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見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

2022年12月関西旅行:茶の湯(京都国立博物館)再訪

2022-12-04 22:00:49 | 行ったもの(美術館・見仏)

京都国立博物館 特別展『京(みやこ)に生きる文化 茶の湯』(2022年10月8日~12月4日)

 金曜に名古屋へ日帰り出張の予定が入ったので、自費で足を伸ばして、週末、関西で遊んできた。目的の1つ目は『茶の湯』展を再訪すること。土曜の朝、開館10分前くらいに行ったら、70~80人は並んでいたと思う。建物に入り、混雑が嫌だったので、2階の「四頭茶礼」の展示室から見ていく。11月に京博の『白衣観音図』と大徳寺の『龍虎図』が掛けてあったところには、愛知・妙興寺の『観音・龍虎図』(室町時代)3幅。恰幅のよい男性的な観音様だった。次室は絵巻が中心。『不動利益縁起絵巻』はあまり見たことのない場面で、僧房の囲炉裏で湯を沸かし茶を入れているらしい。鬼神が浮遊しているのもおもしろい。

 「唐物賞玩」の展示室で、11月に『煙寺晩鐘図』(畠山記念館)が出ていたところには『遠浦帰帆図』(京博)が掛かっていた。修理後、初公開とのこと。また梁楷の『六租破経図』(三井記念文庫)と『六租截竹図』(東博)を並べて眺めることができたのも嬉しい。『破経図』は別筆(伝・梁楷)と判断されているが、素人にはよく分からないなあ。団扇形の画面に描かれた伝・趙昌筆『茉莉花図』(常盤山文庫)と『林檎花図』(畠山記念館)も一対の作品に見えるが、林檎花図のほうが少し(1世紀くらい)早いらしい。東博の『猿図』も来ていた。

 「町衆文化」の展示室に入って、見慣れない作品で面白かったのは馬公顕筆『薬山李翺問答図』(南禅寺)。大きな石のテーブルを挟んだおっさん二人が何か問答をしている。珠光筆『漁村夕照図』(三井記念美術館)もよかった。茶人の珠光と同一人かどうかは不明とのこと。根津美術館の『清拙正澄遺偈』(毘嵐巻)が来ていたのも嬉しかった。2階の最後の展示室「わび茶の発展」は屏風特集で、徳川美術館の『遊楽図屏風』(相応寺屏風、17世紀)に惹かれた。喧嘩、水泳、船遊び、舞台鑑賞、輪踊り、宴会、風呂など、さまざまな遊楽が描かれている。男性は長い刀が目立ち、女性は垂髪スタイルがそこそこいる。

 1階へ。11月には『桃鳩図』など中国絵画の名品が揃っていた部屋は、桃山陶磁器の特集になっていた。それぞれ独特の歪み具合が、じわじわと味わい深い。『伊賀耳付花入 小倉伊賀』は初めて知った作品だが、細身でスマートな歪みに惹かれた。絵画では、いつも大徳寺の宝物風入れで見ている伝・牧谿筆『芙蓉図』が来ていた。縦長の墨蹟『清拙正澄墨蹟 与鉗大治蔵主法語』(永青文庫)を見たときは「牛」や「艸」の縦長の筆画に目が留まり、あ、私の好きな『毘嵐巻』と同じ字だ、と気づいて、清拙正澄という名前をあらためて認識した。このひと、積極的に推していきたい。

 最後に3階へ。冒頭には無準師範の墨蹟『茶入』(五島美術館)が掛かっていた。相変わらず名品揃いだが、11月に比べて地味な印象だった。目を惹いたのは、佐竹本三十六歌仙絵『坂上是則』(文化庁)で、鹿の遊ぶ雪山の大和絵を用いた表具が抜群に個性的である。隣りに並んだ『青磁貼花牡丹唐草文瓢形瓶(銘:顔回)』(曼殊院)も個性的で愛らしく、よく似合っていた。

 文書類では『宮城図』(陽明文庫、鎌倉時代)の北東の隅に「茶園」と書かれた一角があるのが興味深かった(上東門の北、達智門の東)。図録の解説によれば、大同3年(808)この地にもともとあった鍛冶司の廃止を受けて設定されたようだが正確な時期は分からないそうだ。

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