見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

春三月また秘仏の旅(3):革堂、石山寺

2009-03-25 22:28:34 | 行ったもの(美術館・見仏)
東山慈照寺(銀閣寺)(京都市左京区)

 連休最終日は、ご開帳中の西国札所2箇所へ。と思っていたが、前日、「銀閣こがね色に…30年ぶりに屋根をふき替え」(読売新聞:2009年3月21日)というニュースをネットで見つけ、急遽、銀閣寺を予定に組み入れる。確かに、これまで見慣れた黒っぽい屋根(→公式サイト)と、目の前の銀閣寺(→ニュース写真)の差異は一目瞭然である。ただ、もっとびっくりしたのは、ニュース写真では「屋根」しか目に入っていなかったのだが、まだ一層目が骨組みだけの素通し状態だったこと。国宝建造物の、工事途中の不様な姿を、こんなふうに人目にさらしてしまうのは、日本ではあまりないことだと思う。

■西国第十九番 霊麀山行願寺(革堂)(京都市中京区)

 交通至便の京都市中心部にある札所だが、訪ねるのは初めて。南側の細い道を入っていくと、甘く香ばしい匂いが流れてきたのは、京都の名店・進々堂のパン工場だった。境内は、ほんとにここ?と拍子抜けするほど、ひっそりしていた。それもそのはず、ご本尊の千手観音は厳重な垂れ幕の奥に隠されてほとんど見えない。期待はずれ度は一、二を争う札所かも。ここで、同じ目的で東京から来ていた友人(昨日の飲み相手とは別人)と、携帯で連絡を取り合って落ち合う。まったく物好きばかりで嬉しい。

■西国第十三番札所 石光山石山寺(滋賀県大津市)

 地下鉄~京阪電車を乗り継いで、琵琶湖東岸の石山寺へ。ここも、時折、団体が到着するものの、思っていたより人が少ない。ふだんから観光客の多い京都周辺は、「西国三十三所結縁御開帳」程度では盛り上がらないのだろうか。ここは特別拝観券を買うと、お供物を飾った祭壇の後ろ、お厨子の前まで近づくことができる。ご本尊の如意輪観音は、先日、横浜そごうの『源氏物語千年紀』展で写真パネルを拝見していたので、だいたいのお姿は思い描いていたが、予想をはるかに超えて巨大だった。

 お厨子という言い方が適切なのかどうか。扉の中は乾いた土間である。なんだか馬小屋みたい。天然の岩石の上に平たい円座を敷いて、片足を踏み下げた形でお座りになっている。前面には幔幕も何もなく、実にスッキリしたご開帳である! 柵越しに手を伸ばすと、観音様の指先・足先にチョット触れることもできる(その部分だけが赤銅色に光っている)。平安後期の作。日月を配した宝冠と胸の瓔珞が美しいが、これは後補なのかもしれない。丸みのある逞しい体躯は、原初的な母性とも、むしろ厳しい父性を感じさせるとも言える。後世の柳腰の観音像とはずいぶん違うなあ、と感じた。ちなみにご本尊の向かって右には、遊園地のチープな赤鬼みたいな(古いw)脇侍が立っていたが、これは執金剛神で、左には蔵王権現がいたようだ。内陣正面の巨大な鰐口に、この三尊像がかわいい立体で表現されている。

 久しぶりに納得のいくご開帳ご参拝を果たし、そろそろお堂を出ようとして、お札やお守りの授与所で、珍しいものを見つけた。孔雀の土鈴である。解説を読んだら、この西国三十三所結縁御開帳にあわせ、近江(滋賀県)6札所で売り出す6種の「浄土の鳥」土鈴だそうだ。これはナイス企画!と大喜びして、友人とともに、さっそく購入。ところが、ネットで詳細を調べてみたら、気になる情報がひっかかってきた。三十二番・観音正寺では販売が差し止められているらしいとのこと(→個人ブログ)。そう言えば、石山寺でも、お堂の外に並べられて、どこか邪慳な扱われ方をしていた。あと5種、果たして手に入るだろうか…。

 浄土の鳥6種
 ・白雁→岩間寺
 ・孔雀→石山寺
 ・鸚鵡→園城寺(三井寺)
 ・舎利→宝厳寺(竹生島)
 ・迦陵頻伽→長命寺
 ・共命(ぐみょう)之鳥→観音正寺
 
 出典:「仏説阿弥陀経」
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする