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見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

江南2019【初日】羽田→上海

2019-04-28 21:57:12 | ■中国・台湾旅行

 平成から令和にかけての改元10連休。年始めの時点では、自分がどこの職場に配属されているか未定だったのだが、カレンダー通り休めることに賭けて、海外旅行に出かける計画を立てた。1週間以上の中国・アジアツアーを探した結果、クラブツーリズム社の「揚子江が潤す美しき奥江南のゆったり旅7日間」に参加することにした。

 参加者は14名。日本から添乗員も同行する、私にとっては久しぶりの本格的なツアー旅行である。やはりリタイア世代が目立つが、母娘ペアも2組いて、平均年齢は思ったより若かった。昼過ぎに羽田空港を発ち、上海・虹橋空港着。夕食後は黄浦江のナイトクルーズを楽しむ。緑の屋根は和平飯店。

 幸い、雨は落ちてこなかったが、灰色の雲が重たく垂れこめ、東方明珠タワーは先端が雲の中に隠れていた。真っ赤にライトアップされた姿は、敵意ある宇宙人のロケットのようで禍々しかった。

  水上を行き交う船の中には、隋の煬帝や清の乾隆帝が江南巡行に使用した「龍舟」を思わせるものも。

  このドギツさ、中国に来たなあという感じで嫌いじゃない。

(5/6記)

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台湾旅行2018【おまけ】風景、食べたもの

2018-12-25 20:59:40 | ■中国・台湾旅行
 台北に到着した初日(12/22)MRT中山駅からホテルに向かって、南京東路の商店街を歩いていくと、どの店の前にも、線香やお供物を載せたテーブルが出ているのが目についた。昔ながらのお店だけでなく、しゃれたブティックやカフェの前にもあって、道端で紙銭を燃やしている人たちもいた。なかなか理由が分からなかったが、調べてみるとこの日は冬至で、道教の最高神「三清」のひとり元始天尊の聖誕をお祝いする日であったらしい。



 台湾ひとり旅の場合、食事はショッピングセンターや駅のフードコートを利用することが多い。お気に入りは台北駅前の新光三越の地下のフードコート。手軽に栄養バランスのいい食事がとれる。



 しかし観光優先なので、時間がないとこうなってしまう。故宮博物館帰りのランチ。士林のバス停前の「洪記上海生煎包」で購入。美味しかった~。



 ホテル近くのセブンイレブンで見つけた「鳳梨酥もなか(アイスクリーム)」。味は名前のとおりで、パイナップルケーキとバニラアイスを同時に食べるような幸福感! 美味しくないわけがない。あらためてネットで調べたら、福岡県のセリア・ロイルという会社がつくっているらしい。しかし同社のホームページを見に行っても商品紹介には情報がない。日本では販売していないのかなあ。絶対売れると思うのに。



 今回のホテル、国王大飯店は、こじんまりして清潔で日本人好みの仕様。また泊まってもいいと思っている。



 最後に今回のおみやげ。客家花布の巾着袋2つ(迪化街・永楽市場で)と同じようなテイストの茶杯2つ(鶯歌で)。自分用だが、機会があれば誰かにあげるかもしれない。



(12/30記)
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台湾旅行2018【3日目/最終日】鶯歌、国史館、迪化街

2018-12-24 23:08:10 | ■中国・台湾旅行
鶯歌陶瓷博物館、鶯歌陶瓷老街

 台湾旅行最終日。今年は18:25松山空港発の帰国便にしたので、ほぼ1日観光できる。しかし月曜日で、市内の博物館や美術館は休みは多い。そこで台北駅から電車(台鉄)で30分ほどの鶯歌へ遠征することにした。台鉄は「EasyCard」では乗れないようなので券売機で昔なつかしい感じの切符を買う。



 鶯歌は陶磁器の街。台鉄の駅から、まず陶瓷博物館に向かう。今日も小雨がパラつき、薄手のコートを羽織っていてちょうどいいくらい。この日はクリスマスイブだったので、受付や館内の職員のみなさんは、サンタの帽子やトナカイの角をつけて、雰囲気を盛り上げていた。展示は陶磁器の歴史(考古から近代まで)や製作工程を紹介する常設展のほか、新作の芸術陶芸作品もあり。歴史民俗博物館的な常設展がけっこう面白かった。



 陶芸職人のパレット。佐賀県の伊万里でも似たようなものを見た。



 博物館を出て、陶器屋さんが軒を連ねる陶瓷老街へ。街の案内板が陶器製なのも伊万里を思わせる。 



 鶯歌の本来の特産は、黒や茶色の地味なやきもののようだが、色柄入りの華やかな器もたくさん売っている。私は南国風の花柄の茶杯を色違いで2つ購入。本当は背の高い聞香杯とセットで揃えるのが中国茶器のルールだが、たぶんお茶でなくワインやお酒をいただくのに使うつもり。



国史館

 お昼過ぎに台北駅に戻り、今回初めて行こうと思っていた国史館へ。ここは総統府の直属機関として国史編纂、史料整理、史料文物の収集と保存、総統及び副総統の文物管理を行っている。日本でいえば、国立公文書館が近い(でも日本の国立公文書館は国史編纂はしていないなあ)。建物は日本統治時代の逓信部で、戦後は中華民国の交通部となり、2010年に「国史館」の看板が掲げられた。交通部さらに逓信部時代の看板の字体を踏襲しているのが興味深い。



 展示は「曲折70年-国史館現蔵国宝と憲政史料展」が面白かった。1936年5月5日に公布された「中華民国憲法草案(五五憲草)」を基礎に、1946年に「中華民国憲法」が制定されるが、戒厳令によって国民の権利は大きく制限を受けた。80年代以降、それを再び取り戻していく民主化の進展が分かりやすく紹介されていた。金庸の『射雕英雄伝』が「部分禁書」の扱いを受けていたことも初めて知った。



■迪化街、永楽市場

 まだ少し時間があったので、大好きな迪化街を歩きに行く。どっしりした構えの商業ビル「永楽市場」は、何度か前を通ったことはあるが、中に入ったことはなかった。最近、観光ガイドで取り上げられているのを読んだので、初めて中に入ってみた。1階は食べもの屋や生鮮食料品屋が主だが、昼過ぎなので閉めている店が多かった。2階と3階は小さな間口の布屋さんがみっしり並ぶ。多くの店がミシンを持っていて、店先で縫製もしている。



 ハワイのアロハシャツを思い出すような、色鮮やかで大きな花柄の布は、客家花布と呼ばれる。このお店の前でうっとり眺めていたら、呼び込まれて、ポーチ(巾着袋)を2つ買ってしまった。うれしい~。人に見せて歩きたい。

 今回は、そのまま迪化街を北へ進んで、初めて民権西路まで歩いてみた。時が止まったような古いお店と観光客向けに前のめりに商売をしている明るいお店、さらにおしゃれなカフェや雑貨店がモザイクのように並ぶ。最近の京都の錦市場が近いかもしれない。仏具屋ならぬ寺廟の祭祀具のお店、ちょうちん屋も見つけた。民権西路であやしい骨董品屋も。また時間のあるときにゆっくり歩いてみたい。

 台北駅で荷物をピックアップし、松山空港へ。18:25の中華航空便に乗り、羽田空港は22:05着。夜景がきれいだった。翌日の出勤にも問題なし。充実した年末の3日間が過ごせた。

(12/30)
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台湾旅行2018【2日目】故宮博物院、淡水

2018-12-23 11:47:15 | ■中国・台湾旅行

■故宮博物院

 2日目は朝から故宮博物院へ向かう。士林駅でMRTを下り、バスに乗る頃から雨が降り始めた。気温は前日より低いがコートなしで問題なし。リュックをロッカーに預けて館内に入る。朝の空いているうちにお目当ての「国宝再現」を見てしまおうかどうしようか迷ったが、1階から見ていくことにした。そして、昨年と変わってなさそうな部屋は飛ばしながら進む。

【101室】「慈悲と知恵-宗教彫塑芸術」
【106室】「集瓊藻-故宮博物院所蔵珍玩精華展」
【108室】「貴族の栄華-清代家具展」

【105,107室】「アジア探検記-17世紀東西交流物語」(2018年12月20日~2019年3月10日)
始まったばかりの特集展示。17世紀の東アジアを訪れた西洋の商人や宣教師たちがもたらした珍宝、アジアとヨーロッパの交流の影響下に生まれた芸術と文化を紹介する。実は直前までこの展示に気づかず、今期は、図書文献館で開催の「プーシキン美術館展」が「国宝再現」に続く目玉かと思っていた。それならいつもより早めに見終わるかと思っていたら、とんでもなかった。面白すぎて、この特集だけで1時間以上を要した。



展示はもちろん館蔵品が主だが、海外からの出陳も多かった。見覚えのある出島商館図(彩色絵巻)は、長崎のものかと思ったらオランダ国家美術館(アムステルダム国立美術館)の所蔵品だった。オランダ人は17世紀東アジア海域の覇者として東西交流を促進し、清朝皇帝にも謁見を果たした。オランダで出版された銅版画に描かれた「中国」の風景は、かなり正確なものもあれば、トルコやインドと混じったようなものもある。



やきものの図像をめぐる東西交流は、いつも面白いと思う。この日傘をさした女性二人が佇む構図は、オランダにも例があり、日本の伊万里にも類例がある。



オランダに残るこの色タイルには、中国風の楼閣に黒人が配されていて、どこでもないパラダイスの趣き。



東西交流の時代における「東方の風情」の例として、沈士充(明人、1602-1633)の『画郊園十二景』という画帖が展示されていて素敵だった。調べたら東博が『山水図冊』を所蔵する画家であるらしい。覚えておきたい。



展示品の説明板を見ていると「故善〇〇〇…」のような漢字二文字と数字の所蔵品番号が付いていることに気づいた。「故善」は故宮伝来の善本書籍。「購善」は購入善本、「贈善」は受贈善本ということらしい。「故画」とか「故漆」「贈瓷」などもあり、この由来を見分けるのも面白かった。

【103,104室】「古人の掌中書—本院所蔵巾箱本特別展」(2018年12月23日~2019年3月10日)
ちょうどこの日から始まった展示。小さくて精緻な「掌中書」(袖珍本)の特集である。そもそも戦乱の時代には、鍾愛の古典籍を持ち運べるようにしておく意味は大きかったんだろうなあ。写真の『周礼』は、楊守敬先生が日本で購入したものだという。何故か『日本書記』『日本三代実録』の袖珍本があったり、清末の識字教科書があったりした。『乾隆南巡紀程図』は各日の行程を1冊にまとめた折帖で、江南の風景を描いた彩色の挿絵が美しかった。



【102室】オリエンテーション・ギャラリー
中国語で「古画動漫」と名づけた古画の複製品+アニメーション展示をやっている。作品は横長の長軸物が選ばれており、今期は、明・文徴明の『仿趙伯驌後赤壁図』。風景の見どころをアップにしたり、画中の人物に寝返りを打たせてみたり、けっこう面白い。日本の博物館等でもこういうコーナーが常設であればいいのに、と思う。

【204,206室】「筆墨は語る-中国歴代法書選」
2階は「国宝再現」を避けて一般展示室からと思ったら、ここもすごかった。蔡襄、蘇軾、黄庭堅、蔡京の書が並んでいて、しかも撮影自由なんて、正気の沙汰と思えない。写真は、もったいなくも蘇軾の書尺牘。私の後にいた中国人の男子二人組が、やっぱり「おお、蘇軾(su shi)!」と驚いて写真を撮っていたのが可笑しかった。



【210室】「国宝を再び─書画の精華 特別展」(2018年10月4日~12月25日)
そしてお目当ての「国宝再現」の部屋。ここだけは室内撮影禁止である。いきなり巨大な画軸『宋太祖坐像』があって驚いた。今、たまたま宋太祖(趙匡胤)についての本を読んでいて、旅行にも持って来ていたのだが、その冒頭にもカラー図版で取り上げられていた肖像である。「宋太祖」と書かれた小さな紙(肉眼で確認困難なほど小さい)が貼り付けられているが後考を待つと解説にあった。入口の看板に使われているのは『宋仁宗后坐像』(北宋4代皇帝仁宗の曹皇后)で、これは展示替えのため出ていなかったが、よく似た『宋寧宗后坐像』(南宋4代皇帝寧宗の楊皇后)が出ていた。宝冠・衣装はほぼ同じで、青い衣に一面に配された番いの鳥の文様が愛らしかった。



他に絵画は、金・武元直の『赤壁図』や宋・易元吉の『猴猫図』(サルに抱かれた猫)が印象に残った。宋人『富貴花狸』も可愛かったなあ。中文の解説には「牡丹」の下にうずくまる「花狸」と書いてあったけど、ジャコウネコだろうか。書は、唐・玄宗『鶺鴒頌』が出ており、たぶん初めて玄宗の書跡を見たと思う。癖が強くてあまり巧いと思わないのだが、墨色が黒々して意外と力強い字。

【202,208,212室】「百卉清供─瓶花と盆景画 特別展」
【203室】「心に適う-明永楽帝の磁器」
【201,205室】「土の百変化-中国歴代陶磁器展」
【207室】「紫砂風潮-伝世品及びその他器物」

 2階には小さなミュージアムショップが並ぶ。どうせ最後に地下のお店に寄るからいいや、と思っていたのだが、「月刊故宮」のバックナンバーなど、地下のお店にはないものもあるので、次回はここで買い物をしようと思う。

【301室】「鐘・鼎の銘文-漢字の源流展」
【300,303室】「うつつとまぼろしの間で-故宮所蔵戦国時代から漢代の玉器 特別展」
【304室】「天香茄楠─香玩文化 特別展」
【305,307室】「古代青銅器の輝き-中国歴代銅器展」
【306,308室】「敬天格物-中国歴代玉器展」

【302室】「南北故宮 国宝薈萃」
私が行ったときは『肉形石』と白玉の『玉園蔬図筆筒』が出ていた。『翠玉白菜』は台中フローラ世界博覧会で展示中とのこと。また1/7から『肉形石』もオーストラリアでの『故宮博物院珍宝展』に出品されるそうである。

 見ていない部屋もあったのだが、だいたいひとまわりできたのが午後2時。お腹がすいて集中力が落ちてきたので、そろそろ切り上げることにした。一時退出して食事をすることはできるのだが、1階のカフェはすごく混んでいるのである(私が退出したときも並んでいた)。次回は軽食を用意しておいて、ロビーか庭でそっと食べるのがいいかもしれない。

 雨は止んでいたが、いつまた降り出してもおかしくない空模様。とりあえずバスで士林駅に出る。バス停の前に美味しそうな上海風包子屋さんがあったので、我慢できずに2個購入。駅前のベンチで昼食にする。

■淡水老街、紅毛城

 士林からMRTで40分くらいの淡水に向かう。淡水は台北市北部の港町。私は15年くらい前に初めてひとりで台湾に来たときも淡水に足を延ばしたことがあり、それ以来になる。 大きなターミナル駅で下り、淡水老街と呼ばれる道を歩き始めた。小雨がパラつき、海風も強い生憎の天気だが、観光客の姿は多い。食べ歩きのお店に混じって木工芸品のお土産店が多いことは、かすかな記憶に一致する。海鳥も雨を避けて休んでいた。



 前回も来た紅毛城を見学。1628年、スペイン人により建設され、オランダ人が再建し、イギリス領事館としても使われた。実は台湾に現存する最古の建築でもある。イギリス領事館部分は当時の内装や家具も残っており(復元?)クリスマスの飾りつけがされていた。



 再びMRTで台北市内へ。士林夜市に寄るつもりだったが、雨が強くなってきたので、台北駅のフードコートで夕食にした。

(12/29記)

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台湾旅行2018【初日】中研歴史文物陳列館、龍山寺

2018-12-22 23:54:20 | ■中国・台湾旅行
 年末3連休を利用して台湾旅行に行ってきた。昨年に続き、目的は故宮博物院の特別展だが、他に何か面白いものはないかと探していたら、中央研究院の歴史文物陳列館が面白いと書いている人がいた。一般の観光ガイドブックには全く載っていないのだが、少ない情報をつなぎ合わせて、これは行ってみる価値ありと判断した。探してみると、全然ちがう分野の研究者が「中央研究院への行き方」を日本語PDFでアップしていたりして、助けられた。

 今回は成田空港を9:20に出発し、12:30に桃園空港に到着する中華航空便。混雑する桃園空港で両替し、「EasyCard」にチャージ、MRTで台北市内へ向かう。昨年はこのMRT車内で職場から電話を受けてしまったのだが、今年は週末旅行なのでその心配なし。中山駅から少し歩いてホテル(国王大飯店)にチェックイン。昨年もこの時期に25度を超す夏日を経験しているので、コートの下は秋物で来たのだが、やっぱり暑い。半袖でもよかった。

中央研究院 歴史語言研究所 歴史文物陳列館

 台北中心部からの行き方はMRT板南線で終点の南港展覧館駅へ。出口5を出て横断歩道を渡り、向かいのバス乗り場で待つ。バスはどんどん来る。系統ごとの路線図が掲示されており、接近しつつあるバスの番号が電光掲示板に表示されるので問題なし。「中研」まで行くバスは多いが、できればその1つ先の停留所「胡適公園」が近い。

 なお、バスは前方ドアから乗るが基本(のような気がする)。車内に「上車収費(先払い)」「下車収費(後払い)」が表示されているというけれど、乗る時に運転手に促されたらカードをタッチする。何も言われなければ降車時にタッチ。だいたい1回(均一料金)で済む。「EasyCard」は実に便利。

 さて中央研究院は、自然科学から人文社会学までに跨る台湾の最高学術研究機関(国立アカデミー)。台北市南東部の広大な敷地を占める。バス通りの片側に広いキャンパスが延々と続いていて、ちょっと日本の筑波大学の風景を思い出した。「胡適公園」で下車。歴史文物陳列館の建物に着いたのは15時くらいだったと思う。ロビーに小学生か中学生の団体がいて賑やかだったので、受付で簡単なリーフレット(日本語版あり)を貰って、まず2階「歴史空間」から見ることにする。入場は無料。

【201】居延漢簡 中国の居延地方 (内モンゴル自治区) で発見された漢代の木簡を展示。2室あって、手前の部屋は複製品や関連文献などの展示だったので、まあそうだよなと思いながら、奥の部屋に入ったら、本物(たぶん)が展示されていた。全て釈文つきなのがありがたい。「皇帝詔書」「財税収支記録」「私人通信」「薬法」などに分類されており、顔を描いた護符のようなもの(桃符)もあった。田卒や騎士の名簿も面白く、「請喪暇」(休暇願)もあった。どれも割りばしくらいで日本の木簡より細い気がする。



【202】珍蔵図書 傅斯年図書館が収蔵する善本のうち、鄧邦述(1868-1939)の旧蔵コレクション「群碧楼蔵書」を展示。

【203】内閣文庫档案 同研究所が所蔵する清朝内閣文庫の档案(公文書)は、民間に流出していたところを傅斯年(1896-1950)先生が奔走して購入したもの。明代4000点、清代30万点を所蔵している。今期は宮廷の大礼・大婚等に関係する文書を展示。中国の公文書はとにかくデカい。科挙の答案や合格者発表の文書もあった。



【204】中国西南民族 台湾でも原住民文化に関心が高まっていることと関連するのか。民族衣装、漆器工芸、刀、楽器などの原物資料と写真・動画も。「人と天」と題して、各民族の宗教観を紹介するコーナーも面白かった。ナシ族のトンパ文字資料は雲南旅行を思い出してなつかしい。



【205】豊碑拓本 漢代の画像石、洛陽・龍門石窟の石仏、唐宋の墓誌などの拓本。

【206】台湾考古 この部屋のみ撮影禁止。土器や動物の骨が主で何故?と思ったが、人骨があるためか。

【207】特展区 祭祀や戦争に関係する天気、自然災害等の占いに用いられた甲骨文を特集。

 以上、2階を見ているだけで1時間が経過。閉館時間は16時半。まずい、時間が足りないとあせりながら、1階「考古空間」に移動する。大きくは【龍山文化】【殷墟文化】(甲骨文字展示を含む)【西周文化】【東周文化】の4つのエリアに分かれており、特に殷墟の発掘資料がものすごく豊富。安陽の殷墟博物館の展示(よく覚えていない)に勝る面もあるのじゃないだろうか。とにかく展示品の「量」に圧倒される。



 銅製の仮面。中国古代を舞台にした時代劇で、こんな仮面が登場することがあって、絵空事も甚だしいと笑っていたのだが、あってもおかしくないのだなあ。



 こういうヘンな奴もいる。中型犬くらいのサイズ。デカすぎる。



 閉館時間の10分前に放送が流れ、私と、もうひとり最後まで残っていた男性も追い立てられてしまった。私たちが建物を出ると、そさくさと扉を閉める係員。こういうところは大陸も台湾もあまり変わらない。1階は駆け足になってしまったので、ぜひ来年にでも再訪したいと思う。なお、開館は水、土、日のみ。12/23(日)は設備点検の臨時休館だったので、今回はこの日しか行くことができなかった。



■龍山寺

 台北市中心部に戻り、あたりが暗くなり始めた頃、ごひいきの龍山寺へ。今年もおみくじを引きにやってきた。「来年の運勢を教えてください」とお願いして引いたのは、第九十首「上上」の「劉先主如魚得水」だった。え、劉先主って誰?と一瞬考えてから、三国志の劉備か!と納得した。昨年が「周郎(周瑜)赤壁敗曹兵」だったから、かなり出世したものだ。本当は曹操か司馬懿を引きたかったんだけどなあ。写真は、門前の「観音仏祖」の提灯を裏側(門内)から。



※おまけ:中研バス停付近で見かけた『新・神鵰俠侶』2019年版のラッピングバス。これはちょっと見たいドラマ。



(12/25記)
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厦門(アモイ)2018【4日日/最終日】帰国+買い物風景

2018-05-03 01:19:48 | ■中国・台湾旅行
 最終日は出発まで半日の自由時間があったので、近くのショッピングセンターに行ってみる。外資系スーパー「ウォールマート」などが入っていて、前日の「カルフール」より庶民的な感じがした。2018年1月に開通したばかりの地下鉄にも乗ってみた。昼過ぎの便にて帰国。



 以下は買い物体験からの余談である。厦門は海産物が豊富で、小さなスーパーにも鮮魚コーナーがあり、水槽で魚が泳いでいたり、砕いた氷の上に鮮魚が並んでいたりした。海苔・昆布など海藻も豊富。昆布は北の海のものと思っていたので、ちょっと戸惑った。



 乾麺をこういうかたちで売っているのは初めて見た。奥のほうの灰色っぽいのも乾麺。



 厦門名産? ういろうみたいな餅菓子。



 街中の市場も健在。お客のおじさんの顔の前に下がっている赤い紙にはQRコードが印刷されている。これをスマホで読み込んで決算する仕組み。出発前、中国人はもう現金を使わない、という話を聞いて戦々恐々としていたが、さすがにそこまでではなく、スーパーでは現金で買い物ができたし、現金を使う現地の人も見た。しかしスマホ決済は着実に浸透中。



 なんとなく楽しい日本語【食卓の掃除から逃れられます】。



 その2【みなさまのお墨付き】。

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厦門(アモイ)2018【3日日】胡里山砲台、コロンス島

2018-05-02 00:55:58 | ■中国・台湾旅行
 朝は厦門島の西南部の胡里山砲台へ。アヘン戦争を機に作られた砲台だが、日中戦争、国民党と共産党の戦争にも使われており、歴史の重層性を感じさせる。



 厦門一の繁華街「中山路」を散策し、外資系スーパー「カルフール」でお買い物。コロニアルな洋風建築と中華風の牌坊や寺廟が隣り合っていて独特の雰囲気。



 昼食後はフェリーでコロンス島へ渡る。労働節の休暇は終わったはずだが、まだ観光客が多く、船内の座席は争奪戦になる。島内では、50元の電気自動車を利用し、瀟洒な別荘の立ち並ぶ海岸線を遊覧する。砂浜の広がる西部は、フルーツやアイスクリーム、貝殻細工を売る露店もあって、江ノ島みたいな雰囲気。

 それから電気自動車を下りて、島でいちばん高い日光寺岩へ徒歩で登る。中国の観光地らしく階段が整備されているので、危ない道ではないが、暑さに閉口した。途方もなく巨大な岩が積み重なった様子に広島の宮島を思い出した。



 島の中心部(比較的高いところ)には古い洋風建築が集まっており、じっくり見て歩くと楽しい。「インスタ映え」スポットで結婚写真を撮るため、ウェディングドレス姿で島内を歩き回るカップルとカメラマンの一行を何組も見かけた。↓旧日本領事館の建物は閉まっていて、民俗博物館に改装しているところらしかった。


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厦門(アモイ)2018【2日日】客家土楼、ナイトクルーズ

2018-05-01 23:55:25 | ■中国・台湾旅行
 2日目は客家土楼見学。厦門島から大陸に渡り、漳州市華安県に向かう。以前は4時間かかったそうだが、高速道路ができたおかげで、休みなしの2時間30分ほどで到着。漳州と聞くと、焼きもの好きとしては呉須赤絵を思い出すが、ガイドさんから窯業の説明はなかった。

 目的地には、徒歩圏内に二つの円楼と一つの方楼が残っていて、観光しやすい「土楼公園」のようになっている。福建省で最大といわれる二宜楼は、周囲238m、直径約73m、4階建て。蒋氏一族の住居として建てられた。



 基壇は石組み。壁面も最下層は石組みで日本の城郭を思い出させる。その上は日干しレンガ積みになる。



 中央の広場では、土楼の住人が土産屋のテントを立てて商売をしている。ガイドさんが、顔見知りのおじさんに話をつけてくれて、10元で土楼の建物の中に入れることになった。3階に上がって、廊下を一周する。最後は、そのおじさんの店でお茶をごちそうになり、茶葉や絵葉書などのお土産を買った。



 続いて、少し歩いたところにある東陽楼。方形の土楼(土楼)なのだが、言われなければ全く気付かなかった。



 その隣りの南陽楼。二宜楼よりも少し小型の円楼。二宜楼に比べると、壁面がかなり修復されてしまっている。



 土楼のまわりは茶畑が広がっていた。ちょうど昼時で、大きな袋を積んで茶畑からスクーターで戻ってくる農民を何度も見かけた。大きな袋には、摘み取ったばかりの茶葉がずっしり入っているようだ。福建省といえばお茶の産地だなあと、かつての武夷山旅行を思い出す。しかし、ガイドさんの話では、最近はお茶が売れないのでコーヒーを作っているとのこと。確かに帰りに寄ったドライブインでは「土楼珈琲」なるブランド産品を見た。



 厦門島に戻って夕食後、オプショナルツアーのナイトクルーズに参加。島の東部、大陸の海岸やコロンス島の間を遊覧する。



 点滅する夜景が想像以上にきれいでテンションが上がった。日本の夜景クルーズもこんなに楽しいんだろうか。



 ↓うまく写真が撮れなかったが、コロンス島の南端には巨大な鄭成功像(高さ15.7m)が立っており、ライトアップされていた。



 翌日、コロンス島に渡って、電気自動車で海岸線を一周したとき、どこかで見えるだろうと思っていたのだが、見つけられなかった。実は巨大な岩の上に立っているので、真下を通っても気づかなかったのである。なお、鄭成功は長崎県の平戸に生まれ、明の滅亡後も亡命政権を支持し、厦門に拠点をおいて清と戦い、さらに台湾からオランダ人を追い出して台南に拠点を移した。これで私は、平戸、台南、厦門と、鄭成功ゆかりの主要な土地を全て訪ねたことになる。うれしい。



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厦門(アモイ)2018【初日】成田→厦門

2018-04-30 22:46:42 | ■中国・台湾旅行
 いまの職場に異動して1年が過ぎた。最初の1年で分かったのは、夏に休みを取れる可能性が極めて低いということで、今年は何とかゴールデンウィークに休みを取って、どこかへ出かけようと考えてきた。最終的に選んだのは、中国・福建省の厦門(アモイ)に滞在する3泊4日のパッケージツアーである。

 初日は早起きして、成田から出発。搭乗員のつかないツアーなので、ひとりで厦門行きの便に搭乗する。まわりは大きなお土産バッグを持った中国人ばかり。厦門空港で、現地ガイドの王さんと、私以外の5人のツアー参加者に合流した。まだ日の高い昼下がりなので、ミニバンの専用車で初日の観光に出かける。

 空港のある厦門島から厦門大橋を渡り、大陸の入口にあるのが「集美学村」。来てみて初めて知ったのだが、華僑の陳嘉庚氏の寄付によってつくられた広大な学園都市である。自然と調和した環境、古典的な西洋風の建築も見どころで、観光スポットになっている。↓大きな湖を前にした建物は中学校。



 再び橋を渡り、厦門島の南部にある南普陀寺(なんふだじ)へ。労働節(5月1日)前日で、すでに街中が休日モードのため、人も車も多い。途中から大渋滞で、車が全く動かなくなってしまった。南普陀寺は、唐末五代の頃に禅僧が庵を結んだことから始まるという古刹だが、建物はピカピカに新しかった。



 禅寺といえば、やっぱりこれ。開梆(かいぱん)。



 島の西部に移動して、海の見えるレストランで夕食。砂浜の向こうに「台湾が見える」とガイドさんが言うので、え?と思ったが、むろん台湾本島ではなく、台湾に属する金門島のことだった。これは…想像以上に近い。



 おまけ。南普陀寺に近い道路にあった「24時間自動図書館」。向かいが厦門大学だったので、大学図書館の一部?と思ったが、公共図書館が運営しているらしい。2013年には既にニュースになっていた。参考:ライブドアニュース「24時間自動図書館」の設置進む=中国福建省の思明区」(2013/7/3)



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台湾旅行2017【3日目/最終日】帰京

2017-12-19 23:04:24 | ■中国・台湾旅行
 週末旅行はすぐに最終日。12:50桃園空港発の便だったので、少し朝の観光ができるかと思ったが、ゆっくり朝食がとれたくらいで、あまり旨みはなかった。桃園空港にはクリスマスの飾りつけ。



 そして、しっかり『おんな城主直虎』最終回の放送に間に合うように家に帰った。楽しい週末はこれで終了。

(12/19記)
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