見もの・読みもの日記

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2016幽霊画展(全生庵)

2016-09-02 21:12:42 | 行ったもの(美術館・見仏)
全生庵(台東区谷中) 『幽霊画展』(2016年8月1日~8月31日)

 三遊亭円朝(1939-1900)ゆかりの全生庵は、毎年8月に幽霊画コレクションを公開している。…という話を初めて聞いたのは、もう30年くらい昔のことではないかと思う。なかなか実際に行ってみる機会がなかったのだが、昨年の東京芸大『うらめしや~、冥途のみやげ展』、今年の『大妖怪展』で、コレクションの一部を見ることができた。そうすると、やっぱり現地に行ってみたくなって、ついに念願をかなえた次第である。



 8月最後の日曜日、周辺にはお囃子が流れ、賑やかだった。日暮里・谷中の総鎮守、日暮里諏方神社の祭礼だったらしい。全生庵は、本堂の隣りの建物が「幽霊画展」の会場になっていた。むかしの教室のような、磨き込まれた木製の床。約30点が展示されていた。幽霊画にも怖いのと美しいのとがある。鰭崎英朋(ひれざき えいほう)の、行灯に照らされ、蚊帳に浮かび上がる幽霊は美しいほうの代表格。そして鰭崎英朋って、調べてみたら幽霊画以外にも魅力的な絵を描いているのだな。渡辺省亭の、火鉢からのぼる煙の奥で、泣き崩れるような女の図は、顔は見えないけど美人の雰囲気。

 月岡芳年の宿場女郎図は、階段を上りかけて振り向く、痩せさらばえた女の図。醜怪とまではいかないけど、鬼気迫るものがある。伊藤晴雨の『怪談乳房榎図』は、子どもを抱いた幽霊が、すさまじい形相で滝の中から現れたところ。こめかみの血のどす黒さがリアル。はじめ女性かと思ったが、解説を読むと、男性(絵師重信)の幽霊らしい。

 作品は虫干し状態で壁に掛けてあるので、展示ケースのガラス越しに見る展覧会と違って生々しかった。幽霊が、紙の中から抜け出てきたらどうしよう、と思った。

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