「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

思いがけない展開~シリーズ第4弾の続編~

2019年12月29日 | オーディオ談義

前回からの続きです。

今年の6月に新たに手に入れた「6AR6=6098」シングルアンプだが12月に入って次のような「思いがけない展開」があった。

きっかけは11月下旬に遡る。東京在住のオーディオ仲間「S」さんから次のようなメールが届いた。(以下要旨)

「北国の真空管博士から製作していただいたアンプが届いて2週間、出来るだけ毎日火を入れるようにして聴き込んできました。

率直な感想は「凄い」の一言です。あんな小さなテレビ球が出す音ではありません。

信じられないかも知れませんが、たかだか12インチの同軸フルレンジユニットのタンノイ・チャットワース(モニター・レッド)2台だけで、眼前にフルオーケルトラの雄大な景色が展開します。

こんな小さなアンプがドライブしてると知ったら、全員が驚愕することでしょう。

一切妥協のない部品選びと、球の特性を知り尽くした上での技が成せる処でしょうか?

博士は私の知る限り、最高の天才アンプビルダーと呼べると思います。こうなってくると、一から設計してもらうPP5/400アンプが俄然楽しみになってきました。

部品などはいっさい妥協することなく最高のものを使ってくださいと言ってあります。ただし、仕上がりの方は少なくとも1年以上は覚悟しなければいけないようです」


Sさんの本宅は福岡だが、レコードプレイヤーは「EMT」、スピーカーはタンノイの「コーナーヨーク」(モニターシルヴァー入り)、アンプは「PP5/400シングル」と一流どころを使っておられるほどの筋金入りのクラシック愛好家である。

       

そのSさんからこういう話を聞かされると素通りするわけにはいかないですねえ(笑)。

詳しく伺ってみると、「ボリュームとして「マランツ7」と同等の「クラロスタットボリューム」が使用されているのが音質向上の一因ではないか」とのこと。

真空管アンプに使用されるボリュームの質が音質に大きな影響を与えることは周知のとおりですよね。

さっそく博士に連絡して「たってのお願いですから我が家の6098シングルも同じボリュームに代えてくれませんか?」

前回の「シリーズ~第4弾~」でも述べたように「6098シングル」を購入したのは博士のお口添えがあったからのことなので、おそらく責任の一端を感じられたのだろうか、

「クラロスタットボリュームは米軍三沢基地からの放出品として手に入れたものですが、軍用品ですのでツクリは抜群です。残り少なくなってきましたが、付け替えてあげますのでアンプを送ってください。」

すぐに発送して待つこと1週間あまり、この23日(月)に改良後のアンプが我が家に到着した。



もう笑いが止まらないとはこのことですね。聴く前からどういう音が出るかは役者がそろっているのでおよそ推測できようというもの。

その役者とは、つまり「PP3/250=PX4」同等とされる「6098真空管の三極管接続」、「クラロスタットボリューム」それに付随して「完璧主義者の博士の試聴に基づく入力回路付近の見直し」など。

新品や改造したオーディオ機器の試聴のときは、いつもハラハラドキドキワクワクするのだが、今回は「いい音」が出るのが当たり前という感覚だった。

そして、やっぱり予想どおりだった!(笑)

ちなみに、いつもオーディオ機器の性能を把握するときは、視点として「音楽向き」か「オーディオ向き」かを色分けすることにしている。

言い換えると、前者は長時間聴いても疲れない音になり、後者は短時間聴くのは刺激的で耳に心地よいが、長時間だと疲れてくる音といえる。つまり、一時的なお客様向きのど派手な音ですね(笑)。

いわばマラソン走者と短距離走者の違いともいえる。

そして、到着から本日(29日)で丁度1週間になるが、このアンプは明らかに「音楽向き」の音だった。

また、プリアンプやスピーカーとの相性をそれこそ血眼になって(笑)、いろいろ探ったが、結局ボリュームが優秀なせいか「プリアンプ無し」で鳴らすのがベストだった。

つまり、アンプ側のボリュームの位置を4分目ぐらいにしてDAコンバーター「エルガー・プラス」(dCS)からの直結、そしてスピーカーは「グッドマン系」が最高だった。

極めてアンプを選り好みする「トライアクショム」(口径30センチの同軸3ウェイ)だが、これほどの完璧な再生は初めてと唸るほどの出来栄えだった。



気難しい「トライアクショム」がやっと真価を発揮してくれたかと思わず感涙に咽んだ!(笑)

博士によると「古典管を使ってアンプを作るときは当時の文献を深く読み込まないとダメです。やってはいけない禁忌事項がこと細かく書いてあります。

これらには先人の知恵がいっぱい詰まっていて、既に使い方のノウハウが当時完成していたことがわかります。そういう解説を読まずに古典管だからいい音が出るだろうと安易に考える人が多すぎます」


実際に「出てきた音」が何よりの説得力を物語っている。

「S」さんが提唱される「博士天才説」に喜んで加担させていただきます~(笑)。

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