昨年末に格安で入手した「ウッドホーン」はどこまでも「オーディオ心」をくすぐってくれる「優れもの」だった。
2ウェイで十分楽しませてもらったが、3ウェイ方式の中域部分(スコーカー)として使用したらどうなんだろうと、いつものように”またぞろ”欲が出てきてしまった。
3ウェイともなるとそれぞれ振動板が違う3つのSPユニットの調和を図るのが難しいのでずっと敬遠してきたが、うまくいけば凄い効果が得られるのはわかっているので、実験してみる価値がありそうだ。
幸いなことに使っているパイオニアのネットワークはスイッチ一つで簡単に2ウェイから3ウェイへ切り変えられる。
2ウェイのときはクロスオーバー4000ヘルツだが、3ウェイのときは「500ヘルツ」と「4000ヘルツ」となる。
したがって、次のようなスピーカーの編成になる。
低音域(~500ヘルツ)はワーフェデールのユニット(自作の箱入り:口径30センチ)
中音域(500~4000ヘルツ)はウッドホーン付きの楕円形ユニット
高音域(4000ヘルツ~)はワーフェデールの「スーパー5」(コーン型ツィーター)
現用中のグッドマンの楕円形ユニットは16Ωなので、新たに8Ωの楕円形ユニット(ドイツ製:アルニコマグネット)をオークションで入手した。
さっそく工作開始。
ジグソーで青い線の部分を切り取ればいいので実に簡単。上の部分が楕円形ユニットを取り付けるバッフルになり、下の円形の部分は丸型のウッドホーン(植木鉢)に取り付けるワーフェデールの「スーパー5」(赤帯マグネット付き)用の補助バッフルとなる。
いつものように素人の雑工事ながら難なく切り抜いて、音の反射を良くするためにアルミホイールを巻き、それぞれのホーンに収めてみた。
そしてワクワクしながら据え付けて結線完了。初めにツィーターは「075」(JBL)で聴いてみることにしよう。
すると、ん? ちょっと高音域が物足りないなあ。
そこで、マイカコンデンサーを追加して「0.075μF×3個=0.225μF」にしたところバッチリだった。
2ウェイのときよりも明らかに音の密度が増したというか、質感がいいというのか、周波数帯域に音の谷間がない感じ。一番懸念した3つのユニットのハーモニーにもいっさい違和感がない。こういう細身でタイトでスピードのある(音声信号に対する応答性が良い)音が大好き。
明らかにウーファーを500ヘルツでハイカットした効果が出ているが、それに加えて低音域と中音域のユニットの音圧レベルがほぼ同じだったのは大いに助かった。どちらかにでも(音量調整用の)アッテネーターを使うと音の劣化が心配だ。
特筆すべきは「075」で、4000ヘルツ以上の帯域に専用として起用するのは久しぶりだったが、改めてシンバルなどの澄み切った再生の威力に驚いた。これほどの実力を発揮してくれるとなると「スーパー5」の起用は後回しにせざるを得ない。
現在修繕に出しているロンドン・デッカの「リボン型ツィーター」をはじめ、ワーフェデールの「スーパー5」そしてJBLの「075」を一堂に会したツィーターの適性テストをいずれやってみることにしよう。メチャ楽しみ~。
仕上げとしてこの「3ウェイシステム」に相性のいいアンプを実験してみた。
「PP5/400」シングル、「WE300B」(1951年製)シングル、「WE300B」(1988年製)シングル(モノ×2台)、「171Aプッシュプル」アンプ、「171」(トリタンフィラメント)シングル
以上、5台のアンプをとっかえひっかえしながら3日がかりで聴き分けたが、それぞれにいいところがあっていずれも甲乙つけがたし!
たとえば、「PP5/400」(最初期版)は音色に惚れ惚れするような色気がある、「WE300B」(1951年製)は中低音域が骨太くて抜けがいい、続いて「WE300B」(1988年製)は全帯域のバランスがいい、「171Aプッシュプル」は低音域の量感が凄くいい、「171シングル」は繊細さが出色といった具合。
ちなみに、5台中4台が「北国の真空管博士」の手になるもので、特別にお世話してもらった希少な古典管の起用とともにその魅力度は筆舌に尽くしがたい。
また、2ウェイのときのような大幅な落差が生じなかったのが不思議だが、きっと「3ウェイシステム」の方の周波数特性と応答性が優れているのだろう(笑)。