goo blog サービス終了のお知らせ 

見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。
【はてなブログサービスへ移行準備中】

応仁の乱から家康まで/戦国時代展(江戸東京博物館)

2016-12-14 00:20:58 | 行ったもの(美術館・見仏)
江戸東京博物館 特別展『戦国時代展-A Century of Dreams-』(2016年11月23日~2017年01月29日)

 今年の春は『真田丸』展で大いに賑わった江戸博が、年末から年始は『戦国時代展』だという。これはまた、観客を集めるに違いないと思ったら、案の定、混雑していた。戦国好きは多いんだなあ。私は、日本史でいちばん興味がないのが戦国時代なのだが、いちおう見ておこうという冷めた気持ちで出かけた。

 だいたい日本における戦国時代というのが、いつからいつまでなのか、はっきり把握していない。公式サイトによると、享徳3年(1454)に関東で始まった「享徳の乱」、応仁元年(1467)に京都で勃発した「応仁・文明の乱」をきっかけに始まり、天正元年(1573)の織田信長による将軍・足利義昭追放の頃を終わり=安土桃山時代の始まりとするのだそうだ。本展は、この100年あまりを網羅的に紹介する展覧会だというが、始まりはともかく、終わりはなんとなく中途半端な感じがする…。

 会場に入ると、はじめに太田道灌(1432-1486)関係文書が展示されているのは「江戸」博だからか。第1章「合戦」には、視覚的な合戦図が複数。たぶん見たことのある米沢市上杉博物館の『川中島合戦図屏風』、福井県立歴史博物館の『姉川合戦図屏風』(複製)は、この夏、同館で見たと思う。山口県文書館の『芸州厳島一戦之図』は、初めて見た。天文24年(1555)、毛利元就が陶晴賢を奇襲した厳島の合戦の布陣図である。切り立った三角形に表された厳島、水路を挟んで向き合うように描かれた山陽道側の山並み、厳島神社の鳥居の左右に砂州が伸びて、入江を池のように囲んでいるのも面白い。

 確か、この毛利氏の説明パネルの前に、真田昌幸使用と伝える日月文軍配とか、真田幸隆が武田信玄より拝領したと伝える法螺貝が並んでいて、真田ファンなら大喜びしそうなのに、注目されていなくて残念だった。茜染めの六文銭の旗は別のケースにあり。カッコイイ!

 第2章「群雄」は肖像画など。はじめに足利義政、細川政元の名前を見て、ああこの『戦国時代展』は応仁の乱をカバーするのだなと理解する。浅井長政像と小谷城絵図あり。織田信長、上杉謙信もあり。そういえば武田信玄はなかったなと思い、いま展示リストを見たら、後期(1/2~)には信玄像や岩櫃古城図、北条早雲・氏綱・氏康・氏政・氏直像が登場する。そのかわり、大内義隆、尼子経久、毛利元就の肖像と文書は前期のみ。好きな武将がいる場合は、よく展示リストをチェックして出かけたほうがいいと思う。

 このセクションには刀剣コーナーが作られていて、現在見られるのは、健勲神社の『刀 義元左文字 無銘』、上杉神社の『大太刀 伝倫光作』(長い!)、厳島神社の『太刀 銘一 黒漆太刀拵付』。最前列で見たいと思う観客は、おとなしく列に並んで順番を待つ。二番目の列でいいと思えば並ばなくても見られる。熱心なファンの間から「刃紋きれい~」というため息が漏れていた。また、上杉博物館が所蔵する「上杉文書」から、さまざまな武将の消息を伝えるものがたくさん出ていて、珍しいと思ったら、この展覧会は、来春、上杉市博物館に巡回するらしい。

 第3章「権威」は戦国時代につくられ、愛好された品々ということで、大徳寺大仙院の『瀟湘八景図』などが出ていて、意外な眼福だった。後期は、東京ではめったに見られない南宋絵画の『雪中帰牧図』2幅(大和文華館)と『達磨・豊干・布袋図』3幅(妙心寺)が出るらしい。なんというお年玉!

 第4章「列島」は、当時の列島を往来した人々の姿に着目する。従来の「戦国時代」のイメージを広げるもので、面白かった。たとえば西国三十三所巡礼や秩父観音巡礼の資料。北海道の上ノ国勝山館跡出土遺物は懐かしかった。勝山館は、松前氏の祖である武田信広が15世紀後半に築いた山城の遺跡である。2013年、江差線廃線の直前、台風におびえながら旅したことを思い出したが、またいつか行ける機会があるだろうか。ほかに毛利家文書に入っている、朝鮮通信使関係の外交文書と印章、華南三彩陶器など。戦国時代は、さまざまな人が列島の内外を往来した時代でもあった。あ、でも本展では、南蛮貿易関係の資料は無かった(目立たなかった)気がする。

 終章「新たなる秩序」は、豊臣秀吉像と聚楽第の出土遺物、徳川家康像(東照大権現像)で終わる。やっぱり、こうしないと、戦国時代に幕が引けないのだろうが、安土桃山時代がすっぽり抜けているようで、なんとなく落ち着かない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする