見もの・読みもの日記

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2019岡山ミニ旅行:金田一耕助の小径

2019-06-24 23:17:15 | 行ったもの(美術館・見仏)

 岡山に行く機会があったら、一度訪ねてみたい場所があった。倉敷市真備町にある横溝正史旧宅である。倉敷観光WEB(公式観光サイト)には、JR伯備線の清音駅を起点とし、横溝正史と金田一耕助にまつわる見所をめぐる「金田一耕助の小径」というウォーキングコースが掲載されている。毎年11月には「巡・金田一耕助の小径」と題した横溝正史ファンの集いが行われてることも承知で、ずっと気になっていた。何しろ私は、小学生からの(まだ角川映画がブームをつくる前からの)横溝正史&金田一耕助ファンなのだから。

 土曜日、大原美術館を参観後、JR伯備線で倉敷の次(しかし駅間は長い)の清音駅で下りた。

 待合室に貼り紙があって、駅前の商店で「金田一耕助の小径ガイドブックを発売中」を書いてあったので寄ってみたら、つれなく「品切れ」と言われてしまった。仕方ないので、スマホで倉敷観光WEBの地図を見ながら歩く。まず高梁川を渡った。予想以上に川幅が広くてビビる。道なりに歩いていくと、川辺本陣跡の碑。向かいに脇本陣跡もある。新しい家の間に、ときどき古い蔵造りの家が混じる。工事をしている家屋が多かったのは、昨年7月の西日本豪雨の影響かもしれない。真備地区は大きな被害を受けた。

 ↓『本陣殺人事件』で三本指の男が一柳家への道を聞き、水を一杯所望したところ。倉敷観光WEBおよびGoogleマップでは「三宅酒店」といって、横溝家御用達だった酒屋があることになっているが、店舗はなかった。昨年の豪雨の影響か、それとも単に代替わりなのか。

 ↓濃茶の祠(こいちゃのほこら)。『八つ墓村』に登場する「濃茶の尼」の名前の由来になったと言われる。ほこらは、岡田藩家老の奥方が宿場で病気になった時、親切に世話をしてくれた茶屋のばあさんを祀ったもの。

 田んぼの中をずんずん進むと、とつぜん正面に現れる、左右に広い白壁の家が横溝正史の疎開宅。昭和20年4月から約3年半、家族とともに暮らし、『本陣殺人事件』『蝶々殺人事件』『獄門島』などの傑作を生み出した。道の向かい側には季節の花いっぱいの花畑があって「金田一畑」の札が立っていた。

 中に入りたいところだが、右手方向に少し歩いて、獄門島に出てくる「千光寺」と同じ名前のお寺があることを確かめる。小説と違って、ゆるやかな坂。

 再び横溝正史疎開宅に戻って、門をくぐる。

 開け放たれた玄関に足を踏み入れると、センサーが反応して音楽が流れた。人の姿のなかった屋内から、小さなおばちゃんが顔を出して迎えてくれた。風のない炎天下を1時間ほど歩いてきた私が汗びっしょりだったので、奥から扇風機を持ってきてくれようとした。大丈夫、大丈夫です、と慌てて固辞したら、冷たい麦茶を出してくれた。ちょうど12時のサイレンが鳴って、お昼はまだでしょ? ええ、という会話をしたら、今度は山盛りの炊き込みごはんを持ってきてくれた。

 お茶碗三杯分くらいありそうな量で、食べられないかもしれない、と申し上げたのだが、美味しくて、結局完食してしまった。床の間に飾られた横溝先生の写真を見ながら、まさかこんなところでこんな歓待を受けるとは、と可笑しく思った。奥の一間にお仲間がいるらしく、会話の声が聞こえるので、あとで御礼に行ったら、ほかにおばさんが二人、おじさんが一人いらした。近所にお住まいの方々だそうで、こうして文化財を守りながら、一緒に食事やおしゃべりをして、楽しく過ごしているのだ。玄関の上り口にしゃれた木製の新しいパーテーションが倒してあって、「イベントの写真をこれに飾ろうと思って」など、運営の工夫もしているみたいだった。

 横溝先生も金田一探偵も愛されていて嬉しい。別のおばさんが、これを、と下さったのは、イベント「巡・金田一耕助の小径」で配られた特製うちわ。うわ~ありがとうございます!

 そして、汗も引いたので、再びウォーキングコースの続きを歩き始める。すると急に雲が多くなり、風が強くなってポツポツ雨が落ちてきた。大池のほとりには『悪魔の手毬唄』の登場人物・おりんの像があるのだが、風雲急を告げる背景がぴったり。なお小さな像である。

 横溝正史疎開宅のおばさんたちには「ふるさと歴史館にも寄っていきなさい」と言われ、はいそうします、と答えていたのだが、本格的に雲行きが怪しくなってきたので駅へ急ぐことにした。折りたたみの日傘(晴雨兼用)を持っていたのは幸い。↓歴史館前の金田一耕助像。

 ↓緑陰にたたずむ『獄門島』の了然和尚像。

 ↓『八つ墓村』の森美也子像。エイリアンみたいで怖い。

 最後は後ろからたたきつけるような雨風で、靴やスカートが濡れてしまい、ほうほうの体で川辺宿駅にたどりついた。駅前にあるはずの『悪霊島』巴御寮人像を見逃してしまったのは残念。そして、清音、倉敷を経て岡山から東京へ帰った。岡山駅でフルーツパフェを食べて帰るつもりだったが、お腹いっぱいだったので、そのまま新幹線に乗ってしまった。パフェはまた次の機会に。


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