見もの・読みもの日記

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2024年6月鎌倉散歩:長谷寺、鏑木清方記念美術館

2024-06-21 22:30:16 | 行ったもの(美術館・見仏)

長谷寺(鎌倉市長谷)

 先週末、鎌倉のアジサイが見たくなって、混んでるだろうなあと思いながら出かけた。横須賀線と江ノ電は、覚悟をしていたほどには混んでいなくて、目的地の長谷寺に到着した。短い石段を上がって、山の中腹に開けた高台の本堂に詣でる。もちろんご本尊は、長谷寺式十一面観世音。ということは、奈良の長谷寺と同じ真言宗豊山派なのかな?と思ったら、こちらは浄土宗系の単立寺院だった。

 しかし伝説によれば、養老5年(721)徳道上人は楠の霊木から2体の観音さまを造り、そのうち1体を大和国の長谷寺にまつり、残りの1体を海に流した。その1体は15年漂流し、天平8(736)年、相模国長井の浜(横須賀市長井)に打ち上げられ、現在の場所に運ばれて、鎌倉の長谷寺が創建されたのだという(江の島・鎌倉ナビ)。2022年には、鎌倉・長谷寺はご本尊造立1300年を記念して、全身が拝見できる「御足参り(みあしまいり)」が連日行われていたのだという。残念、コロナもあって来逃してしまった。

 この日は「あじさい路」の散歩を楽しみに来たのだが、入場制限で「240分待ち」という掲示が出ていたので諦めた。その代わり、2015年に開館した観音ミュージアムをはじめて参観した。私は、この前身にあたる宝物館には何度か来たことがあるのだが、すっかり現代的な施設に生まれ変わっていた。お前立ちの十一面観音立像も三十三応現身も大変よかった。また「お帰りなさい、絆観音」と題して、造立当初のお姿の再現を目指した新しい観音像(中村恒克、飯沼春子造立)も展示されていた。

鏑木清方記念美術館 特別展『清方と二人の弟子-門井掬水 西田青坡-』(2024年5月25日~6月30日)

 鎌倉駅周辺に戻り、小町通りの雑踏を抜けて同館へ。美人画や市井の風俗を描いた門井掬水(1886-1976)と西田青坡(1895-1980)の作品を紹介する。西田青坡『明治の遊び』は、浴衣姿の幼い少女二人が縁先に置かれた切抜灯籠(紙細工)を覗き込んでいる。灯籠の主題はお染久松の奥蔵の場らしい。ひとりの少女が手に持ったパレット(?)には白いしんこの塊のただしんこと、色とりどりの色しんこが載っている(※これ)。こんな遊び道具があったのだな。清方の『朝夕安居巻』には、釣り竿みたいな持ち手の先に小さな赤い提灯を下げた子供(男児?)が、辻占を売っている様子も描かれている。今では消えてなくなった風俗が分かっておもしろい。清方は大正末頃から、実社会の有り様を描くことを弟子に指導していたという。

 同館の受付では、芯の入った赤い紐を貰った。土用の朝に咲いている紫陽花を切り、赤い紐で結んで軒先に吊るすとその家が栄えるという言い伝えがあり(初耳!)清方はこれを実践していたという。今年の土用は7月19日。覚えていられるかな…。そして清方が「紫陽花舎(あじさいのや)」という雅号を用いていたことも初めて知った。どうりで、美術館の木戸を入るとアジサイだらけであるわけだ。

石畳の小径にはこんな飾りも。

やっぱりアジサイは、涼し気な青と紫が好き。これはJR鎌倉駅前の植え込み。

この時期、おんめさま(大巧寺)の庭に咲くアガパンサスも好き。

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