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見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

関西旅行11月編:国宝への道(京博)

2008-11-11 23:05:03 | 行ったもの(美術館・見仏)
○京都国立博物館・平常展示館 『国宝への道、いざ!京都国立博物館へ』

http://www.kyohaku.go.jp/jp/index_top.html

 週末関西旅行2日目。直前に、六角堂(頂法寺)で136年ぶりにご本尊の特別公開があることが分かり、友人2人と集結して拝観。つい情報交換のお喋りが長くなってしまう。うーん。お昼前には京都を出たかったんだけどな、どうしよう、どうしよう、とさんざん迷った末、予定どおり京都国立博物館に寄ることにした。

 特別展『蒔絵』は置いとくとして、6日から始まった平常展『国宝への道、いざ!京都国立博物館へ』に興味津々だったのである。12月8日から始まる立て替え工事前ファイナルを記念して(?)名品お蔵出しのご愛顧感謝フェア。とは謳っていないが、気分的にはそんな感じだ。

 いつものように、12室(中国絵画)から入室。奇策というべきか、「近代絵画」の特集である。斉白石(1863-1957)は「独創的なデザイン感覚」「現代のグラフィック・アートに通ずる面白さ」で人気が高い。一時、八大山人の画風を学んだというのは頷ける。馬の彩墨画の名手、徐悲鴻(1895-1953)は、明るい水彩ふうのアヒルの群図がかわいかった。

 さて、おそるおそる11室(近世絵画)を覗く。おお!端から順番に行こう。伝土佐光信筆『厩図』はまだ中世の呪術性が色濃い。それに比べて、桃山の狩野永徳『仙人高士図』のモダンなこと。雲谷等顔(うんこくとうがん)筆『四季山水図屏風』には一目惚れした。前日に大和文華館で見た「崇高なる山水」のイメージがダブる(→文化財オンラインが、細切れ画像しか載せていないのはひどい。これじゃ全体像が分からない)。長沢蘆雪『百鳥図屏風』には和む。若冲の描く鳥は若冲らしい顔をしてるし、蘆雪の描く鳥は、オウムもスズメも蘆雪らしい顔をしてるんだよねえ。そして、殿(しんがり)が曾我蕭白の『山水図押絵貼屏風』。いつかまたゆっくり論ずる機会もあると思うので、今回はもう何も申しません。。。

 10室(絵巻)は国宝『鳥獣人物戯画』乙巻もいいが、むちゃくちゃなスピード感にあふれた『将軍塚縁起』もいい。どちらも高山寺蔵。別室、若冲の版画(正確には拓版画)『乗興舟』もさりげなく嬉しい。乗興舟の板木は、某家の濡れ縁に使われていたとか(!)。

 9室(中世水墨画)は、雪舟、雪村に加えて、とどめをさすのが狩野元信の『四季花鳥図』。滅多に見たことはないが、大好きな作品である。もと大仙院方丈の障壁画だが、8軸に改装されている。そうか、これって8軸あるんだ。私は、右の4軸分だけの印象しかなかったけど。

 いやーありがとうございました、もうお腹いっぱい、という気分で、最後に8室(仏画)を覗くと、正面に待っていたのは、神護寺の『源頼朝像』と『平重盛像』。衝撃でへたりこみそうだった。関東の展覧会でこれら(神護寺三像の二)を見る機会があるとしたら、それぞれ前期・後期で展示替えが精一杯のところ。2幅並べて眺めるなんて、畏れ多くて考えも及ばないところである。澁澤龍彦の愛した、高山寺の『明恵上人像』が出ていたことも付け加えておこう。

 このファイナル常設展、東博の大琳派展にも絶対に「勝っている!」と思うのは、玄人好みに過ぎるかしら。しかも、12月2日(火)から7日(日)までの6日間は「無料開放」するという。京博のあり得ない太っ腹に感謝して、ぜひ多くの人に足を運んでほしいと思う。
コメント (4)
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