CD番号 WLCD 0017(2枚組)
収録年 1953年
評 価(A+、A-、B、C、Dの5段階評価)
総 合 B
指揮者 A- ヘルベルト・フォン・カラヤン(1908~1989)
管弦楽団 A- SINFONICA DELLA RAI
合唱団 B -
ザラストロ A- マリオ・ペトリ
夜の女王 A- リタ・シュトライヒ
タミーノ B ニコライ・ゲッダ
パミーナ A- エリザベート・シュワルツコップ
パパゲーノ A- ギウスッペ・タッデイ
音 質 D
私 見
カラヤンは録音が遺されている範囲でスタジオ録音2回、ライブ録音2回計4回と最多回数を誇る魔笛の指揮者である。この盤は1953年にローマで公演した際のライブ収録である。
音質は良い方ではない。第一幕では一貫して背景の雑音にウーンという唸り音がしていて、音声が途絶えたときにやや目立つ。第二幕の途中からは唸り音がしなくなるが反対に音がこもったようなホール・トーンになる。とにかく音質が安定していない。悪ければ悪いなりに同じように続けてくれないと耳の聴覚フィルターの切り替えが大変である。
肝心の演奏の方だが、歌詞がイタリア語でドイツ語以外は初めてだがそれほど違和感は感じなかった。非常にきびきびした進行で元気はつらつ、熱気があってカラヤンのいい意味での若さを感じた。
歌手の方だが、タミーノ役が今ひとつでややおとなしすぎる歌唱。
パミーナ役のシュワルツコップは歴史に遺るソプラノの大歌手で、魔笛のこの役は自分が知っている範囲で最初で最後だが欲を言えば歌声がやや細身で尖っており、真面目すぎて叙情味が欠ける印象を受けた。独唱向きとオペラ向きと二つのタイプがあるとすれば前者だろう。
またパパゲーノ役が出色でコミカルで自由奔放なイメージをよく表現していた。
全体的にさわやかではつらつとして好感の持てる魔笛だが、音質の不安定さと大事な主役のタミーノ役がやや足を引っ張った印象で総合はBになったがA-に近い。