およそ1月前のお盆のときのこと。
帰省した娘とのウォーキングが済みフラリと立ち寄った書店で、センセーショナルなタイトルが気になって購入したのが次の本。
そのうち読もうと机の上に置いたまではよかったが、次から次に図書館から借りてきた本の返却期限に追われてとうとう目を通すヒマがないまま1か月近くツンドク状態に。
ところが、つい先日四軒隣りの86歳になるお婆ちゃんが亡くなられた。いつもニコニコして愛嬌が良くてお会いするたびに挨拶を交わしていたのでショック。前日まであれほどお元気だったのに信じられない~。
お通夜に出席させてもらったが、ご遺族のご挨拶の中で死因が判明した。「誤嚥性肺炎」だった。
「水や食べ物、胃食道逆流物(*)などが誤嚥によって肺に入ってしまい、細菌が繁殖して炎症を起こすことで起こるのが誤嚥性肺炎」とのこと。
そういえば、6年前に94歳で亡くなった母も誤嚥性肺炎を起こして深夜に救急車のお世話になったことがある。幸い一命を取りとめたが入院期間が2週間にも及ぶほどの重篤な病気だった。
高齢者にはポピュラーな病気のようで、身につまされ意を決して前述の「肺炎がイヤなら喉を鍛えなさい」に目を通した。
備えあれば憂いなし!
近年とみに忘れっぽいので要点をメモしておこう。
☆ 日本人の死亡原因は1位「がん」、2位「心臓疾患」、3位「肺炎」だが、このうち誤嚥性肺炎で命を落とす高齢者が多くなっている(4頁)。
また、2011年度、誤嚥による窒息事故の死亡者数「4816」人は、交通事故による死者数「4611」人より多くなった。(196頁)
☆ 食べ物を呑みこむ行為はわずか0.8秒と一瞬のうちだが、その間に「喉頭を上げる」「気管の入り口を閉じる」「食道を開く」「食べ物を食道へ送り込む」という絶妙な連携プレイを行っている。しかし、ほんのちょっとしたタイミングのズレが起こるとうまくいかない。歳をとればとるほどズレが起こりやすい。(6頁)。
☆ 極めて難しい手術を無事乗り越えたにもかかわらず、療養中に免疫力や喉の筋肉の衰えにより「誤嚥性肺炎」でアッサリ命を落とす例が極めて多い。
☆ 飲み込む力は鍛えることができる。まず普段からしっかり声を出す習慣をつけておく。「カラオケ」「おしゃべり」「笑い」の3つが重要。(79頁)
女性と違って高齢の男性に比較的患者が多いのも「定年後になっておしゃべりが少なくなったから」という報告がある。
☆ 8つの「のど体操」、誤嚥を防ぐ食べ方、などが詳細に紹介してある。
以上、実際に多くの症例に当たったお医者さんが書いた本なのでなかなか説得力があった。
この中で比較的身近で取り組みやすいもののうちから生活習慣として次の二つを実行することに決めた。
まずは簡単な「のど体操」、そして「カラオケ」。
カラオケといっても専用のセットは持ってないので、CDを利用して歌手と一緒に歌うことにした。
このCDは現役時代にお付き合いの「飲み会」の席で歌わざるを得なかったので、仕方なく歌詞を覚えるために独自に編集したもので、10曲以上収録しているが、音痴ではないものの下手なのはたしかで、素面ではとても人に聴かせられたものではない(笑)。
1 襟裳岬(森 進一) 2 北国の春(千 昌夫) 3 ヘッドライト・テールライト(中島みゆき) 4 裏町人生(大月みや子) 5 夢の途中(来生たかお)
朝食前に、これら5曲を続けて歌うと、じっとりと汗ばんでくるのでとてもいい喉と肺のトレーニングになっているが、ただ気になることが一つある。
「下手な歌 → ぬか味噌が腐る」という妙な言い伝えがある。なぜか?
「音楽は人間だけが理解し味わうものではない、という説がある。牛にモーツァルトを聴かせると牛乳の出がよくなるとか、植物の成長が早まるとか…。
つまり音楽というのは芸術の中でも最もプリミティブにして、万物に影響を与える普遍性を帯びているのだ。
当然微生物に対しても、音楽は効果を有するであろうことは容易に推測できる。そこへ持ってきて、下手な歌を味噌の中のバクテリアに聴かせた日にゃあ、どういうことになるか、想像できるだろってなもんだ。」だそうだ。
道理で、最近「ぬか漬け」が不味くなったのはこのせいだったのか!(笑)