つい先日のこと、指揮者10名以上に亘る交響曲第6番「田園」の試聴結果を2回に分けて搭載したところ、さっそく四国のSさんからメールが飛び込んできた。
Sさんは「AXIOM80」の愛好者で80Kgにも及ぶ「バックロードホーン」の箱を自作されて楽しまれており、今年の3月頃から同好のよしみでメールの交換をさせていただいている。
どんなSPユニットも容れる箱次第でガラッと音が変わるし、じゃじゃ馬ユニットの「AXIOM80」の場合はなおさらだ。早く試聴に行きたいのはやまやまだが、例のコロナ騒動で日程が伸び伸びになっている。
我が家の御上によると「当事者はともかく相手方の奥様ともなると、こういうご時世でのお客さんは嫌がられるものよ」という横槍が入ってきてどうにも身動きが取れない(笑)。
一般的な傾向として女性は自主防衛本能が強くて男性と比べてことのほか新型コロナへの警戒心が強いみたいですね。
それはともかく、そのSさんから届いたメールがこれ。
「先日の田園の御記事楽しく読ませていただきました。刺激されて久しぶりにベートーヴェンを聴いています。
〇〇様の御記事には載っていませんでしたが、コンヴィチュニー指揮 ゲヴァントハウスのベートーヴェン全集お聴きになられたでしょうか。
まるで室内楽のように均整のとれた澄み切った水の中で泳いでいる魚たちが遠くまで見渡せるような演奏だと思っています。
ネットで調べてみたらメルカリ(使ったことありませんが)にも出ていました破格の千円台でした。
色々ありますが黒いボックスで背中が緑の6枚セットで左手を伸ばした指揮者の写真(白黒)ドイツ版です。
同じ演奏でも国内版は音が良くないようです。ご興味があれば手に入れられてください。損はないと思います。」
以上のとおりだが、Sさんとは「AXIOM80」という同類項のよしみで信頼度抜群だ。
たとえば「オートグラフ」を使っている人と「AXIOM80」を使っている人のどちらの耳を信用するかといえばもちろん後者であることは論を待たない(笑)。
丁度、ヤフオクに出品されていたのですぐに落札。
程なくして我が家に無事到着。6枚セットによる「1番から9番までのシンフォニー」の全集物で、1959年~1961年にかけてのスタジオ録音である。モノラルではなくステレオ録音だった。
さっそく1番から9番までずっと通しで聴いてみた。システムはSさんと同じ「AXIOM80」にして、駆動するアンプは「71系シングル」。
周知のとおりベートーヴェンの交響曲の奇数番号は「男性的」、偶数番号は「女性的」な傾向の曲風になる。若いときは前者が好みだったが、人生も後半に入ると穏やかな後者を身近に感じるが、皆様はいかがでしょうか。
それにしても「ゲヴァントハウス」オーケストラだから、いかにもハウス的な小編成のこじんまりとした演奏を予想していたら、どうしてどうして、いかにもドイツ風の重量感のあるオケだった。
コンヴィチュニーさん、なかなかやるじゃんと思わず拍手。特に4番に惹かれた。
そして、とうとう最後の「第九」に行き着いた。こうしてまともに「第九」と向き合うのは久しぶりだなあ。
20代のころは、それこそフルトヴェングラー指揮の「第九」(バイロイト祝祭管弦楽団)に熱中したもので1楽章から3楽章までは人間が作ったものだが、「第四楽章」については音楽の神様が創作したものだと勝手に思い込んでいたほどの耽溺ぶりだった。
今となっては、精神的にくたびれるせいか積極的に聴こうという気にはさらさらなれないのだが、はたしてこれは進歩なのか退歩なのか(笑)。
ところがこの「第九」が想像以上に良かった!
Sさんのお説のとおり、「まるで室内楽のように均整のとれた澄み切った水の中で泳いでいる魚たちが遠くまで見渡せるような演奏」だし、へんに気負ったところが無い演奏にも満足。
Sさん、とても良い全集を紹介していただき感謝です~。
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