対局が「恐れ」で あることを思い起こさせられます。


 若者たちは、わずか9カ月間で4つの獄中書簡をすべて暗記してしまいます。でなければ卒業できないのです。このことは、私たち日本人クリスチャンに は信じられないことですが、事実です。彼らは明日にも投獄されるかもしれないことを想定し、聖書がなくても伝道することができるよう訓練を受けているので す。



(高速道路のゲート。インフラは進んでいるようでもあるが・・・)


 激しい迫害に対しては、このような神の力と助けがある。迫害とリバイバルは裏と表。中国の地下教会の姿は、正に初代教会の姿ではないかと思います。中国に限らず、おそらくインドや北朝鮮などの迫害下にある教会は、同じような状況にあるのでしょう。


 私が日本での活動において、「聖書の原点に戻れ!」と主張しているのは、このようなリバイバルの現実を見ているからです。日本のリバイバルは、特定の教派や教団からではなく、人間的な壁を越えた、「家の教会」などの現場から起こると私は思っています。


 それまで20人程度だった教会に突然、「どうしたらクリスチャンになれるのですか?」という人たちが数百人も来るようになる。それがリバイバルで す。今までリバイバルが起きた国ではすべてそうなっています。では、本当にそうなった場合、そういった状況に対応できる教会が、いったい日本にどれくらい あるでしょうか?


 リバイバルと謳う教会はあっても、実際にリバイバルの準備をしている教会は、私の知る限りほとんど日本には存在していないのではという印象です。で すから今のうちから、「家の教会」においても、地域教会においても、聖書を人々に正しく伝えることができる人材を一人でも多く育てていく必要があると私は 示されています。


 私は中国の地下教会のリーダーたちを日本に呼んで、日本の教会でメッセージをしてもらったり、温泉に連れて行ってもてなしてあげたいと心から思います。ですが、それはこの世においては残念ながら不可能です。


 中国の貧しい農民がパスポートを手にすることはほとんどありません。パスポートを持てる中国人は、全体からするとかなり裕福な人たちです。なにより 中国政府はクリスチャンを反政府主義者としてみなしていて、パスポートを発行しません。彼らは中国国内から出ることができないのです。(続く)---5/30/2014 Christian Today---


※ 日米中3カ国の「家の教会」を巡るミッションを続けている「Good News Station」の創設者で巡回伝道師の田中啓介牧師による中国宣教レポートをお届けしています。 http://www.christiantoday.co.jp/articles/13395/20140530/china-mission-report-2.htm




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中国宣教レポート(1) 田中啓介牧師 「あっという間に大きく広がっていく地下教会」

2014年05月28日 | Christian Today

各地で「家の教会」を支援している「Good News Station」の田中啓介牧師から、中国宣教レポートを寄稿いただきました。田中牧師は大連、杭州、北京、天津、郭州などの地下教会においてメッセージ を語り、人々の心の渇望と、キリスト教信仰の広がりに触れてきました。以下、田中牧師の報告を掲載します。


20年ほど前、私が通っていた教会(WLAホーリネス)に、日本から中国へ聖書を運ぶ活動をされていたM宣教師が来られました。その時のお証しは、次のようなものでした。


中国の「家の教会」を訪ねた時、土間を掃除している一人の男性がいた。献身的な働きぶりに、M師はてっきりその家の使用人だと思った。ところが集会 が始まると、その男性が前に立って話し始めた。その人は何百万人という信徒を抱える「家の教会」グループのリーダーで、河南省のクリスチャンで彼を知らな い人はいないということで、とても驚かされた。


この話が私にはとても印象的で、いつかこのリーダーにお会いしたいという思いを持ったのが、中国宣教を始めたきっかけです。


私が献身した後、M師と家族ぐるみの交流が始まり、教会の礼拝や「家の教会」などに彼をお招きしたり、彼らが私のメッセージを聴きに来てくださったり、公私ともども交流を深めていました。


私が米国から日本に帰国した2011年からは、東北の被災地伝道を中心に働いていました。しかし、「中国におけるリバイバルの現実をこの目と身で実 際に体験しておかなければ日本のリバイバルの働きに携わることはできない」という強い思いが当時からあり、それが実際に中国に赴いた理由です。


M師は30年以上前から中国全土で宣教活動をし続けている日本語と中国語のバイリンガルで、地下教会の状況に精通し、現地では、中国人で通っている人です。彼という存在を通してでなければ、日本人が中国宣教に行くことなどは不可能でした。


2012年と2013年に私はM師とともに中国を訪ね、各年10日間かけて、大連、杭州、北京、天津、郭州などの地域を回りました。約3400キロ を移動するという超絶スケジュールで、その間は教会でメッセージを話しているか、食事や睡眠をとっているか、車で運転しているかという忙しさでした。





一口に「家の教会」と言っても様々な形態があり、北京などの都会では政府職員やビジネスマン、大学生などのインテリが集まっている教会や、10代後半から20代前半の若者たちが集まっている宣教訓練所などがあります。地方では農村に点在して農民たちが集まっている「家の教会」です。前述した「家の教 会」のリーダーがおられる河南省が中国リバイバルの中心地と言えます。その多くが農民です。

中国の「家の教会」はほとんどが無牧ですので、リードするのは信徒リーダー。牧師も食事もない場所に、毎週必ず新しい人が数人来ています。数カ月もすると直ぐに30人以上になるので、枝分かれして別の場所で集会が持たれるようになる。そうやって中国の「家の教会」は、あっという間に大きくなり広がっています。


北京の教会では、事務所の10畳ぐらいの部屋にびっしり人と詰まっている状態。賛美、聖書朗読、証し、その週に学んだことをシェアし合う。それだけ で3時間。北京の教会には、英語を話せて世界や日本の情報をよく知っている、かなりインターナショナルな感覚を持った人が何人もおられました。


前述した「家の教会」のリーダーの方は、車で20分かかるところを歩いて迎えに来てくださリ、私たちの荷物を両手に持って、スタスタと先を歩いて行 かれるような、私たちが日本から来たことを、涙を流しながら感謝して祈り、実に色々と気を使っくださり、私が20年前に想像した通りの人でした。


彼はこれまで何度も公安に捕まり、牢獄に入れられ、外に出るとまた伝道を繰り返すという生活をしています。一見すると農家のオジサンですが、本当に天使のような顔をされています。日本から牧師が来るということで、50人近い人たちが泊まり込みで集まって来ていましたが、公安に目をつけられるため、人数はなるべく制限しているということでした。


「家の教会」では、朝3時間、午後4時間、食事をしてまた夜に4時間というように、一日中しゃべりっぱなしの状態です。しかし、ダレルような人は一人もおらず、目を爛々とさせて、ずっとメッセージに聴き入っています。それだけ、彼らは御言葉に飢え渇いているのです。


最終日に私たちが帰る時には、皆、大きな声で賛美をして送ってくださいました。その時の別れの賛美と、朝、私がまだ部屋にいる時、彼らが先に集まっ て、賛美している声が聞こえてきたのですが、それはまさに天国の歌声のようでした。私が最も中国で印象的だったのは、この賛美の美しさと強さでした。(続く) ---5/28/2014 Christian Today---




(宣教訓練所で教える田中牧師(左)と、通訳を務める地下教会のリーダー)


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「家の教会」を3カ国で支援 Good News Station 田中啓介牧師「初代教会の姿に戻り、聖書の原点に帰る」

2014年05月20日 | Christian Today


「家の教会」を3カ国で支援 Good News Station 田中啓介牧師「初代教会の姿に戻り、聖書の原点に帰る」

 「無牧教会の人や教会に属していない人、クリスチャンではないけれど聖書を知りたい人たちのためにメッセージを届けたい」。その言葉どおり、田中啓介牧 師は日米中3カ国の「家の教会」を巡るミッションを続けている。「聖書解釈は芸術だ」「牧師はハングリーアート」の持論そのままに、発せられる言葉には強 い情熱がこもる。

 田中牧師はウェブ教会「Good News Station」の創設者にして巡回伝道師。聖書を解き明かすメッセージの音声や動画をユーチューブなどに投稿し、サイトでは「お招きがあればどこにでも 行きます」と発信している。日本国内にとどまらず年に数回米国の集いにも出向き、さらに中国の「家の教会」でも聖書講解の働きをしてきた。

 「中国伝道は命懸けです。地下教会として信仰を守っている彼らと接していると、初代教会そのものの姿とリバイバルの現実を見ることができます。政権が変 わって以来、取り締まりは厳しくなり、ここ1年ほどは中国に入ることができません。私たちのウェブサイトは中国では開くことができなくなっています」

 岐阜県出身で現在56歳の田中牧師は、浄土真宗の寺の長男として生まれた。21歳で米国に留学し、卒業後はロサンゼルスの日本語放送局や新聞社などメディアの仕事を経験してきた。聖書に触れて33歳の時にウェストロサンゼルス・ホーリネス教会で受洗した。


□米アナハイム市の「家の教会」での聖書講解


 その後、マタイ10章から召命を受け、JTJ宣教神学校、カリフォルニア神学大学院を経て、2003年に南部バプテスト連盟所属の牧師に。ロサンゼルス を拠点に牧会していたが、日本のリバイバルのため2011年に帰国した。現在は関東・東北地区を中心に、弟子訓練と「家の教会」の成長支援のため各地を巡 回伝道している。

 「数年前に米世論調査会社が行った調査によれば、日本には約6%のクリスチャンが存在するという結論でした。つまり、教会には属していないが自分はクリ スチャンだと考えている人たちが多いということです。その人たちのために正しい福音を伝える必要を強く示されたことが、3年前に帰国して『Good News Station』を始めた理由です」


■ 救われた人々を育て、世に派遣するシステムを

 「家の教会」が日本にほとんど存在していないこと自体が課題だとする。現在日本で田中牧師が関わっている「家の教会」は、「集い」の段階のものも含めて 7カ所。出席の平均は5、6人だが、多い時には15人ほどが集まる。田中牧師がこれまでネット上で公開したメッセージ音声や動画は100本ほどあり、それ を用いて聖書研究する「集い」が少しずつ増えているという。

 「私の知る限り、日本の教会の霊的覚醒の兆しはほとんど見ることができません」と厳しい評価を語る。その理由を「加工場がない港に船は着けない」と例え る。東北の被災地で路傍伝道していた時、復旧が進まない港の姿から閃いた。「せっかく魚を獲っても港に工場がなければ魚を腐らせてしまうだけです。魚を加 工・配送するシステムがないのと同じで、救われた人々を教え、育て、世の中に派遣するシステムが日本の教会になければ、リバイバルは起こせないのです」

 さらに、「現代の教会に力がないのは、教会が聖書の教えから離れ、聖書の真理をないがしろにしているからではないか」と指摘する。「前例がないから」 「予算と人材を考慮して」といったの理由ばかりが優先され、「聖書は何と言っているか? ということが充分に審議されていないのではないか」


□岐阜芥見キリスト教会の日曜礼拝でメッセージを語る田中牧師


 「求められているのは『改善』ではなく『革新』です。新しい方法論や従来の改良ではなく『原点回帰』。初代教会の姿に戻り、聖書の原点に帰ることです。 初代教会の人たちの生活(使徒2:44~45)に倣うことができるのか? 彼らのような祈り(使徒4:29)ができるのか? しかし、聖書に真に忠実であるとは、そういうことなのです」

 地域教会に属している人にも、「家の教会」は人々が教会につながるために必要なステップとの認識を持ってほしいと呼びかける。また、地域教会に属さず に、新しい教会構築のビジョンが与えられている人に対しては、霊的リーダーとともに弟子訓練の学びを続け、家の教会の活動を進めてほしいと言う。

 「Good News Station」のサイトには「家の教会」を作りたいと考える人たちに向けた解説ページも設けられている。田中牧師は、求めがあれば世界中どこへでも謝儀なしで出向くとしている。(5/19/14 Christian Today)

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