○大津市歴史博物館 第63回企画展『湖都大津のこもんじょ学』(2014年3月1日~4月13日)
古文書は、美術や考古資料などの文化財に比べると敷居が高い気がしていたが、見ているうちにだんだん面白くなってきた。本展は、大津市に関わりの深い、戦国武将や寺社、村や町に関する古文書を一堂に集めて大公開。伝教大師最澄や智証大師円珍に関する「国宝」級の古文書も出ているが、むしろ地券だの寄進状だの、地域の歴史に密着した文書のほうが面白かった。
扱う時代は、古代から近代までと幅広く、明治24年(1891)の大津事件の記録一式が展示されていたのには驚いた。ぶ厚い和綴じの冊子に、「特別保存」と書かれた白いボール紙の帙が付いている。小説『湖の南:大津事件異聞』を書いた富岡多恵子さんは、この記録を閲覧されたのだろうか。
この展覧会の情報をチェックしたとき、源義経や伊達政宗の書状もあると出ていたので、いったい何故?と不思議だった。実は、日本の古文書学に大きな足跡を残した中村直勝(1890-1976)博士という方が、大津町(現在の大津市)にある長等神社の社家出身なのだそうだ。そこで、本展には、中村直勝博士が蒐集した古文書の一部が展示されている。ただし、現在はいずれも大和文華館所蔵(地元の大津市歴史博物館に寄贈ではなかったのね)。義経の書状は大きく×がついた反故紙だが、数少ない自筆書状と見られている。治承4年の高倉院の院宣(石山寺蔵・紙背文書)にも色めき立ってしまった。「入道相(国)」の文字も見えて。
企画展だけで帰りかけて、慌てて常設展(1階)に戻る。
■新発見速報展『新知恩院の木造釈迦涅槃像』(2014年2月8日~4月13日)
当初、3月16日までとされていた公開が期間延長になった。このたび宝物調査で「確認」された、大津市の新知恩院の鎌倉時代の木造釈迦涅槃像。体長12.8センチとたいへん小さい。そして胸部に水晶を嵌め込んでいる点が非常に珍しい。パネル写真によれば、背面はざっくり斜めに削られていて、右前方に傾けた寝釈迦の体の角度は、精密に計算されているのではないかと思う。右手は中途半端に前に上げた状態。両足のつま先も右前方に向けている。簡素な寝台に横たわっていたが、それとは別に十二の霊獣で飾られた贅沢な寝台もあった。さらに持ち運びケース(?)や巾着袋も付属した「ポータブル仕様」になっており、現代日本人の「フィギュア」愛好に近いものを感じる。
■ミニ企画展『獅子・狛犬』(2014年1月21日~3月16日)
これは開催期間ぎりぎりで見ることができたもの。全13件(11対+単独像2件)。全て木造である。見どころは「たてがみ」という解説を読んで、なるほどと思った。長さや、ウェーブのかかりかたにバラエティがある。あと雌雄一対の場合も、雄どうしの場合もあるそうで、これは股間で確認するしかないそうだ。
古文書は、美術や考古資料などの文化財に比べると敷居が高い気がしていたが、見ているうちにだんだん面白くなってきた。本展は、大津市に関わりの深い、戦国武将や寺社、村や町に関する古文書を一堂に集めて大公開。伝教大師最澄や智証大師円珍に関する「国宝」級の古文書も出ているが、むしろ地券だの寄進状だの、地域の歴史に密着した文書のほうが面白かった。
扱う時代は、古代から近代までと幅広く、明治24年(1891)の大津事件の記録一式が展示されていたのには驚いた。ぶ厚い和綴じの冊子に、「特別保存」と書かれた白いボール紙の帙が付いている。小説『湖の南:大津事件異聞』を書いた富岡多恵子さんは、この記録を閲覧されたのだろうか。
この展覧会の情報をチェックしたとき、源義経や伊達政宗の書状もあると出ていたので、いったい何故?と不思議だった。実は、日本の古文書学に大きな足跡を残した中村直勝(1890-1976)博士という方が、大津町(現在の大津市)にある長等神社の社家出身なのだそうだ。そこで、本展には、中村直勝博士が蒐集した古文書の一部が展示されている。ただし、現在はいずれも大和文華館所蔵(地元の大津市歴史博物館に寄贈ではなかったのね)。義経の書状は大きく×がついた反故紙だが、数少ない自筆書状と見られている。治承4年の高倉院の院宣(石山寺蔵・紙背文書)にも色めき立ってしまった。「入道相(国)」の文字も見えて。
企画展だけで帰りかけて、慌てて常設展(1階)に戻る。
■新発見速報展『新知恩院の木造釈迦涅槃像』(2014年2月8日~4月13日)
当初、3月16日までとされていた公開が期間延長になった。このたび宝物調査で「確認」された、大津市の新知恩院の鎌倉時代の木造釈迦涅槃像。体長12.8センチとたいへん小さい。そして胸部に水晶を嵌め込んでいる点が非常に珍しい。パネル写真によれば、背面はざっくり斜めに削られていて、右前方に傾けた寝釈迦の体の角度は、精密に計算されているのではないかと思う。右手は中途半端に前に上げた状態。両足のつま先も右前方に向けている。簡素な寝台に横たわっていたが、それとは別に十二の霊獣で飾られた贅沢な寝台もあった。さらに持ち運びケース(?)や巾着袋も付属した「ポータブル仕様」になっており、現代日本人の「フィギュア」愛好に近いものを感じる。
■ミニ企画展『獅子・狛犬』(2014年1月21日~3月16日)
これは開催期間ぎりぎりで見ることができたもの。全13件(11対+単独像2件)。全て木造である。見どころは「たてがみ」という解説を読んで、なるほどと思った。長さや、ウェーブのかかりかたにバラエティがある。あと雌雄一対の場合も、雄どうしの場合もあるそうで、これは股間で確認するしかないそうだ。