「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

名作映画への誘(いざな)い~歴代のキネマ旬報ベスト10~

2018年03月29日 | 独り言

「キネマ旬報」といえばキネマ旬報社が発行する映画雑誌である。1919年創刊だからおよそ100年にもなる由緒ある雑誌だが、とりわけ有名なのが毎年発表される年間映画の「ベスト10」だろう。

どちらかといえば娯楽性の高い興行収入には目もくれず、芸術性に重きを置いた選出になっているのが特徴で、古来幾多の名監督がその栄誉に浴している。

そして、このほど通い慣れた図書館の新刊コーナーで偶然見かけたのが次の本。

       

「音楽&オーディオ」で猛烈に忙しい毎日なので(笑)
、それほど映画鑑賞に割ける時間も無いのだが、それでも身近な「ひかりTV」(NTT)で昔の懐かしい映画があったりすると、すぐに録画するはめになる。

なにしろ37チャンネルもあると映画のオンパレードなので、自分の知らない「名画」を見逃すのももったいないし、「何かしら指針があれば助かる」との思いに答えてくれそうなのがこの本だった。

1924年から年ごとに日本・外国の「ベスト10」が掲げてあるのでざっと目を通したが、知らない映画がかなりあった。

そのなかでコラム(595頁)に「映画人が選ぶオールタイムベスト100」というのがあったので、そのうちの「ベスト10」を紹介してみよう。映画人というのは監督、プロデューサー、脚本家、撮影監督などの専門家たちを指す。いわばプロたちが選ぶのだから信頼性は高い。

<日本映画>(カッコ内は公開年)

1位 「七人の侍」(54年) 2位 「浮雲」(55年) 3位 「飢餓海峡」(65年) 3位 「東京物語」 5位 「幕末太陽傳」(57年) 5位 「羅生門」(50年) 7位 「赤い殺意」 8位 「仁義なき戦い」(シリーズ) (73年ほか) 8位 「二十四の瞳」(54年)10位 「雨月物語」(53年)

この中で、まだ観てないのは「浮雲」「幕末太陽傳」「赤い殺意」の3本だけだが、選出順位は素人の自分でさえも「成る程」と頷かせるものがある。

次に<外国映画>へ。

1位 「第三の男」(52年) 2位 「2001年宇宙の旅」(68年) 3位 「ローマの休日」(54年) 4位 「アラビアのロレンス」(63年) 5位 「風と共に去りぬ」(52年) 6位 「市民ケーン」(41
年) 7位 「駅馬車」(40年) 7位 「禁じられた遊び」(53年) 7位 「ゴッドファーザー(3部作)」 7位 「道」(57年)

幸いなことに10本ともすべて観た映画ばかりだがいずれも秀作ばかり。たとえば「2001年宇宙の旅」の中で展開されていたコンピューターの反乱に当時はピンとこなかったものの、今や現実のものになろうとしているので、その先見性に改めて感心する。

また「ローマの休日」の終幕でグレゴリー・ペック(新聞記者)がヘップバーン(王女)との面会が終わって大広間にずっと佇むラストシーンがいまだに瞼に焼き付いている。

何はともあれ1950年代の映画が多いことに気づかされるが、当時は小学生くらいの頃で少なくとも映画が大衆文化の中でどういう地位を占めていたかを肌身で知っている。映画館はいつも超満員だった。クラシック音楽と同様に1950年代が質・量ともに映画の「黄金時代」だったのだろう。

ところで、つい最近「ひかりTV」で放映していたのが「時代屋の女房」(1983年)だった。

           

主演は「渡瀬恒彦」と「夏目雅子」のご両人だが、周知のとおり二人ともすでに「鬼籍」に入っている。

当時の年齢はといえば渡瀬が39歳の男盛り、夏目は23歳(白血病により25歳で病死)という全盛時代で、スクリーンの中での両者はまさに光輝かんばかりの存在感だった。

同じ人間なら誰にでも生涯のうちに「若さを誇示できる」一番素敵な時代があると思うのだが、映画俳優はこうしてスクリーンを通してベストの時代の映像をいつまでも人々の記憶の中に鮮明に残せるのだから、つくづく「いい職業だなあ!」と思うのは自分だけだろうか。

まあ、簡単になれる職業でもないが(笑)。


 


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