見もの・読みもの日記

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手のひらで感じる/2013東美特別展(東京美術倶楽部)

2013-10-31 00:10:55 | 行ったもの(美術館・見仏)
東京美術倶楽部 第19回『東美特別展』(2013年10月18日~20日)
  
 早く書かないと忘れてしまうと思いながら…。10月19-20日の週末は東京に出かけた。目的のひとつがこれ。毎年秋に秋に行われる美術品の展示即売会(アートフェア)で、2008年に初めて覗いてみて以来、やみつきになった。三年に一度の特別展は「展示会」の要素が強くて、参加店舗数は少ないが、選ばれた店舗(65店)が選りすぐりの名品を出展する。

 いつものように4階から。古美術を中心に見ていく。古筆の軸に吸い寄せられたのは「五月堂」。二条切が140万円。広沢切は値段の表示がなかったが、別のお店で、そういう場合は値札の裏を返すと、さりげなく書いてある場合もあるのを発見。「加島美術」は「奇想の画家」をタイトルに掲げて、岩佐又兵衛、若冲、蕭白、蘆雪という取り合わせ。嬉しい。「思文閣銀座」は、宗達の烏図双幅(阿吽なのか?)、同じく宗達のモコモコした虎は、口元にうっすら赤が配されていたが、舌なのか、何か咥えているのか、よく分からなかった。「甍堂」には、興福寺千体観音の一体。両手を欠いているが、夢見る童子のような表情が愛らしい。全く知らなかったが、仏教美術愛好家にとっては憧れの仏像なのだそうだ。定信筆「兼輔集切」は、本当に小さな断簡だったが、450万円という価格に驚く。「ふるさとの三笠の山 とほけれど 声はむかしに うとからなくに」の和歌が気に入って、書きとめて来た。水鳥のかたちをした金銅の水滴(鎌倉時代)など、小さくて品のよい骨董がさりげなく並んでいて、贅沢。

 「中村好古堂」で驚いたのは、中尊寺経(紺紙金銀字交書)の美しさ。ガラスケースなしで見る金泥、銀泥って、こんなに輝くのか! 「壺中居」は中国の石仏特集で、雲崗の仏頭3000万円、北魏の小さな石仏が3500万円。でも青銅器に見入っているおじさんがいたら、店員さんが、気軽にぱかっと蓋を開けて内側を見せていた。「小西大閑堂」の玉眼の不動明王と制吒迦、矜羯羅童子像、よかったな~。鎌倉ものかしら。阿弥陀仏の左右に来迎衆を描いた三幅対の仏画も好き。以上でようやく4階を終了。

 3階、「瀬津雅陶堂」は琳派特集で、宗達のカモと白鷺に見とれる。「万葉堂」で見た古染付の、網目のまんなかに小魚を描いた器が気に入る。なんでもない皿のようで、網目七寸皿120万円。重之と敏行を描いた「時代不同歌合」は、詞章の行が、それぞれ中央から左右に向かって書かれているのが面白かった。「はせべや」には賀茂の競馬を描いた六曲一双の屏風。

 「浦上蒼穹堂」で、店員さんが「これ、薄いんですよ」と説明しながら耀州窯の器を撫ぜているのに刺激され、自分も手を出して、触ってみる。おお~。耀州窯って、見た感じよりも、薄くて軽いんだな。「古美術木瓜」であったか、根来の瓶子を見たときも、千載一遇のチャンス!と思って、持ち上げてみた。これはずしりと重かった。なるほど、形は不安定だが、これなら倒れる心配はないのだと分かった。

 2階はお座敷で、茶道具多し。1階「祥雲」に正倉院御物の撥鏤(ばちる)の尺や碁石の模作があった。守田蔵さんという方が制作されているらしい(→写真)。かわいい…。「寿泉堂」で見た相阿弥もよかった。美術館や博物館という「ついのすみか」に収まる前の作品たちと、軽く浮気するような、楽しいひとときだった。では、また来年。

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