「新しいデジタルアンプをオークションで落札したんだけど、お宅のシステムで聴かせてもらえないかな?」
立派な「TRアンプ」を1台貸してもらっているほどの恩義のあるMさん (大分市)からの依頼なので「ああ、いいよ~」と、一つ返事~。
「あっ、そうそう デジタルアンプはスピーカーとのインピーダンスの整合性がとても大事と聞いているので、丁度いいことにあなたはマッチング・トランスを持ってるよね。それを一緒に持ってきてくれないかな」
ほどなく到着して、さっそくセットした。重量級の真空管アンプを降ろすときに腰を痛めないように細心の注意を払ったが、その点、デジタルアンプは軽くて助かる・・、高齢者向きだね(笑)。
立派なシルヴァーの筐体(きょうたい)を持っており、部品代だけで落札価格を軽く上回りそうである。もしこれで、「WE300B」真空管アンプの音と同等、ないしは上回るならショックのあまり寝込むことになりそうだねえ(笑)。
筐体の上に載せているのはインピーダンスの「マッチング・トランス」(1ペア)である。
駆動対象のスピーカーはこのシステムの中核となる「スーパー10」である。
さあ、固唾を呑んで傾聴したところ、開口一番「なかなかいいじゃない!」という言葉が自然に出た。鮮度も我が家で日頃聴いている音とあまり遜色ない感じ~。そりゃ細かいことを言えばいろいろあるけど、このお値段なら十分だね!
二人して、いいね、いいねと聴いていたら、そのうち、強烈な「アタック音」のときに、音が歪み気味になることに気が付いた。アレッ・・、アンプの「パワー不足」のときによくみられる現象である。
SPユニット「スーパー3」のインピーダンスは8Ωで能率は「95db」くらいだから、この程度の負荷で歪むのは感心しないねえ・・、惜しい、もう少しパワーがあれば十分使えるのに~。
少しもがいてみることにした。今度はマッチングトランスを外して聴いてみると、歪みが大きくなりとても聴ける状態ではなくなった。これはアキマヘン~。
そこで、貸してくれとは言わないまま、持って帰ってもらうことになったが、後になって考えてみると「JBL」の「075ツィーター」や「175ドライバー」だと「100db」前後と、能率がメチャ高いので使えたかもしれない・・。
いずれにしても、今回の実験を通じて今さらながら「アンプ」の重要性に思いを馳せました。
つい先日のブログで、「音質の優先順位のトップは長時間聴いても疲れない音」を投稿したことはまだ記憶に新しいですよね。
「長時間聴いても疲れない音」というのは、言い換えると「歪みの少ない音」だと思っています。
短時間聴くぐらいでは「音の歪み」は気にならないし、むしろ気持ちがいいぐらいのときもありますが、長時間聴くともなると「耳=脳」が自然と拒絶反応を起こして疲れてくる・・、これはもう本能的な「生理現象」ともいえる状態ではないでしょうか。
ここで「アンプ」と「スピーカー」の関係に目を転じてみましょう。
スピーカー固有の歪みを助長するのもしないのもアンプ次第だし、アンプそのものに歪みがあると、もう 何をかいわんや だと思います~(笑)。
オーディオはどこも手を抜けない代物だけど、その中でもつくづく「アンプ」って重要だと思いますね。単に音を増幅する役目だけを負っているわけだけど、いい方向に増幅するのか、しないのか、オーディオ全体を大きく左右している存在のような気がします。
巷間、スピーカーは人間の外見に当たり、それに精神を注入して一人前にするのはアンプの役割だという言い伝えを私は信奉しています。
これで、我が家がいかに「アンプ」を重視しているか、その理由がお分かりいただけたでしょうか。
「WE300Bシングル」(モノ×2台)、「6A3シングル」、「PP5/400シングル」、「2A3シングル」、「6AR6シングル」(三極管接続)、「LS7シングル」、「371Aシングル」、「6SN7プッシュプル」、「371Aプッシュプル」、「EL34プッシュプル」
計10台の真空管アンプ群・・、いずれも「一騎当千」で相性のいいスピーカーがそれぞれ決まっており、そしてすべて故障無しの状態です!
それはさておき、いったいあとどのくらい付き合えるんだろう・・(笑)。
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