前々回のブログ「証言・フルトヴェングラーかカラヤンか」で紹介したラベル作曲の「優雅で感傷的なワルツ」。
よく調べてみると正式なタイトルは「高雅で感傷的なワルツ」だった。
「優雅」と「高雅」とどう違うんだと言いたくなるが、やはりニュアンスがちょっと違うみたいですよ。興味のある方は調べてみてください。
さて、世紀の大指揮者フルトヴェングラーがこよなく愛していたというこの曲目をぜひ聴いてみたくなったが、惜しいことに「フルトヴェングラー全集」(107枚)には収録されていない。
おぼろげな記憶とともに、たしか持っていたはずだがと探してみるとありました!
「ドビュッシー・ラベル全集」(全8枚組)の6枚目に収録されていた。トラック番号9~16で8節に分かれ全体で16分ほどの小曲。
指揮者はジャン・マルティノンで演奏はパリ管弦楽団。さほど有名な指揮者でもないし、なぜこの全集を購入したのか今となってはさっぱり思い出せないのが残念。
強いて挙げれば、ドビュッシー・ラベルともフランスの作曲家であり、それならば指揮者もフランス人がよかろうという程度かな。
この全集ではドビュッシーの曲目が4枚、ラベルが4枚という構成になっており、折角だからこの際ラベルをすべて聴くことにした。
収録されていた曲目は次のとおり。
<5枚目>
✰ ボレロ ✰ 海原の小舟 ✰ マ・メール・ロワ ✰ スペイン狂詩曲
<6枚目>
✰ シエラザード(序曲) ✰ ラ・ヴァルス ✰ クープランの墓 ✰ 古風なメヌエット ✰ 亡き王女のためのパヴァーヌ ✰ 高雅で感傷的なワルツ
<7枚目>
✰ ダフニスとコロエ
<8枚目>
✰ 左手のためのピアノ協奏曲 ✰ ピアノ協奏曲
管弦楽が多いので、システムは「ウェストミンスター」(改)の出番となる。
低音域は「PX25シングル」、中高音域は「300B(6A3)シングル」と2台の真空管アンプで駆動。
低音が仰山出まっせえ(笑)。
ボレロ以外は親しみやすい旋律も特になかったが、よく聴いているうちに何だか「精巧に出来たジグソーパズル」を見ているような感じがしてきた。
一つ一つの複雑なピース(音符)が隙間なく埋められていく印象で無駄な音符が一つもなさそう。
明らかに日頃聴き慣れたドイツの作曲家たちとは作風が違うが、これはこれで悪くない。
気になったので作曲家「ラヴェル」をググってみた。
モーリス・ラヴェル(1875~1937)。
手短に表現すると、「オーケストレーションの天才」「管弦楽の魔術師」で、ドビュッシーと同じ印象派に属する(やや微妙な色分けがあるようだが)とある。印象派とは一言でいえば、気分や雰囲気を前面に押し出す音楽のこと。
フルトヴェングラーは演奏会のプログラムに入ってもいないのに、ベルリンフィルの楽団員にしょっちゅうこの曲目を演奏させていたのは先述したとおり。
その理由というのはラヴェルの音楽を愛していたからと言われているが、併せて「オーケストレーション」の妙味を通じて指揮者と楽団員との呼吸(いき)を合わせていたのでなかろうかなんて思ったりした。
戻ってラヴェルの音楽についての再度の印象だが、精緻なジグソーパズルを思わせるところは数学者の複雑な数式にも通じるところがあり、ラベルの風貌も何だか厳格な数学者を連想させる。
そういえばフランスは幾多の高名な数学者を輩出している。
ググってみると17世紀~20世紀前半で、画期的業績を残した世界的数学者を列挙すると、数では①フランスが圧勝、次は②ドイツと③イギリスとあった。
そのうちフランスの代表的な数学者としては「デカルト」(座標系)、「フェルマー」(最終定理)、「パスカル」(定理)、「フーリエ」(級数)、「ポアンカレ」(予想)など。
「数学は音の基礎」と言われているが、ラベルの精緻な音楽はそれを踏まえているのかもしれないですね。
これからドビュッシー、ラベルを集中的に聴いてみようかな。
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