CD番号 WLCD 0009(3枚組)
収録年 1949年
評 価(A+、A-、B、C、Dの5段階評価)
総 合 B
指揮者 B ウィルヘルム・フルトヴェングラー(1886~1954)
管弦楽団 A- ウィーン・フィルハーモニー
合唱団 A- ウィーン国立歌劇場合唱団
ザラストロ A+ ヨーゼフ・グラインドル
夜の女王 B ウィルマ・リップ
タミーノ A- ワルサー・ルードヴィヒ
パミーナ A- イルムガルド・シーフリード
パパゲーノ B カール・シュミットーワルター
音 質 C
私 見
1949年ザルツブルク音楽祭におけるライブ収録である。録音はベーム盤に比べると随分聴きやすい。8年の差は大きいようでCDケースには24BIT/96KZのリマスタリングとあるが、やや中高域の音に人工的な不自然さを感じるが鑑賞には十分耐えうる。少なくとも雑音に悩まされるよりはいい。
さて、ライブの王様フルトヴェングラーの登場である。結論から言えばもう少し燃える演奏を聴かせてくれると思ったが意外と随分抑制がきいた魔笛だった。
全体的に非常にゆったりしたテンポで歌手に十分時間をとらせて歌わせる方針のようだ。これでもいいのだが、何だか間延びしてしまって切れ味に乏しくさらにエネルギー感に欠ける印象を受けた。
いかにも熟年向きの魔笛といった感じであり、こういう演奏を聴くと、あの訳の分らないような魔笛特有の自由奔放さ、とてつもない宇宙空間のような広がりがもっと欲しくなる。
たしかに只者ではない魔笛を時折感じるのだが、フルトヴェングラーにはやはりコミカルなおとぎ話の世界が合わないのだろうか。とにかく不完全燃焼に終わってしまった感がする。