見もの・読みもの日記

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父と息子の絆/中華ドラマ『雪中悍刀行』

2022-01-24 20:34:32 | 見たもの(Webサイト・TV)

〇『雪中悍刀行』全38集(新麗伝媒、企鵝影視、2021)

 架空の王朝・離陽王朝を舞台とする古装ファンタジー。かつて鉄騎軍団を率いて諸国を平定し、いまは上柱国の地位を得た北椋王・徐驍(胡軍)には二人の娘と二人の息子がいた。徐驍は長男の徐鳳年(張若昀)を後継ぎに考えていたが、当の徐鳳年は諸国遊歴から成人式のために戻ったところで、父の後を継ぐ気は全くない。武芸を学ぶことさえ断固拒否している。一方、次男の徐龍象(荣梓杉)は天性、優れた内力を備えており、家臣の中には、徐龍象こそ後継ぎにふさわしいと考える者もいた。徐驍は徐龍象を武当山へ遠ざけるが、徐鳳年は父の仕打ちに怒って、弟を迎えに武当山へ向かう。

 徐鳳年の遊歴中、苦楽を共にした馬夫の老黄は、実は剣九黄と呼ばれる剣客だった。老黄は、東海の武帝城に住む王仙芝に敗れて以来、武芸を棄てていたが、もう一度挑戦すると言い残して武帝城へ向かう。しばらくして徐鳳年のもとに老黄の死の知らせが届いた。徐鳳年は老黄の仇を討つために武芸を学び始め、武当派の掌門から強大な内力を授けられる。また、弟の徐龍象は、龍虎山の老道士が預かることになった。

 翌年、徐鳳年は再び遊歴に旅立つ。徐驍が従者として選んだのは、癖のある面々ばかり。侍女の姜泥(北椋に滅ぼされた西楚国の公主)、魚幼薇(同じく西楚国の生き残りの美女)、青鳥(護衛の女死士)、魏爺爺(徐驍の腹心)、寧峨眉(北椋鉄騎の勇将)、徐鳳年を狙う刺客と女剣客だった林探花/呂銭塘と舒羞。そして地下牢から呼び出された謎の老人は、剣神・李淳罡だった。

 その頃、離陽皇帝の私生児・趙楷は、天下に大乱を招いて皇位を奪う野望を抱き、各地の野心家をたきつけて、徐鳳年の命を狙っていた。それをひそかに支援するのは、趙楷が師匠と慕う宦官で武功高手の韓貂寺。また、宮廷の黒幕・宰輔の張巨鹿も北椋の勢力を削ぐために暗躍する。しかし徐鳳年は、仲間たちの助けを得て、数々の危機を乗り越え、武芸を磨き、人間的にも成長してゆく。弟王の支持者だった寧峨眉も次第に徐鳳年に心服する。姜泥は徐鳳年に惹かれる気持ちを自覚するが、西楚国の再興を志す曹長卿に出会い、公主の責任を果たすため、旅立っていく。

 さて徐鳳年の母親・北椋王妃は剣の達人だったが、徐鳳年が幼い頃、離陽城で亡くなっていた。徐鳳年は、王妃の剣侍だった女性に会い、母親が何者かに襲撃され殺された可能性があることを知る。武帝城で老黄の形見の剣箱を奪還した徐鳳年は、弟と二人の姉の協力を得て、真犯人を突き止め、ついに母親の仇討ちを遂げる。四人の兄弟姉妹は、再会を期して各々の住処に帰っていった。

 原作はもっと長い小説らしい。そのため、ドラマでは何のために登場したのかよく分からない人物もいるが、ロードムービー的に舞台が切り替わるので、登場人物が多いわりに混乱はなく、結末にも納得できた。特撮技術の進歩は驚くばかりで、達人たちが天空高く飛び上がる(ように見せる)戦闘シーンは爽快だったし、何百本もの剣を宙に浮かべたり、波涛に立ち上がったり、雲中に巨大な龍が出現したり、冒険ファンタジー好きの心が躍る場面が何度もある。伝説の生きもの・虎夔の登場など、ハリー・ポッター映画みたいな楽しさもあった(凶悪なパンダも登場w)。

 演者は、旬の若手とベテランの実力派が勢揃いしており、隙が無い。その中でも胡軍の演じる徐驍のタヌキおやじっぷりが最高にチャーミングだった。いつも息子にガミガミ言われているダメな父親のようで、息子はちゃんと父の偉大さと愛情を分かっており、だからこそ、それを超えていこうと決意している。主役の徐鳳年(張若昀)と二人でわちゃわちゃしている番宣ポスターのシリーズがとても好き。


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