見もの・読みもの日記

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2020年8月関西旅行:清水寺と石山寺に千日詣り

2020-08-17 21:49:59 | 行ったもの(美術館・見仏)

音羽山 清水寺(京都市東山区)

 毎年8月9日~16日は千日詣りの本堂内々陣特別拝観が行われていると聞いたので行ってみた。「密」を避けて入場者の人数制限をしているらしく、入場口で少し並んだ。その分、中は人が少なくて快適だった。ほの暗い須弥壇には迫力ある二十八部衆が並んでいて、壇上のほうがずっと「密」だった。本尊のお厨子の扉は閉じられていて、金色の御前立が正面を守っていた。本来なら、お厨子の扉から伸びた結縁の紐に触ることができるはずだが、感染予防で紐には触れられないようになっていた。

 お堂の隅に特別な「千日詣りお守り札」が積んであり、欲しい人は自分で貰っていく方式。お寺のおじさんから「はい、また来年もいらっしゃいね」と声をかけられた。ご近所の方は、毎年古いお札を収めて新しいお札を貰っていくのかなあ。次はいつ来られるか分からない観光客なのが寂しい。

大本山 石山寺(大津市石山寺)

 予定していなかったのが、急に思い立って石山寺へ。石山寺の本尊・如意輪観音菩薩は「日本唯一勅封観音」と呼ばれる秘仏で、原則「33年に一度および新天皇即位の翌年のみ開かれる」ことになっている。ちなみに直近では2016年に「33年に一度」の開扉をしている。私はこのときは来ていなくて、調べたら2009年の「西国三十三所結縁御開帳」で参拝している。今回のご即位記念御開帳は、当初、2020年3月18日~6月30日までの予定だったが、新型コロナ感染症拡大と完全に時期が重なり、4月22日~5月31日まで石山寺は閉門(!)、再開後は「宮内庁の許可を得て」8月10日まで特別公開を延長することになった。まさにその最終日にあたっていたので、これもご縁と思って、石山寺へ向かうことにした。

 到着したのが午後3時過ぎ。猛烈に暑い。拝観券売り場のおばさんに「本堂は3時半までですよ」と言われたので、慌てて石段を登って本堂に直行する。秘仏ご本尊の厨子(というか土間に作り付けられた部屋)の前まで進んで、美しくて巨大な如意輪観音坐像と相対することができる。夢見るようにほぼ閉じた目。両手も台座に上げた片足の足裏も、柔らかそうで大きい。

 観音さま、今回のご開帳ではマスク姿の参拝客しかご覧にならなかっただろう。次のご開帳が、私の生きているうちにあるのなら、マスクなしで参拝できるといいなあ、などと考える。

 お厨子の裏側にまわると、2002年にご本尊の胎内から発見されたという4躯の小さな金銅仏(飛鳥~天平時代)が展示されていた。無造作に置かれた『塑像金剛蔵王立像心木』が目に入ったときは、はっとした。やっぱり前回、ここで見たのか。ただの直線の木材の組み合わせだが、現代アートみたいな魅力があるのだ。昨年、MIHOミュージアムの『紫香楽宮と甲賀の神仏』展にも出ていた。

 京博の西国三十三所草創1300年記念特別展に始まり、しっかり観音さまとご縁を結んだ一日だった。

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