3週間ほど前のことだった。
家の中に飾っていた「お雛様の道具」(大きな箱2つ)をカミさんに加勢して倉庫に収納していたところ、邪魔になる段ボール箱がいくつか目についた。
いったい何が入っているんだろうかと中身を覗いたところ、これが何と一昔前の大量の「VHSテープ」。
これらの、いかにも旧式の録画媒体はすべて廃棄したものと思っていたのだが、どうやらVHS戦争に敗北したベータテープ(ソニー)の方だけ一方的に処分していたものらしい。
内容の方はテレビで放映された映画の録画がほとんどで大したことはないのだが「漢詩紀行」(10巻:NHK)など、わざわざ買い求めたものもいくつかある。そういえば「江守 徹」さん独特のドスの利いた声による解説・朗読と漢詩の味わい深い余韻に浸って、視聴のたびに大いに心を揺り動かされたことを想い出す。
上記の写真にはほんの一部しか映っていないのだが、仔細に検閲してみると「トム・ジョーンズの華麗な冒険」「五つの銅貨」「わらの女」などの名作群が続々と出てきた。とりわけ、昔からジェームス・スチュアートの大ファンだが「遠い国」は昨今の多チャンネル時代の映画放映にもかかわらず、絶対と言っていいほどお目にかかれない稀少な作品。
おまけに一作年の9月に亡くなった懐かしい母(94歳)の名前が書かれた思い出のテープまで出てきた。
すっかり忘れていてゴメン!
これではとても廃棄するに忍びず、場所は取るけれど保管しておこうと決心した。しかし、これらVHSテープはすっかり忘却の彼方にあったので、2年ほど前に(ビデオデッキを)巡回してきた廃品業者に渡して処分したのが何とも口惜しい。
次から次に知人に電話をかけてみた。
「VHSビデオデッキを持っていたら譲っていただけませんか。多少のお礼はいたしますが。」
しかし、残念なことに既に処分済の方々ばかりでアウトの連続。そりゃそうだろうねえ。今では録画といえばHDD(ハードディスク)かブルーレイだもんねえ。
ようやく、お一人から反応があって、三菱のビデオデッキをいただくことができた。テスト後にお礼をするつもりで、家に持ち帰って電源を入れたところカタカタと異音がしてきて、そのうち薄い煙が電源部から漂ってきた。
これは危ない!すぐにスイッチを切った。専門店に修理を依頼することにして、大分市の三菱のサービスセンターへ持参し、修理の見積もりを依頼したところ、受付のお嬢さんが型番をパソコンで調べていたが、「なにぶん古くて部品の在庫がありません。修理できない可能性が大いにありますが、とりあえず診てみます。」
「はい、よろしくお願いします。修理にあまりお金がかかるようでしたら、中古の製品を買い直しますので、とりあえず見積額を教えてください。」
そして、サービスマンからその回答があったのが28日(木)の夕方のことだった。
「懐かしい製品でしたので丹念に見てみました。残念ですが、コンデンサーなど一連の部品が役に立たない状況です。基盤全体を交換しないといけませんが、もう部品がありませんので修理は不可能です。どうしてもVHSにこだわるのであればブルーレイとVHS一体型のデッキがありますので今のうちに購入されておいたらいかがでしょう。」
ウ~ン、成る程。しかし、また「物入り」か~(笑)。
ネットで「ベルーレイ VHS一体型」でググってみると、東芝の製品などがあったが、オープン価格とあってサッパリ値段が闇の中。
いろいろ調べるうちに、どうもこの一体型と称される製品の評判がよろしくないようで、画質が悪いのか、故障が多いのか、値段が高すぎるのか、いろいろあるのだろう。
そこで一案。
まず、中古のよく整備されたビデオデッキを購入する。それを別途「ブルーレイデッキ」に接続して、再生しながらブルーレイに録画すればいい。幸いソニーから「VHSリマスター」といって短時間で録画できる機能が付いた「ブルーレイデッキ」が発売されているようである。
もっとも、何もブルーレイに録画しなくてもVHSデッキと液晶テレビ(アクオス)のチューナーに接続すればいつでも視聴できるのがこの方式のいいところ。
どう考えてもこれが一番合理的なので、採用することに決定!
すぐにネットで調べてみると関東地区の中古のビデオデッキ専門店が見つかった。オークションで求めるのもいいのだが、後々の保証を考えると修理システムがしっかりした専門店から購入した方が長い目で見ると得のような気がする。
10台前後の整備済みのビデオデッキの中から選んだのがビクターの「HR-VX8」(S-VHS)。これは以前、自分が持っていたものと同一機種である。録画と再生は同じ機種の方がきっといいはず。
メールでやり取りした後、代金引き換え払いで注文したので31日(日)の午前中には到着の予定だが、よく考えてみると、この日はカミさんの仕事が休みで、家に居る日だった。
何というタイミングの悪さ!「また、何か買ってる」の怒声(?)が飛んできそうだ。
到着日の変更は可能だが、早く観てみたいしなあ。無用の刺激は“与えない”に越したことはないのだが、やれやれ(笑)。