「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

「新たな整流管」と「貸し出したアンプ」の到着

2018年03月06日 | オーディオ談義

前々回からの続きです。

2月28日(水)の午前中に届いたdCSのデジタル機器に続いて、午後に到着した二つの荷物を紹介しよう。

☆ STCの整流管4274A

3番目の荷物はオークションで落札したSTC(イギリス)の整流管「4274A」だった。これは「WE300Bシングル」アンプ用としてぜひ手に入れたいとかねがね狙っていたもので、珍しく同じものが1本ずつ、3本並べて中古専門のショップから出品されていた。

さっそく「北国の真空管博士」に「お値段の妥当性と画像診断」をお願いしたところ、次のような返答があった。

「3本あるうち、ピンの1本が曲がっているのがありますのでこれは避けた方がいいです。またゲッタが薄目のも止めた方がいいでしょう。残りの1本は瑕疵が見当たらないのでこれがいいと思います。お値段はとてもお買い得だと思いますよ。STC(ロンドンウェスタン)はどうかすると本家本元のウェスタンよりもツクリがいいことがありますからね。これは1950年代のWE274Aに匹敵する代物だと思います。」

     

巷間、整流管の王様とされているのは「WEの274B」だが、ピンが4本タイプのもあってそれが「WEの274A」であり、STC製造のものはすべて型番に4が付く。たとえば「4300B」であったり、「4274A」だったりする。

問題は音である。なにしろ真空管アンプは整流管次第でころっと音が変わるんだからね~(笑)。それも一番大切な「透明感」にもろに利いてくるのだからたまらない。

午前中に到着したdCSのデジタル機器のときのように心臓の拍動を意識しながら「WE300Bシングル」(1951年製:銅板シャーシ)にこの4274Aを差し込んで耳を澄ました。

すると、一段と磨きがかかり爽やかでくっきりした音に変身。現用中のSTCの「5R4GY」もなかなか良かったが明らかに「4274A」の方が一枚上手だった。

これで「AXIOM80」を文句なく鳴らせるようになり、「PP5/400シングル」アンプの独裁が終わりを告げたのはとてもいい傾向だ。

折りしも中国の共産党主席が独裁政権への道筋(3期まで延長)を開いて世界的に何かと喧しいが、なにごとも独裁が長く続くのはよろしくない(笑)。

☆ 真空管アンプ「371Aシングル」

最後に届いた4番目の荷物は真空管アンプ「371Aシングル」だった。

    

このアンプは1月の中旬ごろに県外の知人に貸し出していたもので「アルテックのスピーカーに苦戦しているのでどうしても実験してみたい」との熱烈なご要望があったので、同じオーディオマニアとしてその心理状況は手に取るようにわかった。

「ハイ、いいですよ。2か月ばかり試聴してください。その代わり売るつもりはありませんからね。」

我が家には371A(ST管は2桁表示の71A、ナス管は371Aなどの3桁表示となる)系統のアンプが3台あるので貸し出し自由。内訳はシングルが2台、プッシュプルが1台。

この371Aという球は1940年頃にアメリカのラジオ用として活躍した出力管で出力は1ワットにも満たないがとても特性が素直なので「じゃじゃ馬スピーカー」の調教にはもってこいである。

アメリカの古典管の系統からいくと「112A → 371A → 245 → 250 →2A3」となり、だんだんと出力が大きくなっている。ちなみに、この中で一番高価なのは250で「すい星」のように現れて消えた球だが、市場では珍重されており、いまだに人気が衰えない。

我が家のお客様の常連である「Y」さんも「50」アンプを現在発注されておりもうすぐ完成とのことでそのときは我が家に持ち込んで試聴させてもらうことになっている。

話は戻って、371Aアンプを予定よりちょっと早めに返却してもらった理由はオーディオ仲間のKさんから「東ドイツ製のとても良質な6SN7の類似管が手に入りましたよ。」とのことなので、ぜひ実験してみたかったから。

このアンプの構成は「整流管380」(ナス管)~「前段管6SN7」~「インターステージトランス」(国産)~「出力管371A」になる。

いつぞやのブログにも搭載したように「出力管は整流管や前段管次第で豹変する」のが通例なので、巷にありふれた「6SN7」を東ドイツ製に差し換えることでどのくらい音質が変化するか興味津々である。

最後に、貸し出し相手によるこの371Aアンプの試聴結果は「JBLにはちょっと無理でしたが、アルテックにはうまくいきました。」とのことだった。JBLのユニットはかなり能率が高いくせにアンプにハイパワーを要求するのは我が家でも経験している。

ただし、同じJBLでもチャンデバ使用時の「075」や「175」系の高能率のツィーターを制御するのは71A系アンプが最適という話を耳にしたことがある。

ちなみに、もしも貸し出し相手から「相性がとてもいいので返したくありません。ぜひ譲ってください。」と言われたときはどうしようか、相手の気持ちを尊重して「そうですか、仕方がないのでお譲りしましょう。」という考えも頭の片隅にあったが、どうやら「取り越し苦労」に終わったようで(笑)。

以上のとおり、前々回のブログを含めて1日のうちに次から次に4つの荷物が届いて大忙しだったが万事思惑どおりに運んだのが何よりだった。

 


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