「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

独り言~「みかんの花咲く丘」~

2011年09月06日 | 独り言

7月下旬に入って食事が喉を通らなくなり、一時危篤状態に陥った母〔95歳)だが、点滴や流動食などでようやく危機を脱して現在は小康状態に。

これも手厚い介護をしてくれる看護士さんのおかげだが、「食事のときなど目が醒めているときに音楽を聴かせてあげると脳の働きや情操にいいと思います。家にラジカセがあったら持ってきていただくといいのですが~。」とのご提案。


音楽療法というわけだが、母の役に立つことなら何でもするし、得意というか、これはとても好きな分野なので願ってもない話。

丁度使ってないソニーのラジカセがあったのでそれはいいとして問題はジャンルをどうしようか。

お年寄りばかりの病室で”ジャズ”を鳴らすなんて論外だし、”クラシック”はちょっと”かた苦しそう”だし、やっぱり日本の歌だろう。

若い頃に病気で夫に先立たれ女手ひとつで幼い子供四人〔自分は末っ子)を育て上げた母なので、音楽に親しむ時間〔余裕)なんてとてもなかったが、食後の食器洗いのときによく童謡を口ずさんでいたのを覚えている。

たしか童謡を収めたCDがあったはずだがと探してみると、「心のうた 日本のうた 決定版抒情愛唱歌大全集」という14枚組のCDが見つかった。

       

購入するきっかけとなった新聞の折りたたみ広告が挟んであって、1995年とあるから16年ほど前に購入したものだ。

    

その中からこれが良かろうと選んだのが「みかんの花咲く丘」と題した一枚のCD。

        

唄っているのは「音羽ゆりかご会」。児童合唱団だが、「かもめの水兵さん」など島田祐子さんの歌も含まれていて全25曲。

このCDを看護士さんに届けて1週間ほど経ってからのこと、”みかんの花咲く丘”がたいへん好評です。お母さんも含めて病室の皆さんが何ともいえず穏やかな表情になって、すごくいい雰囲気になりました。ほかの病室の方にも是非聴かせてやりたいくらいです。」と遠慮がちにおっしゃる。

「そのくらいお安い御用ですよ。」と、翌日すぐに次の三枚のCDを追加して持って行った。(コピー盤なんて野暮なことは書きませぬぞ!)

☆ 「夕焼けこやけ」〔ひばり児童合唱団)ほか

☆ 「赤い靴」〔島田祐子)ほか

☆ 「赤とんぼ」(日本合唱協会)ほか

改めて大喜びされたが、そんなに〔童謡の)評判がいいのならと、久しぶりに我が家のオーディオ装置でもじっくり聴いてみた。

すると、歌詞の情景がすぐに思い浮かぶし、メロディーも親しみやすいし、何だか童心に返ったような心地がして、懐かしくてほのぼのとした気持ちになった。

生まれ育った”ふるさと”を思い出しながら、「自分の音楽鑑賞の原点は抒情愛唱歌なんだよなあ」と感慨もひとしお。やはり日本人。

たしか「小塩 節」(おしお たかし:ドイツ文学者)氏の著書だったと思うが、モーツァルトが6歳前後の頃に作曲した一節が35歳で亡くなる年に作曲されたオペラ「魔笛」の中にそのまま使われているという話に胸を打たれた記憶があるが、人間は「円環の生涯」に生きているのかもしれない。

たとえば釣りには「鮒(ふな)釣りに始まって、鮒釣りに終わる」という言葉がある。

幼少の頃に近くの小川で始めた鮒釣りが長ずるに及んで湖沼、海釣りなどの大掛かりな支度と複雑な仕掛けを伴った釣りとなり、老境に至って体力の衰えも手伝ってシンプルな鮒釣りに戻って枯れた味わいを堪能するという意味合い。

「オーディオ」だってそう。

「スピーカーはフルレンジに始まってフルレンジに終わる」。

何といっても最終的な音決めをし、オーディオの「華」ともいうべきスピーカー〔以下、SP)だが、初心者の頃はフルレンジ1本のユニットで鳴らし、音にうるさくなるにつれて段々とエスカレートし低域と中高域を分けた2ウェイ、3ウェイ方式に移行して周波数レンジをひたすら追いかける。

そして高齢化とともに高い方の音が次第に聞こえづらくなる。

これは例外なく誰にでも訪れる耳の老化現象で一般的に人間の可聴帯域は20~2万ヘルツとされているが、60歳を超えるとせいぜい1万ヘルツが聞えれば上等の部類だろう。

すると、周波数レンジにこだわる必要性もなくなり、むしろ音の艶とか色気、抜け、バランス、分解能、奥行き感とかにうるさくなる。

そうすると、周波数を分割するネットワークの不自然さに気付き、シンプルなフルレンジのSPユニットの良さに思い至って逆戻りしていくというパターン。

実は自分もその例に漏れない。近年、レンジに対する興味が薄れるばかり。

デジタルは日進月歩の世界なのでとかく周波数レンジの拡大にキリがないようだが、音の入り口でどんなに広いレンジにしようとも、出口に当たる「SPの再生能力」がきちんとついていけるんだろうか?

レンジも大切だろうが、SPの改良も抜かりなく手の届く値段の範囲内でやってくれえ~。

余談になるが富山のメル友「H」さんから教えてもらった話だが、Hさんの師匠にあたる方が「レコードとCDの違い」について次のようなことを言っておられた由。

 「 レコードは〔針で)”こする”から良い音がする。CDは 夢精 だ。」と言われました。

ちなみに 、(これは)この方の口癖で トレードマーク、私も同感です。だって、バイオリンもビオラもチェロもコントラバスも、ギターもそうでしょう。

たいへん含蓄のある言葉・・・。デジタルの音は果たして「砂上の楼閣」か。


さて、話は戻って手持ちのタンノイ・ウェストミンスターの38cm口径オリジナル・ユニット(HPD385A)を取り外して、補助バッフルを利用しアルテックの403A〔20cm口径)フルレンジ・ユニットを付けてみたい誘惑にずっと駆られている。

童謡とかボーカルを中心に聴くのならおそらく最高だろうなあ。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 音楽談義~以心伝心~ | トップ | オーディオ談義~「三歩前進... »
最新の画像もっと見る

独り言」カテゴリの最新記事