見もの・読みもの日記

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まっすぐ歩こう/京の町家小路散歩(JTBパブリッシング)

2013-03-23 23:55:03 | 読んだもの(書籍)
○『京の町家小路散歩』(大人の遠足BOOK) JTBパブリッシング 2009.8 改訂2版

 ありきたりの観光ガイドでは満足できなくなってきたら手に取ってほしい、ユニークな京都案内。中国の条坊制にならった平安京を基礎する京都の町は、今でもほぼ碁盤目状に「東西」「南北」の通りが走っているが、本書は、この通りを、ひたすらまっすぐ歩くコース50本を紹介している。「南北」が21本、「東西」が29本。

 錦小路、寺町など、観光客になじみの通り名だけでなく、小さな生活通りにもちゃんと名前がついているのが、よそ者にはめずらしく、奥ゆかしい。ヨーロッパの古い街も、こんなふうだったな、と思う。名前の由来も勉強になる。平安京の大路小路名を引き継いでいるものもあれば、みちくさ「コラム」には、平成15年に名付けられた「鉾参通」なんてのも紹介されている。豊臣秀吉の京都大改造(天正18年/1590)によって生まれた通りが、思っていた以上に多い。通り名が移動するというのも本書で仕入れた知識で、富小路通は、以前は一筋東にある麩屋町通を指していたとか、不思議だなあ。

 通りの全長はさまざまで、南北だと10kmに及ぶものもあるが、本書で紹介するコースは、そのハイライトエリアに絞って、歩行距離は2~3km、歩行時間は長くても1時間強に設定されている。うまくアレンジして、1日に2~3コース歩いて見るのも面白いかもしれない。

 京都観光といえば「東山」「御所周辺」みたいなエリア分けか、「幕末を偲ぶ」「平安時代を歩く」みたいな時代分けが定番だと思ってきた私には、意外なスポットが同じ通りの端と端に並んでいることが分かったりして、新鮮だった(特に東西の通り)。また、定番観光スポット(二条城とか北野天満宮)はカバーされているものの、かなりマイナーな寺社や史跡が、写真つきで大きく扱われているのも面白かった。

 堀川通の伊藤仁斎邸跡なんて、何度もバスで通っているのに気づいたことがなかった(二階建ての書庫が今も残る?!)。しかも一筋西には山崎闇斎邸があったのか(石碑のみ)。今度行ってみなくては。食事とお土産のみちくさ情報も、地元で愛されるお店が多く感じられた。

※写真は旧版の表紙。
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