見もの・読みもの日記

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名品も全て/ART in LIFE, LIFE and BEAUTY(サントリー美術館)

2020-08-22 22:30:17 | 行ったもの(美術館・見仏)

サントリー美術館 リニューアル・オープン記念展I『ART in LIFE, LIFE and BEAUTY』(2020年7月22日~9月13日)

 2019年11月から半年余り休館していたサントリー美術館がリニューアルオープンした。本展は、同館の基本理念である「生活の中の美(Art in Life)」をテーマにした特別展示である。ポスターには、蒔絵、螺鈿、陶磁器、ガラス器、着物などの写真が並んでいる。このあたり、あまり得意でないので、今回は行かなくてもいいかと思ったが、リニューアル記念なので、軽い気持ちで行ってみた。

 冒頭は蒔絵や螺鈿の手箱、香合、鏡台、さまざまな櫛や簪、化粧道具セットなど。確かに「生活の中の美」ではあるけれど、たとえば日本民藝館のコレクションから感じる「生活」とはずいぶん違うと思った。生活と言っても、日常とは異なる「ハレ」の時間を飾る品々である。

 少し進むと、見慣れた絵画が登場する。大好きな『舞踊図』は6面のうち3面。『誰が袖屏風』は着物だけでなく、匂い袋や双六の盤を描き添えることで、着物の持ち主に関する想像をいろいろ逞しくさせる作品。その隣りに、同館所蔵の能装束や能面、蒔絵箱を使った「誰が袖屏風見立て」があって、楽しかった。自分の「留守模様」を考えてみるかな。またジーンズやラジカセを描いた現代作家の「誰が袖屏風」も面白かった。

 『朱漆塗矢筈札紺糸素懸威具足(しゅうるしぬりやはずざねこんいとすがけおどしぐそく)』は初めて見たような気がする。「豊」の文字があしらわれていることから、豊臣秀次所用の伝承があるそうだ。ここでは、鎧武者のフィギュアなどで知られる現代アートの野口哲哉さんとのコラボが面白かった。

 続いて、階段下のロビーにかけて屏風が多数。狩野探幽の『桐鳳凰図屏風』も出ているのか。『日吉山王祇園祭礼図屏風』も。『賀茂競馬図屏風』の前では野口哲哉さんの小さな武者人形も競馬を見物する群衆に混じっているようだった。

 階下の展示室は『花下遊楽図屏風』『上野花見歌舞伎図屏風』などに加えて、お銚子、徳利、重箱、煙草盆など、遊楽気分を盛り上げる。山口晃さんの『今様遊楽図』『成田国際空港 南ウィング盛況の図』も面白かった。山口さんの『今様遊楽図』は『千と千尋の神隠し』っぽい。やっぱり現代人にとっての「遊楽」といえば温泉(またはスーパー銭湯)なのかな。

 最後に驚いたのは『南蛮屏風』(伝・狩野山楽筆)と『泰西王侯騎馬図屏風』が出ていたこと。いや、サントリー美術館の名品展としては外すわけにいかないが、「生活の中の美(Art in Life)」と聞いて、今回こうした重量級の作品は出ないのだろうと思っていたので、嬉しい驚きだった。空いていたので、ゆっくり見ることができた。サントリーの『泰西王侯騎馬図屏風』は4人(4頭)とも大人しい馬の姿が描かれており、神戸市立博物館の同図には荒々しく動的な馬が描かれているというのは、言われてみればそのとおりで興味深かった。

コメント
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