「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

グッドマン「AXIOM 150マークⅡ」の帰還

2017年03月17日 | オーディオ談義

作家の「開高 健(かいこう たけし)」さんの著書の中にこういう一節があった。

「久しぶりにミステリーを読み直してみたが、やはりシャーロック・ホームズものを書いたコナン・ドイルの作品が面白い。同じイギリスのアガサ・クリスティーの作品はどうも退屈感を覚えてしまう。」という趣旨のことが書いてあって、芥川賞作家を引き合いに出すのはまことに畏れ多いが、「まったく同感です」と頷いたことだった。

「シャーロック・ホームズの冒険」を嚆矢(こうし)として、ホームズ物はすべて楽しく読ませてもらったが、その一連の作品の中に「シャーロック・ホームズの帰還」というのがある。

ややマンネリ化したホームズシリ~ズを打ち切るためにドイルがストーリーの中でホームズを谷底に落として「これでこのシリーズはお仕舞い」としたわけだが、読者から物凄いブーイングが起こったため、再びホームズを生き返らせ、その第一作目が「…帰還」である。

そこで我が家のオーディオの話(笑)。

部屋のスペース上の問題があって、やむなく谷底に落としていたグッドマン「AXIOM 150マークⅡ」(口径30センチのフルレンジ型)だが、このほど図体の大きなウェスミンスターを部屋の片隅に追いやったおかげでめでたく居場所が出来て無事「帰還」と相成った。

これで我が家のスピーカーは次の3系統となった。

「ウェストミンスター」、「AXIOM80+フィリップス」、「AXIOM 150マークⅡ」(以下「マークⅡ」

いずれも、それぞれに持ち味があってとても捨て難いが、この中で一番地味な音が「マークⅡ」といっていい。

やや中低音域が籠り気味で「ちょっと聞き」ではとうていその良さが分かってもらえないが、気にせずに聴いているとまるで「いぶし銀」のような独特の持ち味に魅せられ、このままず~っと聴いていたいという気になるから不思議なスピーカーである。

たとえば我が家のフィリップス(口径30センチ:ブラウンコーン:アルニコマグネット)は大概のお客さんが絶賛する素性のいい音の持ち主だが、2時間も続けて聴いていると何だか耳が疲れてきてアンプのスイッチを落としたくなるが、マークⅡだと1日中聴いていてもそういうことがない。

一言でいえば「リスナーの気持ちに寄り添ってくれる」スピーカーだと言えるが、グッドマン(イギリス)のユニットは総じてそういう傾向がある。

とはいえ、帰還後の第一声を2時間ほどじっくり聴いていると、「もう少し高音域の華やかさがあってもいいかもねえ」という気になったので試験的にツィーターを付け加えることにした。

つまり原形を壊さずに高音域だけ追加する「フルレンジ+ツィーター」方式。

初めにドイツ製のコーン型ツィーターを加えてみたが、クラシックではたしかに効果があったが、ジャズとりわけソニーロリンズの「サキソフォン コロッサス」の冒頭のシンバルの一撃が何とも冴えない(笑)。

あのチャリ~ンという刺激的で麻薬的な音が聴きたいばかりにとうとうJBLの075ツィーターの出番と相成った。

「グッドマン+JBL」といえば、まるで「水と油」みたいな組み合わせだが、とにかくシンバルさえ鳴ってくれればそれでいいという気持ちになるから不思議。これでは「音キチ」と言われても仕方がない。

低音病は克服した積りだが「高音病=シンバル病」はこれからもずっと克服できない気がする(笑)。

このシンバルの響きをいかに違和感なくミックス出来るか、ここがオイラの腕の見せ所だ。ま、大した腕でもないが(笑)。

           

周知のとおり「075」の能率はメチャ高くて110db前後あるが、これに比べて「マークⅡ」の方はせいぜい95db前後といっていい。「075」に音量調整用のアッテネーターを入れると(音が)台無しになるので「マイカコンデンサー」でボリューム調整することにした。

初めに1個(0.075μF)だけで聴いてみたところ、明らかに効果ありだったがもっといけそうなので今度は2個をパラってみた。したがって「0.075+0.075=0.15μF」となったが、シンバルを十全に聴くにはこれで十分!

使用しているアンプは一番のお気に入りの「171シングル」(インターステージトランス入り)。オール・ナス管。

         

そういえばオーディオ仲間の「じゃじゃ馬の075ツィーターをうまく鎮めるためには71系統のアンプに限る」という言葉を思い出した。どうにか全体的な音の姿の調和が保てているのはこのアンプのおかげかもしれない。

最後にもう一つ味付けして、フルレンジの方の高音域をわずかにハイカットしてみた。

            

ムンドルフ(ドイツ)のゼロ抵抗コイル(0.15mH)を使って、マークⅡを1万ヘルツ以上でハイカットしたところ見事に高音域の濁りが取れてスッキリ爽やかとなって大満足。

最後に一つ疑問が湧き起こった。

スピーカー側の「マークⅡ」のインピーダンスは15Ω、そして075のインピーダンスは8Ωだが、アンプ側の出力端子は8Ωと16Ωと二つある。どちらの端子に繋いだらいいんだろう?

こういうときは、いつものように「北国の真空管博士」のご登場だ。

率直に疑問をぶつけてみると、

「マークⅡの方が広い周波数帯域を受け持っていますのでそれに合わせて16Ωに繋いだ方がいいでしょう。」と一刀両断。

いつものことながら大いに助かります~(笑)。
 


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