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「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

息を吹き返した古典管~最終回~

2016年01月30日 | オーディオ談義

前回からの続きです。

23日(土)から続いたこのシリーズもいよいよ最終回を迎えたが、ある意味では新たな「北国ルート」の始まりとなった。経緯を述べてみよう。

「北国の真空管博士」(以下、「博士」)に依頼した古典管の修理のうち、一番本数が多かったのが電圧増幅管「227」だった。

☆ 電圧増幅管「227」(8本)

          

写真を撮り忘れたので、このブログでも再々登場している「71Aプッシュプルアンプ」(以下「71APP」)の画像でいくと、右側の4本が「27」である。

オークションでお値段も手ごろだったし、あまり期待せずに無競争で落札したアンプだったが意外や意外、すこぶる音はよかった。思わぬ掘り出し物だと喜び、さらに欲が出て「27」を代えるともっと音が良くなるだろうと「227」を8本調達した。ちなみに「27」はST管で、「227」と3ケタ番号になると「ナス管」の表示となる。

1920年代の球でメッシュプレート型である。同型管で「メッシュ」に優る球はないので、さっそく差し替えたところ、盛大な「ブ~ン」というハム音が出てしまいガッカリ。てっきりこの「227」が劣化しているのだろうと直し込んでいたところ、今回の博士のご好意でチャンとした計測器で測定していただくことになった。その結果、1本がアウトで7本が使えると分かった。

そこで、博士の元から戻ってきた「227」を再度挿し込んで試聴テストしたところまたもや「ブ~ン」。博士に問い合わせた。「27と227は規格が違う別物ですかね?」

すると、たちどころに次のような回答が返ってきた。

「ナス型227とST型27は別物です。私は227を使う場合にはバラックでアンプを組みノイズ選別してから使っています。227は電極間の絶縁抵抗が低くチューブテスタで電極ショートテストが合格であってもノイズ選別で2~3割前後は使えない場合があります。

また、球の性格上ラジオの検波回路での使用で問題なければOKの球であり、227は当時非常に高価であったことから低周波増幅は安価な226で行っていました。RCAでさえ低周波増幅は226であり227の低周波増幅への使用例は殆どありません。AC点火では使えない227でもDC点火では問題無く使える場合があります。227に比して56のナス型の方がローノイズですのでお勧めしたいところですが、稀少なうえ高価です。

ST型の27は56や237など後に開発された球の技術をもとに作られていますので227よりもローノイズです。
しかしST型の27は一部の球を除いてノイズ選別した227を超えることはできません。

227はヒーターとカソードの絶縁にセラミックスリーブを使用しているため点火に時間がかりますが熱惰性が大きく、エミッションの安定性は単純な折り返しヒーターの27では太刀打ちできないのです。310Aや350B等のWEの傍熱タイプの球がセラミックヒーターを採用しているのは有名ですね。

先日27STのメッシュプレートを出品しましたが、27STでは数少ないセラミックヒーターの球でした。」

ウ~ム、物凄い博識!

とうとう次のようにお願いすることとなった。

「どうしても227で聴いてみたいのでよろしかったら、一度71APPアンプを診てもらえませんか。ただし、とてもゴチャゴチャした配線です。一目見て、やる気を失われるかもしれないと危惧しています。けっして無理を言いません。あえなく撤退も想定の範囲内です。とはいえ、是非無理をしてほしいですね(笑)」

すると、快くご承諾していただいたうえに、
ご安心ください。多少のことには動じません。音質にはご不満が無いとのことですので、出来るだけ音質に影響する部分は温存するように致しましょう。とにもかくにも227が使えるよう知恵を絞ることにします。」

ありがたい!

送付した「71APP」が北国に到着したのは去る25日(月)のことだった。

さっそく博士から一報が入った。

「貴重な古典管を使用するにはあまりにも危険な状態ですので殆どの小物部品を外して再配線することにしました。部品配置にも問題がある部分はできるだけ修正します。26日中には仮配線を済ませ動作チェックを行い27日中には本配線を行い完成の予定です。」

「どうか思う存分、大ナタを振るってください。」と、即座に返した。阿吽の呼吸とはこういうことをいう(笑)。

「完成後に227を挿して試聴テストをしましたが、なかなか良い音で鳴ってますよ」と、博士。

この新装なった「71APPアンプ」が我が家に到着するのは今日(30日)の午前中である。

歳を取ってもこんなに胸がワクワクする事があるんだから、「僕は幸せだなあ~!」(笑)。
 
 


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