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マンガ原作の武侠SF/中華ドラマ『異人之下』

2025-06-11 23:35:41 | 見たもの(Webサイト・TV)

〇『異人之下』全27集(優酷、2023年)

 見たい新作ドラマが途切れていたので、2023年公開で気になっていた本作を見てみた。原作は『一人之下』というウェブ漫画で、2018年には日中合作のアニメにもなっているらしい。へえ、全く知らなかった。

 ストーリーは、漫画原作らしく速いテンポでどんどん進む。平凡な大学生の張楚嵐は、ただ一人の家族だった祖父を幼い頃に失っていた。祖父の張懐義は、常人にない能力を持つ「異人(アウトサイダー)」の一人で、張楚嵐はその能力を受け継ぐとともに、成長するまで封印することを言い渡されていた。大人になった張楚嵐は、異人の一味に次々に襲われ、祖父から受け継いだ「炁体源流」の秘術を解禁する。

 この世界には、多くの異人が存在しており、いくつかの勢力グループがあった。張楚嵐を助けてくれたのは、表向きは「哪都通」という宅配会社を装っている集団で、総帥の徐翔の下に、徐三、徐四がいる。生前の張懐義に頼まれ、張楚嵐の成長を見守ってきた不思議な少女・馮宝宝もこの集団に身を寄せていた。よりエグゼクティブな雰囲気を漂わせるのが「天下集団」の総帥・風正豪。娘の風莎燕はかなり狂暴な美少女。しかし本格的な敵対勢力は「全性」を名乗るグループであることが徐々に分かってくる。

 異人たちの世界では「八大奇技」と呼ばれる8つの秘術の存在が知られていた。張楚嵐の「炁体源流」はその1つで、風正豪は「拘霊遣将」を使う。龍滸山の老天師・張之維は、八大奇技の1つ「通天籙」の伝授を賞品とした天師大会を開催することにし、腕自慢の異人たちが龍滸山に集合する。張楚嵐、馮宝宝、風莎燕のほか、武当山の王也、老天師の直弟子の張霊玉、諸葛孔明の後裔である諸葛青なども。トーナメントに出場するのは若者たちだが、それを見守る老師たちも一堂に会する。

 そして次第に明らかになること。異人たちの世界には、かつて八大奇技をめぐって凄絶な抗争があった(甲申之乱)。張楚嵐の祖父・張懐義は、もとは龍滸山の張之維らの同輩だったが、乱の首魁と見做され、龍滸山を追われ、何者かに暗殺されたのだった。馮宝宝は、「哪都通」の徐翔が幼かった頃、記憶を失った状態で放浪していた。徐翔の家族に助けられ、今日に至るが、半世紀あまり(?)経っても全く年を取る様子がなかった。

 天師大会トーナメントの結果は張楚嵐が優勝。しかし張楚嵐は「通天籙」の伝授を望まず、ただ祖父の死と馮宝宝の身元について真実を知りたいと願う。そこに「全性」集団が乱入するが、老天師・張之維が超絶的な能力を発揮して返り討ちにする。

 龍滸山攻略に失敗した「全性」集団では、若き策略家・呂良が掌門の座に就く。呂良には、幼い頃、呂歓という妹を失ったトラウマがあった。張楚嵐は呂良の記憶をたどり、そこに秘められた罠に気づく。呂良の祖父・呂大爺は八大奇技に執心し、端木瑛という老女が修得していた「双全手」という秘術を獲得するため、端木瑛の血液を抜き取って呂家の赤子に注入した。しかし、その端木瑛は、すでに呂歓と全ての記憶を交換していた。呂家から姿を消した呂歓の正体は端木瑛だったのである。馮宝宝(無根生の娘)の記憶を奪ったのも端木瑛だった。無根生は、八大奇技を生み出した異能者たちのさらに師匠にあたる大異能者だった。

 正体を現した端木瑛は、馮宝宝の心と身体を破壊しようとするが、張楚嵐は必死にこれに抵抗。天師大会トーナメントで出会った仲間たちの支援もあって、馮宝宝の救出に成功する。馮宝宝は再び全ての記憶を失っていたが、張楚嵐は、一歩ずつ彼女の心に近づこうと考える。

 原作を知らないと分かりにくいところもあったが、細かいことを気にせずに見ていく分には面白かった。若者世代も年寄り世代も、癖の強いキャラ&俳優さんが多くて楽しかった。張楚嵐役の彭昱暢くん、馮宝宝役の王影璐さんは初見だと思うが、なかなかの芸達者。王也役の侯明昊くんは久しぶり。老天師役の王学圻さんは『追風者』の共産党員・徐諾か!長い白眉毛など徹底した老けメイクで全然分からなかった。風正豪役の修慶さんは、現代ドラマが珍しい上に最後まで善人だったのが意外で(端木瑛と戦う張楚嵐に加勢する)笑ってしまった。

 設定としては現代?SF?のジャンルになるのだろうが、正派と邪派の抗争、秘技の争奪、過去の因縁、老輩から若者への教えなど、完全に武侠ドラマの骨格だと思った。2024年公開の映画作品(主演・胡先煦)もあるそうで、こっちの配役もなかなかいい。見てみたい。


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