見もの・読みもの日記

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ICE STORY 2nd “RE_PRAY” TOURディレイビューイング

2024-04-16 23:11:39 | 行ったもの2(講演・公演)

「Yuzuru Hanyu ICE STORY 2nd “RE_PRAY” TOUR」宮城公演ディレイビューイング(2023年4月13日16:00~、TOHOシネマズ日本橋)

 土曜日、羽生結弦くんの単独公演をディレイビューイングで見てきた。見ていた時間だけ、魂が別世界に跳んでいたような気分で、感想がうまく言葉にならないのだが、書いてみる。

 プロに転向した羽生くんが「プロローグ」「GIFT」という単独公演を成功させてきたことは知っていた。私は、FaOI(ファンタジー・オン・アイス)をはじめ、彼の出演するアイスショーをずっと見てきたけれど、単独公演は、コア中のコアな羽生ファンのためのものだから、私はいいかな、と言う気持ちで遠慮していた。しかし今回、3度目の単独公演となる「RE_PRAY」ツアーは、そのキービジュアル(羽生くんのモノクロ写真)が好みだったのと、SNSに流れてくる感想(ロバート・キャンベル先生からも!)が只事でない感じだったので、ディレイビューイングのチケットを取ってしまった。ツアー最終(追加)公演の千秋楽である4月9日宮城公演の録画上映である。座席は自動指定だったが、ほぼ中央で、ショートサイドのリンク際みたいな、最高のポジションだった。

 舞台には旧型のテレビを思わせるような枠付きの、大きなスクリーンが設置されている。そこには、ゲームのコントローラーを握った羽生くんの映像が映し出されるかと思えば、ゲームそのものの画面になって、ドット文字のメッセージや、ドット絵のキャラクター(さまざまな衣裳をまとった羽生くん自身)が表示される。ゲームの進行に従って、選択を迫られ、素材を集め、敵を倒し、どんどん強くなっていく主人公。前半は真っ白なフードつきコートで登場した「いつか終わる夢」のあと、「阿修羅ちゃん」「鶏と蛇と豚」「MEGALOVANIA」「破滅への使者」など、強くて悪そうな羽生くんが盛りだくさん。

 椎名林檎の「鶏と蛇と豚」は、仏教の「三毒」を意味する動物で、真っ赤な背景に象徴的な三角形が浮かぶ中、貴婦人のような黒レース衣装の羽生くんが登場する。曲のイントロは般若心経なのである。羽生くん、晴明でなくて空海も演じられるわ、と思ってしまった。

 「MEGALOVANIA」は、無音の中で、スケート靴のブレードを氷に突き立てるような荒々しいステップから始まる。鍛えられた肉体の魅力を引き立てる衣装で、すっかり大人の男性になったなあ、としみじみ思ったのに、休憩後の後半では、再び永遠の少年の顔で登場するので、どうなってるの?と目を剥いた。

 「破滅への使者」は、競技プログラムと同様、6分間練習からスタートする。会場に漂う緊張。見慣れたティッシュケースのプーさんが映るのがうれしい。そしてこのプログラムを完璧にクリアしたにもかかわらず、ゲームから「データをセーブできません」と告げられ、混乱と困惑のうちに前半が終了する。ライブでは休憩30分だったようだが、ディレイビューイングは10分だった。

 後半。主人公は再びゲームの世界へ向かうが、前半とは異なる選択をする。自分のまわりの命を潰さない選択。主人公は深い水の中に落ちていく。「いつか終わる夢:re」「あの夏へ」「天と地のレクイエム」「春よ来い」など清冽なプログラムが続く。最後は「春よ来い」で、私はこのプログラムを見るたびに、世界に春をもたらすための祈りのように感じる。そしてスクリーンのドット文字「RE_PLAY」(再生)が「RE_PRAY」(祈り続ける)に変わって終了。

 まず、ほとんど休憩なし(あっても衣装替えの時間くらい)で、10曲近くを連続で滑り切る体力が化けものだと思った。しかもそれぞれ難易度の高いプログラムを完璧に。

 このあと、Tシャツ姿でマイクを持った羽生くんが、楽しそうにリンクをまわりながらお喋り。あ~これで終わりか~と思ったあとに「SEIMEI」「Let Me Entertain You」「ロンド・カプリチオーソ」「私は最強」と次々繰り出されるアンコール。本人はよほど名残惜しかったのか「終わりたくない」なんて言っていたけど、もう身体を休めなさい、と母親気分でハラハラしていた。

 しかし本当に素晴らしい体験だった。世界中の、フィギュアスケーターだけではなくて、様々な分野のアーティストに見てもらいたいと思う。次回の羽生くん単独公演が発表されたら、おそらく現地チケット争奪戦に参加することになるだろう。


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