見もの・読みもの日記

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北京・天津・河北省の旅2009【第6日】天津→滄州→石家荘

2009-09-20 00:18:35 | ■中国・台湾旅行
 天津は、2006年に続く再訪のため、前回の心残りポイントのみ。天后廟→天津博物館→青柳鎮の石家大院。

 天津博物館は、前回、3階の近代史展示だけでタイムアップしてしまったので、今回は2階に集中。2階は4つの専題陳列室と特展ホール、そして精品陳列室から成る。陶磁器陳列室から見始めたら、どんどん時間がなくなっていくので、いかん!と思って、いちばん重要な精品陳列室「百年集珍」に飛び込む。

 中でも最奥の一区画は精品中の精品ぞろい。書では、王羲之の書『寒切帖』。五行ほどの掠れた草書体だ。陶磁器では、明洪武年間の『釉里紅松竹梅紋罐』が、雄渾で男性的な逸品。清乾隆年間の『琺瑯彩芍薬雉鶏紋玉春壺瓶』はスマートで愛らしく、2人の皇帝の性格の違いを感じさせる。

 明永楽年間の「青花枇杷綬帯鳥紋盤」は、見覚えのある意匠だと思ったが、「伝世品は3件しかない」という説明を読んで思い出した。大阪東洋陶磁美術館の安宅コレクションに同類の皿が2件あったはず…。図録『安宅英一の眼』のNo.96と97がこれにあたる。No.97(画像あり)だけが重文指定を受けている。

 ふと、湾曲した壁に沿ったガラスケースに、5~6メートルもある長大な水墨画巻が広げられているのに気づいた(作品保護のため、近づかないと明かりがつかない)。『河上花図巻』という。雪景色なのかしら? 枯れた蓮の茎らしきものが見える。手前の景物を極端に大きく描く遠近感が、近代的で新鮮。作者は朱耷…って私の好きな八大山人ではないか。

 石涛の『巣湖図』は、すぐに作者が分かった。童心を感じさせる美しい淡彩。雲海のような湖面に、竜宮城のような楼閣が浮かんでいる。朱耷(八大山人)も石涛も、私はこの数年の間に覚えた画家で、京都の泉屋博古館に名品がある。

 変わったところでは、非常に写実的な清の武官の巨大な肖像画が2件あって、どちらも「清乾隆年間の紫光閣功臣像の一」と説明されていた。もと280幅あったが、伝世品は20幅に満たず、中国国内にはこの2幅しかないそうだ。おお、紫光閣功臣像については、2006年に大和文華館で見た上に、塚本麿充さんの日曜講座で詳細を聞いたことを思い出した。日本で覚えたことを、中国の博物館で確認するのって、なんだか嬉しいなあ。

 特別展『国家珍蔵』は、北京の国家博物館(閉館中)の巡回展でにぎわっていたが、ここは簡単に見流して、可能な限り、平常展の専題陳列室をまわった。しかし、1時間半では2階の半分がいいところ。また心残りを抱える結果となった。

 午後、河北省東南部の石家荘市に向かう途中、滄州市で高速を下り、鉄獅子を見る。想像を超えて、あきれるほどデカい。



 滄州市を車で走っているとき、友人が「紀暁嵐故里」という看板を見つける。このあたりは、むかしの河間府で、四庫全書の編纂官・紀(紀暁嵐)先生の出身地なのである。ちょっと嬉しい。

(9/27記)

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